Metin Münirコラム:トルコのエネルギー政策は?
2011年05月12日付 Milliyet 紙

日本は2030年までに、総発電量のうち原子力の割合を30%から50%に引き上げる計画だった。
日本の菅直人首相は先日、この計画を白紙に戻すと発表した。
政府は福島原発の事故のあと、長期的なエネルギー政策を再検討することになっていた。今日まで、大部分の電力をガス(火力)と原子力に依存して発電してきた国は、今後、太陽光や風力、バイオマスといった再生可能でクリーンなエネルギーへも重点を移すことになる。エネルギーを節約しながら使用する社会となるのだという。
福島原発の事故を受けた日本のように、トルコもまた、そこから学ぶ必要がある。
トルコにはエネルギー政策はない。
輸入ガスに依存しどんどん金額が高騰するエネルギーについて、何でもかんでも手当たり次第に手を出して、ただ発電のかたちを増やすだけという政策を含めずに言うならば。
ガスによる火力発電を作りたい?作ってください。石炭を利用した発電?やれ、やれ。風力?太陽光?どうぞ、どうぞ。水力発電?水流は全部あなたのものですよ。来るもの拒まず。
原子力?もちろん。我々も望むところです。
しかし、こうした無計画さや見境い無さの結果、電気料金は下がるどころか上がってしまう。
原子力に着手しよう、と1つ、2つ原子力発電所を作るのは非合理的だ。(やるなら)フランスや韓国、日本、アメリカのように電気需要の少なくとも3分の1を原子力でまかなうか、あるいは全くやらないかだ。専門家は原子力発電所を1つ2つしか作らないのなら、経済的な効果はないと言っている。

■長期目標が必要だ

水流を利用した発電に関しても、かなり「トルコっぽさ(=無秩序でいい加減)」が垣間見える。どのくらいの水流があるのかを計測することなく、植物や野生生物の生態系リストも作らないまま、谷や河川に発電所を作ってしまう。0.5メガワットという馬鹿げた能力しかない発電所のために、かけがえのない谷川を犠牲にするのだ。
トルコは他の国々同様に、水流を利用している状態にある。しかしながら、(本来は)これらは合理的な計画に基づき、環境とエネルギーの間のバランスを保つものである必要がある。
タネル・ユルドゥズ氏が大臣になって以降、専門性が高まってきているエネルギー天然資源省が、長期的なエネルギー目標を定めること、例えば2030年にどのような組み合わせでどの程度の発電を行うのかを明らかにする必要がある。
トルコには残念ながら、どうしても治せない病気がある。
長期的に考えるという習慣がないのだ。政治的信条やイデオロギー、宗教といったものに拠らずに真実を探求するという伝統がほとんどない。
高級官僚は政治体制が変わるたびに一掃され、職位は能力ではなく忠誠心や従順さといったものに基づいて決められる。そのためにトルコは、どうしたって開発・発展の競争に優秀な選手でもって参加することができなかったのだ。我々はこの悪循環を断ち切るくらいの広い視野でものを考えることができる政治家や官僚を必要としている。

Tweet
シェア


この記事の原文はこちら
原文をPDFファイルで見る
原文をMHTファイルで見る

 同じジャンルの記事を見る


( 翻訳者:金井佐和子 )
( 記事ID:22467 )