近づくアククユ原発起工式、ロシア側「隕石以外の脅威はない
2011年04月25日付 Hurriyet 紙


ロシアがアククユに建設を計画している原子力発電所の起工式が迫る中、カリーニンスカヤ原子力発電所がトルコメディアに公開された。ロシア側の関係者はカリーニンスカヤで使用されている技術が、福島、チェルノブイリと比べ何倍も安全であることを述べ、アククユに隕石でも落ちてこない限り何も心配することはないと、原子力発電所の安全性をアピールした。

ロシアの数十億ドルの援助で建設が予定されているトルコ初の原子力発電所、メルスィンのアククユ原子力発電所の起工式が1週間後に迫る中、ロシアの国営原子力企業ロスアトム(Rosatom)は、モスクワ近郊にある、アククユ原発と同じ技術を用いて建設されたカリーニンスカヤ原発の内部を初めてトルコメディアに公開した。視察においてロシア側の関係者は、カリーニンスカヤ原発で使用されている技術が福島やチェルノブイリの何倍も安全であると語り、「アククユに隕石でも落ちてこない限り何も心配することはありません」とアピールした。日本の福島原発事故の後、世界で初めて起工される原発となったアククヤ原発の建設プロジェクトを請け負うロシアは、「原子力エネルギーは今や、他のものでは代用が聞かない確固たるエネルギーの地位を占めています。原発施設を安全に建設し、細心の注意を払って運転すれば、これ以上環境にやさしく、且つコストを抑えられるエネルギーはありません」と説明した。

■国際管理

ロスアトム主催の原発視察の最初の目的地は、モスクワの「ロシア科学アカデミー原子力エネルギー安全発展問題研究所」となった。研究所長のレオニド・ボルショヴ氏は、「福島の原発事故によって、平和利用を目的とした原子力産業が、一層国際的な管理下にはいるべき状況になったと考えますか?」というトルコメディアの質問に、「そう考えるのが妥当でしょう」と答えた。ボルショヴ氏は、福島原発事故の影響で、日本のみならず国際原子力機構(IAEA)をはじめとしたロシアなど多くの国が急激に注目を浴びるようになったと話した。

■今後一層の監視強化

レオニド・ボルショヴ所長は次のように語った。「7月に世界の原子力先進国がIAEAの呼びかけのもと、あなたたち(トルコ)が問いかけた問題に答えを出すために会議を行います。私たちの分析では、原子力エネルギーはいくら原子力の平和利用とはいえ、継続的な監視が必要であるということです。平和利用目的の原子力発電所が、核兵器同様に国際管理下に置かれるべきということです。

また当初はこの管理システムへの加盟は自主性に任せるとし、次のように話した。「原発建設を計画する国は、新たな管理システムを加入するため申請をおこなうでしょう。そうした国は、国際機構から原発の安全運営を保障する書類を手にし、かつ公平な調査と原子力開発を監視のもとで進めるということを容認するのです。こうした新たな国際管理システムに加入した国が今回の福島のような事故にあった場合には、他国に対しその責任を負うことになるのです。」

■アククユ原発の同型、カリーニンスカヤ

モスクワから350km離れた、トヴェリ地方ウドムリャ居住区近くの湖のほとりにそびえたつカリーニンスカヤ原子力発電所には、バスで8時間かけて到着した。1974年に着工されたカリーニンスカヤ原発の第1原子炉は1984年、第2原子炉は1986年、第3原子炉は2004年に運転を始めた。原発に到着すると、1000メガワットの発電力をもつ「水―水型(加圧水型)原子炉」と呼ばれる、通称WWER型の3基の原子炉が、フル稼働していた。運転中の3基の原子炉のすぐ隣では、年末に稼働開始が計画されている第4原子炉の建設が急ピッチで進められていた。トルコメディアに対応してくれたロアストムの関係者、ヴァスィリィ・コレルスキー氏に、アククヤ原発とカリーニンスカヤ原発の違いを尋ねると、「使用する技術はどこをどう取っても同じものです。唯一の違いは、アククユ原発の原子炉が1200メガワット用であることで、カリーニンスカヤのものは1000メガワットです。しかしこれは基本の原理の違いを意味するものではありません。アククユ原発とカリーニンスカヤ原発は互いによく似た第3世代の原子力発電所です」と説明してくれた。

■マトリョーシカに例えた解説

トルコで建設が始まるアククユ原発がいかに安全であるか、視覚的に理解するためにロシアの伝統的な、人形のなかに人形が入ったマトリョーシカを使って説明された。

WWER型原子炉は、福島原発の原子炉と違うものではなく、原子炉が4層の安全防御壁に覆われている。つまり、原子炉は4体のマトリョーシカみたいなもので、その一番内側のマトリョーシカが原子炉本体だということである。

そして内側から2番目のマトリョーシカは鉄筋コンクリート製で、本体に覆いかぶさるように層を作り、さらに3番目のマトリョーシカは、安全冷却装置の働きを持っているようだ。原子炉内の冷却水が外側の水と混じらないよう、第2冷却装置の冷却水も他に漏れ出ないようになっている。第3冷却装置の冷却水だけが外部と循環する仕組みだ。このようにして、もし事故が起きた場合でも放射能漏れは、この3層がふせぐことになる。

そしていちばん外側のマトリョーシカは、事故になった場合少しでもその影響を抑えるためのものである。もし核燃料が水不足で溶けだして原子炉の底に落ち始めた場合でも、この層に組み立てられた制御網によってそれを食い止めることができる。この安全制御網は原子炉の冷却装置と異なる冷却システムを持ち、どんな状況でも爆発やメルトダウンを引き起こす危険性はない。

■原子炉の重量は400トン

カリーニンスカヤ原発の時間帯責任者のエンジニア、イゴル・サロマソフさんは、アククヤで建設されるものと同型のWWER 型原子炉の技術について興味深い話をしてくれた。そのいくつかは次のとおり。

・原子炉の重量は約400トン、全体の3分の2が地中に埋まっている。
・燃料を原子炉に充填後、放射能を出さないよう上部に鋼鉄製の蓋が54個の、長さ2m、直径17cm、重さ300kgのボルトで固定され(かぶされる)。
・核反応が生じる錆びない鋼鉄製の原子炉は、直径30m、高さ40mで、内壁は110cmの厚みの鉄筋コンクリート製で、その中におさめられている。
・その巨大な原子炉のドーム屋根の厚さも40cmで、何百本もの鋼鉄製のロープが張られ、コンクリートで覆われている。
・原子炉を取り囲む巨大な一枚壁には、密閉された2つの扉しかない。
・およそ28,000立法センチメートルの容積を持つ巨大な部屋は、建設後まず耐圧検査が行われる。
・その耐圧検査のため、コンクリートの部屋の内側に空気をポンプで押し入れる。
・検査の際、壁は5気圧の圧力に耐えなければならない(つまり1平方センチメートルあたり約50kgになる)。
・耐圧検査に合格後、原子炉の運転が開始される。

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( 翻訳者:池永大駿 )
( 記事ID:22263 )