ビンラディンの死は世界のバランスを変える
2011年05月02日付 Hurriyet 紙


アメリカの軍事作戦によりウサマ・ビン・ラディンが殺害されたという発表に、世界中が注目した。これはアメリカ政治にも世界的にも大きな意味を持つ。

■オバマ、支持を獲得

このニュースがもつ政治的重要性のうち最大のものは、2012年に行われる大統領選挙を目前にオバマ大統領が掴んだ優位である。直近のアンケートでは、大統領の支持率は最悪と言えるほど低下していた。
(しかしビン・ラディンの死が)特に共和党支持者が多く住み、前線にいる多くの米軍兵士の出身地でもあるアメリカ中央部の州に大きな影響を及ぼし、オバマ大統領への支持が拡大することが予想される。

■CIAと国防総省のトップが変わった

ビン・ラディン死亡のニュースは、アメリカの新しい国防長官とCIA(アメリカ中央情報局)長官が発表された数日後に明らかにされた。
国防長官にレオン・パネッタ現CIA長官が、CIA長官にはアフガニスタン駐留米軍司令官のデイヴィッド・ペトレイアス陸軍大将が起用されるとの発表の、そのわずか数日後にこのようなアフガニスタン戦争の勝利宣言が行なわれたことには大きな意味がある。

■パキスタンとの緊張関係

ここのところアルカイダとの戦いにおけるアメリカの最大の同盟国の一つと見なされていたパキスタンとの関係に緊張が生じていた。
アメリカがパキスタンで無人機を用いて行なった軍事行動で多くの民間人の命が失われ、その際にパキスタン政府は強く反発していた。また、パキスタン政府はアフガニスタン駐留米軍への物資補給路を封鎖した。さらにはウィキリークスが公開したグアンタナモ文書にパキスタンの情報機関であるISI(統合情報部)への疑念が綴られていたことで、緊張はピークに達していた。

■シンボリックな重要性

今回の件が持つシンボリックな意味も、もちろん非常に大きい。なぜならビン・ラディンは、アルカイダの、そしてアメリカの“テロとの戦い”における「顔」であったのだ。したがってアメリカ政府は、10年間のアフガニスタン戦争をはじめとするアメリカのイスラム・テロ組織との戦いにおける大勝利として、今回の件を認識するだろう。
米軍のアフガニスタン撤退は早まるのではないかと言われている。

■テロとの戦いに新たな1ページ

アメリカが、この勝利をきっかけにテロとの戦いの戦略を変えることも有りうる。大統領の国家安全保障問題特別顧問であったリチャード・クラーク氏は、ビン・ラディンの死はアメリカの対テロ戦争における一つの局面の終わりを意味するが、ふたたび新たな1ページが開かれるだろうと述べた。
この勝利と歓喜は、同時に不安ももたらしたのだ。

■報復への恐怖

アルカイダがビン・ラディンの死を殉教と捉え、報復行動に出ることが懸念されている。
イスラム過激派のグループがウェブサイトに掲載した「アッラーよ、オバマに罰を」というアラビア語のメッセージが目に付く。いくつかのサイトでは、(ビン・ラディンの死亡の)ニュースは嘘であるとの憶測と、真実であった場合は報復が行なわれるとの警告が書かれている。
オバマ大統領の発表から数分後に、米外務省は国民に報復行動への注意を促し、情報機関や安全保障省はモスク周辺での警備を強化し、生物・化学兵器の専門家からなる委員会が招集された。これは、アメリカ政府が警戒を強めていることを表している。

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( 翻訳者:篁日向子 )
( 記事ID:22342 )