Huseyin Gulerceコラム:MHPへのスキャンダル攻撃、誰が、何のために?
2011年05月24日付 Zaman 紙

民族主義者行動党(MHP)施行部の10名を辞職に追いやったビデオテープに関する、二つの問いへの答えに注目が集まっている。

まず、誰がやったのか?二つ目に、何のためにやったのか?これらの問いに答えるために、一つの前例にあたらなければならない。ビデオテープで政治生命が終わった例、すなわちデニズ・バイカル元共和人民党(CHP)党首を辞任に追いやった事件である。

この例について話を続けよう。CHPに対し、誰がこれをやったのか?バイカルをはじめ、CHP内部や一部マスコミは、すぐに、公正発展党(AKP)の仕業だと名指しした。しかし、これには納得するような説明はなかった。なぜなら事件は、その結果により明らかになるからである。バイカル元党首が辞任し、クルチダルオール氏が新党首となった。これはAKPが、わざわざ違法で非道徳な手段を使い、身の破滅を招くようなリスクを侵すほどのことではない・・・。

しかし、CHPにおいては、単に党首が交代しただけでは終わらなかった。バイカル体制とともに、オンデル・サヴCHP事務局長とその仲間も辞職した。CHPは大きく刷新された。いまや、語られるのは「新・CHP」である。疑いなく、バイカル氏のビデオテープから「新・CHP」が生まれたのだ。

まずは一つ目の問いの答えを探そうではないか。これを誰がやったのか。CHPにおける政治的策略はだれにとっての関心事であろうか。「新・CHP」において、エルゲネコン容疑者が議員候補となったことが一つの手がかりとなりうる。CHPが「新しく」なるためには、刷新されるためには、エルゲネコン疑惑のある人物は必要ない。反対に「新・CHP」とエルゲネコン容疑者の議員候補が存在ことは、大いなる矛盾である。「誰がやったのか?」という問いへの私の答えは明らかだ:(憲法改正のための)国民投票で大打撃を受けた黒幕たち・・・。

次に、何のためにやったのか?軍部が介入する時代は終わった。AKPと競争しうる、そしてより広い層から表を集めることのできるCHPをデザインすること(新しいCHP構想がなされること)が望まれている。目の前にせまった選挙で勝つのはAKPである。これは明らかである。しかし選挙のあとCHPがまた出てきて、最大野党となり、政権を担いうるものとして補強されるだろう。おそらくクルチダルオール氏の代わりに新しい名前が登場することになる。

では、MHPに話を戻して、ビデオスキャンダルは誰の仕業か?CHPが強化される政治構造、つまり新たなバランスにおいてMHPの居場所はない。よってCHPを誰かがデザインしているなら、MHPへのビデオ映像スキャンダルも彼らがやったことだ。

以下のことは皆が知っている。CHPおよびMHPのビデオ映像スキャンダルも、すべてプロの仕業である。数か月にわたって準備をし、電話が盗聴され、MHP内部から情報が盗まれ、誰が誰とどこで会っているかが特定される。それから、時期を見計らうのである。MHP候補者が決定した後で、最もいやな映像が、中国式の拷問のように、不正かつ非道徳的に次々と提供されることになる。10人のMHP幹部は、一部のビデオテープが公表される前に辞任が確実となる・・・。

デヴレト・バフチェリMHP党首が冷静さを失わなかったなら、「海の向こうからの陰謀(=フェトフッラー・ギュレン、または、ギュレン教団の陰謀)」と、主張したりはしなかったろう。なぜなら、彼は知るべきであった、なん百万もの人が希望をつなぐ運動(政治)というものは、トルコを奮起させる再生のための一手を汚すような、このような陰湿で、非道徳で、不名誉な手段は決して使わないということを。ひとつの政党が最低得票数を獲得できないでいることなど、人類平和のために世界を担っている人々の頭の片隅にもない。このことでAKPもリスクを負うことなどありえない。全票の半分を期待できる政党は、自殺行為などしない。おそらく「海の向こうからの陰謀」であったり、AKPがやったことだとしたら、国家の他の組織の中枢部は、技術、情報、様々な力のおかげで、これを公にし、黒幕のメディアもバイラムの喜びのニュースとともに、毎日報道したであろう。これはトルコではプロの手によるものであることは明らかである。エルゲネコン裁判が続く中、国家内部に巣食う売春マフィアがゆすりのために使った唯一の手がこれである。そのために(犯人らの)居所は、他の場所ではなく、黒幕が存在し続けることを願う(国家組織)中枢部で探されなければならない。

誰かがCHPをもてあそんだなら、今回もその者たちがMHPをもてあそんでいるのだ。CHPでのターゲットはバイカル氏だった。MHPではバフチェリ氏だった。選挙まであと17日ある。MHPへのビデオスキャンダルはこれで終わっていない。新しいビデオテープがあると言われている。つまり、あらたな大スキャンダルとなるビデオテープが出てくる可能性がある。MHPは、降参して選挙選を降りなければならないかもしれない。不機嫌なMHP支持者の多くは、このような状況でAKP、CHP、どちらに投票するのだろうか。スキャンダルは大きくなっている、民主化に賛成する人々は、このスキャンダルを打ち負かさなければならない。

(訳者注)このコラムの掲載されたザマン紙はギュレン教団よりの新聞であるため、このコラムもその立場から書かれています。

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( 翻訳者:木村納菜 )
( 記事ID:22633 )