Güngör Urasコラム:作家ファルク・ペキンによれば、解決方法は「文化観光」
2011年04月24日付 Milliyet 紙

1970年代までのトルコの観光業といえば「文化観光」であった。トプカプ宮殿、アヤソフィア、トロイ、エフェソス、カッパドキア、ペルゲ・アスペンドス、スメラ修道院などは外国人にとって魅力的な観光地であった。外国人は高速道路を使い、カルスやヴァンといった東部アナトリアの考古学的遺跡をめぐっていた。トルコといって真っ先に浮かぶイメージは、自然、歴史、考古学、芸術や文化といったものであった。

1980年代以降は、海岸沿いの土地が49年契約で縁故やコネで貸し出されたこと、建造物への投資の40%を国家が負担したことによって、リゾート観光業が始まった。まずホテル業者が、その後は一般人が沿岸のリゾート地に押し寄せた。ホテル業者はホテルの客室の空室を埋めるために、外国人旅行者の獲得に躍起となった。

トルコは「文化観光」の代わりに「太陽と海と砂浜」で外国人旅行者を誘致するようになった。そして今、ホテル業者は泣きを見ている:「施設があふれている。稼ぎにならない。」

ムーラ商工会連合会長のシュクリュ・アイユルドゥズは言う。
「2010年のムーラ地域(ボドルムやマルマリス)にやってきた旅行者数は増加しているにもかかわらず、1889もの事業(者)が閉鎖となり、1700の事業は事業内容の変更を余儀なくされた。旅行者数は増えているのに、商業収入は増加しない。貧乏旅行者が300万人来るよりも、羽振りのよい100万人の旅行者に来て欲しい。同じような部屋の宿泊費が、他の国では70ユーロなのに対して、ムーラでは1泊3~10ドルで泊まれるのだ。」

■トルコは廉価なバカンス国

トルコは「文化の国」から「廉価なバカンス」の国になった。イギリス人は航空券、宿泊等全て込み、アンタリヤの5つ星ホテルで2週間滞在するパッケージツアーを299ポンドで販売している。ドイツ人も、航空券、宿泊等全て込み、イスタンブルで1週間滞在のガイド付きツアーを299ユーロで販売している。

上記は、ファルク・ペキンの新刊『決方法:文化観光』から引用している。ファルク・ペキン(1947年生)はボアジチ大学卒で、トルコを代表する文化観光のプロのガイドであり、観光に関する研究者、そして作家である。26年間に渡りフェスト・トラベル傘下で文化観光の発展に努めてきた。

ファルク・ペキンはこう述べている。
「文化観光は1990年代で足踏み状態にある。アヤソフィアやカーリエ、エフェソスといった観光地に来る外国人旅行者の数はここ20年間、増加していない。もはや外国人は文化観光のために東部や東南部アナトリアへは来なくなってしまったのだ。1990年にはカルスのアニ遺跡を訪れた旅行者は2万7千人だったが、昨今は5千人が訪れるのみだ。1991年にネムルト山に登った外国人の数は1万2千人だったが、現在その数は増えていない。アンタリヤに来る外国人旅行者のうちアンタリヤ博物館を訪れる人はたった1.18%しかいない。」

■芸術や文化は忘れられてしまった

ファルク・ペキンの本の中では、もう1つ、重要なことにも触れている。「ショッピングセンターの数は300を超えている。これらのショッピングセンターには1日で300万人もの人が訪れて、平均で3時間半ほど買い物をしていくそうだ。そして残念なことに、これらのショッピングセンターのいずれにも芸術作品が見当たらない。40年前にイスタンブルに作られたイスタンブル繊維問屋市場には当時の有名な芸術家のうち9名の作品が置かれていたのに。」

これらを読んで気づいたことがある。イスタンブルにはカニョンやイスティニェパルクといった高所得層をターゲットにしたショッピングセンターがあるのだが、こうしたところでさえ、なぜ芸術作品が設置されなかったのだろうか?

40年前にイスタンブル繊維問屋市場を作らせた人々は当時の繊維業者たちである。まず建築計画のためにコンペを開き、ドアン・テケリ‐サミ・スィサ社が権利を獲得した。その後、建築家たちは計画の中で9つの芸術作品のための場所を設計した。さらに、9つの芸術作品に関しても同様にコンペを開き、クズグン・アジャル、ヒュレイヤ・コラル、エレン・エユボウル、ヤヴズ・ギョレイ、サディ・ディレン、ネディム・ギュンシュル、ベドリ・ラフミ、そしてアリ・テオマン・ゲルマエルによる9つの作品が市場の様々な場所に設置された。そしてこれらの作品は40年間、生き続けている。文化理解啓発基金のボランティアたちが、これまでの間、作品をきれいに保ってきたのだ。イスタンブル繊維問屋市場に行って、ぜひこの作品を見てほしい。

イスタンブル繊維問屋市場の事例を紹介したのには重要な理由がある。ショッピングセンターの投資をする人々、ショッピングセンターの計画を立てている人々も、そこを訪れて実際に見て、お手本にしてほしい、という希望があるからだ。

Tweet
シェア


この記事の原文はこちら
原文をPDFファイルで見る
原文をMHTファイルで見る

 同じジャンルの記事を見る


( 翻訳者:金井佐和子 )
( 記事ID:22259 )