イラクの干ばつ問題、近隣諸国と水資源分配が焦点に
2011年04月28日付 al-Hayat 紙

■イラクの小麦生産量は国内需要の半分

2011年4月28日付『アル=ハヤート』

【バグダード:アーディル・マフディー】

 イラク農業省のカリーム・タミーミー報道官は「水不足に加え多くの農業従事者が農村部から都市部へ移住したことでイラクの小麦生産量は国内需要の50%にあたる200万トンにとどまっており、」「農業省は来期のスプリンクラー利用のための計画に取り組んでいる」と述べた。
 
 またイラク政府付属の「農業イニシアティブ最高委員会」は農作物の自給自足達成に向け今年度予算内での農業プログラムの実施を含む計画を明らかにした。

 ここ数か月は雨に恵まれたにもかかわらず、二年以上続いた雨不足に加え、チグリス川、ユーフラテス川をはじめとするイラク領内に流れ込む河川の水位の不足のためイラクは依然として干ばつに苦しんでいる。当局者たちは、イラクに流入するの河川の水位不足の責任は、トルコ、シリア、イランが立案する農業計画や、河川に建設するダムのせいだとしている。

 イラク政府は農業部門と干ばつ対策のため支出を行ってきた。また、「農業イニシアティブ最高委員会」は農業奨励のためいくつかの焦点を設定し、灌漑用水と農地、農耕と酪農生産の配分、農業従事者へのローン提供などに取り組んできた。農業省は干ばつ対策と農業への干ばつ被害軽減のため、2015年に終了予定の計画を開始した。

 専門家らは、チグリス・ユーフラテス両河川でイラクに割り当てられた取水量の不足分が、2015年には43%を上回ると予想している。また、専門家らは、イラク水源省は主要河川(チグリス川とその分流、ユーフラテス川)流域の降雨量・降雪量予想と、トルコ、シリア、イラン領内でのこれらの共通河川上流のダム及び貯水池稼働の政策を結び付けていると指摘した。

 現在イラクとこれら近隣諸国との間で水資源の分配をめぐる国際的な取り決めはなく、そのため利用可能な水資源には年によってばらつきがある。また、水資源分配についての国際的取り決めがないために、 貯水や工業・農業・人間に対するサービスによる汚染が原因で水質が悪化している。
 専門家らは、トルコとシリアが農業計画を完成させたら、イラクはさらなる水不足と水質悪化に見舞われるだろうと強調した。トルコとシリアは、ユーフラテス川流域で240万ヘクタール、チグリス川流域で約100万ヘクタールの灌漑農業計画を進めている。また、専門家らは、水資源省がイラクの水収支について再評価すると予想した。水収支の再評価には、水資源と土地利用についての計画のやり直しも含まれている。

http://international.daralhayat.com/internationalarticle/260334

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( 翻訳者:片山満祐子 )
( 記事ID:22297 )