Taha Akyolコラム:「2003年ビジョン」―公正発展党、選挙公約を読む
2011年04月18日付 Milliyet 紙

首相により発表された「目標2023年」という名の選挙公約は主に二つの部分から成っている。ひとつは発展と経済に関係している。もう一方は新憲法と民主主義のような副題からなる政治的な部分である。私は、経済の部分は非常に気に入ったが、政治的な部分に不満がある。

■ 経済面

 「目標2023年」プログラムはまさに経済的ビジョンの実例である。非常によく準備され、互いに整理統合され、一つ一つが将来のための基盤を成そう。政治的条件が恵まれれば、トルコを10年で「世界のトップ10経済先進国」のうちに入れることになるビジョンは、ビジョンというよりも計画である…。これを聞いて、私はアドナン・メンデレス(故首相)の「開発と建設」、トゥルグト・オザルの「急発展」のビジョンを想い出した。楽しみである。

選挙公約の中で政治的に放置されている問題を見て、「公正発展党は現状維持を図り、あなたの選挙公約は必要ない、なんということだ」とテレビで怒りの演説を行った急進的自由主義者は「極端に政治化」していた。政治色の濃い視点で公約を見ているので、経済的そして技術的発展の生活上の重要性を理解できないのである。

ここは「目標2023年」を要約する場所でもないし、その必要もない。この問題のビジョン全体を示している「魔法のカギ」は、今後10年で「研究・開発」費をGNPの 3%に引き上げるという目標である。「極東の奇蹟」と我々が呼んでいる、その秘密は研究・開発費の高さである。私たちのここ150年の近代化の時代における最大のブラックホールは、この重要性を理解できなかったことであった。研究・開発費を最も増加させた政府は、現在の与党だった。今、トルコを10年で「トップ10経済先進国」のうちに入れることになるこの魔法の暗号に、このように現政府が重要視するのを、もちろん賞賛している。

■ 明らかでない問題

 政治問題になると、クルド問題をこういうふうに解決させるといった計画の披露は期待できなかった。なぜならこの問題は長い議論を要するからである。しかし公約において、善意の表明とは別に「理論的枠組」が紹介されるべきであった。だがそのようにされなかった、選挙がこの議論に集中しないようにとばかりに。

またスカーフをした候補者がいなかった、「早々に」議論にならないようにとばかりに。「アレヴィー派との問題解決」で一定の成功を収めている与党は、今、「討論会が行われた」ということ以上、一言も発しない。レハ・チャムルオールのような価値ある者さえ候補者リストに載せなかった。

そして制度問題。2007年の選挙公約で公正発展党は「議会制度の原則に則して」大統領の権限を削減すると述べた。しかし今は一言も触れない。首相自身、今後の計画上からも重要な制度問題について、「早期の」議論を望んでいないのかもしれない。

■ 選挙運動で明らかにされるべき

 そして「国民参加の、自由な憲法」といった抽象的な見解を、各人各様に理解・消化して投票せよ、と考えているふしもある。

(こうした想定は)みなありうるが、だからこそ公約の中の問題を含むテーマで曖昧さが生じたのだ。おそらく、良い選挙戦略だが、期待を寄せていた層にはためらいが生じるかもしれない。経済で今後の展望を見たいと望むビジネス界同様、政治制度と基本的な憲法の問題について今後の展開を見たいと望んだ層もいた。彼らの間で生じるかもしれないためらいの感情を軽視してはならない。選挙運動でこの不明瞭な部分を明らかしなければならない。

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( 翻訳者:倉田杏実 )
( 記事ID:22188 )