フリソストモス大主教、キプロスEU加盟にまつわる歴史的証言
2011年05月03日付 Radikal 紙


(キプロスが)EU加盟のためにヨーロッパ諸国を欺いたとする、ギリシャ正教のフリソストモス大司教の発言は、キプロス全体をゆるがすものとなった。(キプロスの)ギリシャ系住民は宗教指導者である大主教に対して怒りを表し、新聞等では「聖人が台無しにした」、「大主教よ、黙れ」との見出しが載った。

(2004年の)キプロスでの国民投票から丁度7年が経った後、ギリシャ系住民によって歴史的証言がなされた。ギリシャのテレビ放送局スカイのインタビューに応じたギリシャ正教のフリソストモス2世大主教は、キプロスをゆるがす説明を行った。フリソストモス大主教は、ギリシャ系住民が交渉のテーブルで、まさにトルコ系住民の掲げるテーゼを認める譲歩をしたと話し、「キプロス共和国は、2004年に(国連の)アナン案を承認すると表明し、EU加盟のためにヨーロッパ諸国を欺いた」と述べた。

フリソストモス大主教の説明は次の通りであった。
「トルコ系住民になされた受け入れがたい譲歩が、ヘレニズムがキプロスの地で継続するのを脅かしている。政治家たちにより行われている「民族的主張」では、ここ50年間でキプロスの土地の半分が失われ、現在はキプロス全体が危機的状況にある。」

(南北キプロス問題)解決の努力にも触れたフリソストモス大主教は、キプロス政府の元指導者であるグラフコス・クレリデス氏が、キプロスのEU加盟に対する見返りとして、キプロス問題をアナン案を基にして解決するとEUに対して約束していたと述べた。

大主教の証言により、ギリシャ系住民は混乱に陥った。政治家を始めとして、メディアも宗教指導者(フリソストモス大主教)に怒りを表した。宗教指導者に対する怒りは、(新聞紙面の)見出しにも見られた。

ポリスィティス紙は、「フリソストモス大主教よ、黙れ」との見出しを付けた。フィレレフテロス紙は、「政府と労働者進歩党(AKEL)は、フリソストモス大主教に怒りを表した。(フリソストモス大主教は)宗教者ではなく、政治家のように振る舞っている」との表現を使用した。ハラヴギ紙は、「聖人は、仲間内の協力を敢えて台無しにした」との見出しを付けた。キプロス政府のステファノス・ステファヌ報道官は、フリソストモス大主教がギリシャ系住民、及び「民族的主張」に対して損害を与えているとして、(大主教の)証言は(キプロス)内部を粉砕したと述べた。

与党の労働者進歩党(AKEL)のアンドロス・キプリアヌ党首も、フリソストモス大主教を分離主義者として追及し、国民にとっての悪い見本だと述べた。キプリアヌ党首は、「(大主教の)証言は、外国勢の手にキプロス共和国を罰する好機を与えている。彼は、政治家のように振る舞い、国民を分断させるスピーチを行っている」と述べた。野党指導者らも、フリソストモス大主教の証言を厳しく批判した。野党第一党の民主運動党(DSP)のニコス・アナスタシアデス党首は、大主教の証言は、事実を反映したものではないとして、宗教者らの政治介入を批判した。

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( 翻訳者:石川志穂 )
( 記事ID:22352 )