酸ふりかけ魔、今日報復刑に:アーマネ「この判決の執行が、酸ふりかけ魔への戒めとなってほしい」
2011年05月14日付 Jam-e Jam 紙


83年(西暦2004年)に若い女性の顔に酸をふりかけ失明させた若者の両目に対するキサース刑〔=同害報復刑〕の判決が〔最高裁で〕支持されたことを受け、本日正午、同判決が司法病院で執行される予定だ。

〔‥‥〕

刑執行前に行われた酸ふりかけ事件の被害者へのインタビュー

 酸ふりかけ事件の被告人マジードの両目に対するキサース刑〔同害復讐刑〕の執行に関し、ジャーメ・ジャム紙の記者は、アーマネさんにインタビューを行った。以下はその内容である。

アーマネさんは、今何を考えていますか?
 何を考えるべきなのでしょうか。私は7年近くもの間、〔暗闇の中で〕さまよい続けてきたんです。その間、ただただ苦しみ、これは神の試練なのだと自分に言い聞かせてきました。信じて下さい、私の見た悪夢を心の中で想像することすら、他の人には出来ないでしょう。酸の入った赤いビンが、突然私の全存在を焼き尽くしてしまったのです。

事件後、何回外科手術を受けたのですか?
 手術はスペインで約17回、テヘランで2回受けましたが、まだ完治しておらず、治療の半分が残っています。

現在、視力は全く失われているのですか?
 はい、両目はすでに摘出されています。片目は事件が起きたその日に摘出しました。もう片方はバルセロナで、お金がなくなったせいで化膿してしまい、ある日自分の瞳が眼孔から外に出てしまったことに気がつきました。

その間の治療費は、どのように捻出されたのですか?
 ハータミー政権とアフマディーネジャード政権が、私を支援してくれました。慈善団体の人々も私を助けてくれました。アミール・サブーリー先生、アミーニーさん、サラーフィーさんとその奥さん、キャリーミヤーンさん、そしてイーラジ・エシュテハールディーさんという名前の方、その他友人たちが、人間的な義務感から私を助けてくれました。

本を書かれたようですが、この本のテーマは?
 はい、事件後「目には目を」という本を書きました。外国では話題になりました。
〔※Ameneh Bahrami "Auge um Auge"のタイトルで、ドイツで出版されている〕

裁判所はどのような判決を出しましたか?
 両目へのキサース刑〔同害復讐刑〕と、1億8000万トマーン〔約1400万円〕の賠償金をマジードに支払わせる判決でした。

マジード被告は賠償金を払えるのですか?
 彼の父親によれば、家を売るつもりとのことでした。まあ、もし支払えなければ、〔マジードは〕刑務所で一生を過ごすことになるでしょうね。

アーマネさんは復讐を考えているのですか?
 いいえ、そうではありません。私に復讐心はありません。この数年間、マジードの家族からは、見舞いや援助もありませんでした。そしてこの間に私は、この判決が自分自身のために執行されることを望んでいるわけではないということを、確信するに至りました。

では、誰のために望んでいるというのですか?
 判決の執行が、酸をふりかけるような卑劣な人間への戒めとなることを望みます。マジードの両目へのキサース刑〔同害復讐刑〕の判決が下されたとき、さあ、判決を一緒に執行しよう、と私は〔司法関係者たちから?〕言われました。しかし私は言いました、記者たちも〔執行に〕同席すべきだ、と。記者の方々には、酸によって他人の人生を破滅させようと企む人たちの耳に届くよう、このキサース刑の報道をしてもらわなければなりません。率直に言って、私はこの判決を私自身のために欲しているわけではないのです。社会のために欲しているのです。

その間、マジードを赦そうと思ったことはなかったのですか?
 ありますとも。一度だけ、赦そうと心に決めたことがあります。しかし、彼の父親と面会した後、彼の態度のせいで、私は〔一度だけでも彼を赦そうと考えたことを〕後悔しました。

その間、マジードからあなたに連絡はありませんでしたか?
 ありました。何度も刑務所から連絡してきました。あるとき、電話交換局の留守電サービスに伝言が入っていました。今でも私と結婚したい、というメッセージでした。

今でも彼のことを赦していない、ということですね?
 マジード以外の人なら、もしかしたら赦せたかも知れません。

刑は、誰が執行するのですか?
 私が執行したかったのですが、できません。

でも、刑の執行に今もこだわっているのですね?
 はい、自分で執行したいと思っています。7年間に及ぶ私の苦痛を、マジードも味わうべきです。それだけでなく、刑の執行は他の犯罪者たちへの戒めとならなければなりません。

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( 翻訳者:森田沙里 )
( 記事ID:22554 )