エネルギー天然資源相、国産・再生可能エネルギーを優先としたエネルギー政策を公表
2011年05月29日付 Yeni Safak 紙

タネル・ユルドゥズ・エネルギー天然資源相は、国産で再生可能なエネルギー源を優先として、すべてのエネルギー源を見直す方針であると公表した。

ユルドゥズ大臣は、司法が下した棄却・実行停止判決が水力・風力発電への投資を鈍化させてはいるが、供給の安定性という観点においては、トルコで現在いかなる供給問題も起きていないと発言した。

アナトリア通信社の記者による質問に答えたユルドゥズ大臣は、トルコ共和国建国100周年に向けて、2023年までに国内のすべての水力発電が可能な場所を経済へ組み込み、風力発電においても2万メガワット(の発電量)を達成、地熱発電では600メガワット、そして原子力発電に関してもエネルギー供給量の少なくとも10%を原子力でまかなうという目標が設定されたと述べた。2011年初頭に電気の設備容量が5万メガワットを超えたと述べる同相は、需要増加の観点から10年以内に設備容量が10万メガワットに到達する必要があると述べた。

ユルドゥズ大臣はメルスィンのアククユ(における原子力発電所建設)のためにロシアと合意したのち、スィノプ(における原子力発電所建設)のために日本と交渉を開始していることに言及した。これに関して同相は、福島での事故により現在交渉は中断しているがスィノプでの決定は継続しており、アククユとスィノプで建設される2箇所の原子力発電所が、電気の設備容量の10%を、そして発電量の20%を担うことになると話した。

再生可能エネルギーの内、水力発電においては2003年で約1万2千メガワット前後であった設備容量の限度が、2010年末には1万6千メガワットまで達したと話すユルドゥズ大臣は、風力発電所の設備容量の限度も2003年初頭は17メガワットであったが、2010年末には1280メガワットに達したと述べた。このことに関して同相は以下のように述べた。「これは十分(な発電量)でしょうか?(いいえ、)これは決して十分ではありません。しかし悲観的な見方を募らせる必要もありません。重要な前進がありましたし、今後も前進し続けます。」

再生可能エネルギーのために重要な推奨が図られると話すユルドゥズ大臣は、太陽エネルギーにおいて国内の設備使用割合を増加させるために拡大推奨策が行われる予定であるとことも伝えた。同相はこの拡大推奨が実施された際には、1ドル当たり13.3セント程度であった補助金が20セントまで上がる見込みであると述べた。

再生可能エネルギーにむけ多くの投資家たちが準備万端で待ち構えていると話すユルドゥズ大臣は、以下のように話した。「少なくともわれわれと交渉を行うためにやって来た人々を見る限り、現在民間のセクターは再生可能エネルギーへの投資を非常に熱い眼差しで見ています。早い段階でトルコと海外の合弁事業が成立し、トルコで施設が設置される方向へ進むでしょう。」

■投資家たちへアドバイス「エネルギーの混合体を作ってください」

民間セクターの投資家たちも複合エネルギーに向け投資する必要があり、しかし自由市場に移行したのちは長期投資が一つのエネルギーに対する投資にシフトしたと話すユルドゥズ大臣は、以下のように述べた。

「ではこのようにお話しましょう。あなたは天然ガスにのみ投資しています。今日天然ガスの原価は明らかです。二重協定によりあなたが市場で競合することは不可能です。競合するためにはエネルギー生産の混合体を作り出さなくてはなりません。つまり、かごの中に風力発電や水力発電も入れなければならないのです。このような形で最適な生産原価で電気をえる必要があり、こうして自由市場で競合することができるのです。トルコではここ1,2年前をさかのぼって見ると、一部の企業では、さらには大きな財閥でさえもみな1つのエネルギー分野に集中しているのがわかるでしょう。つまり、あるグループは天然ガスに、またあるグループは完全に水力発電へと殺到している状況でした。このため、現時点では、これに起因する問題がおきています。」

■司法判決は投資家を天然ガス(への投資)に仕向けている

環境派の反対運動や司法が下した棄却・執行停止判決により、水力発電への投資において現在減速が見られると話すユルドゥズ大臣は、以下のように続けた。「これらは投資家たちにも影響を及ぼしています。投資家はこう言います。水力発電や風力発電では若干の問題があり、国産の石炭においても環境影響評価報告(ÇED)による問題がある。他にエネルギー源は残っておらず、唯一のエネルギー源として天然ガスが残っている、と」

一部からは、「2023年までに、すべての国産エネルギーで需要に応えることが可能になる」との声もあると話す同相は、以下のように述べた。「われわれの勘定ではこれは不可能です。一部の組織は、『水力発電所をつくり、環境を荒廃させた』と我々を非難しています。ええ、中には悪い例もあります、それを否定はしません。周辺環境への配慮は絶対にしなくてはなりません。しかし今回は、意見が彼ら自身の中で矛盾したこともいっています。一方では再生可能エネルギーを使いましょうと言い、また一方では水力発電所(HES)の建設は止めましょう、周辺環境に害をもたらします。風力発電所(RES)の建設も止めましょう、レーダーに障害をもたらします。原子力や国産の石炭(の使用)も止めましょう、公害をもたらします、と言うのですから。」

関連する省庁や市民団体組織に対し継続的な呼びかけを行っていると話したユルドゥズ大臣は、以下のように発言した。「われわれは常にこのように述べています。一つのテーブルを囲んで話し合いましょう。そして政治的な考えではなく、技術的な問題として話しましょう。どうぞわれわれに仰ってください、ここは歴史的遺産という観点からレッドゾーン、ここは自然遺産を保護する観点からレッドゾーン・・・と。このような見解をわれわれに示してください。われわれはこのようなレッドゾーンの上にある候補を線で消し、そして、残りのを作りましょう。予定地のすべてがレッドゾーンではないのです。」

今日、自身と同じように50歳を目前とした多くの人々が、幼少期にガス灯の下で勉強したことや、かつてはそうであったというのに今の若者世代は5分間の停電でさえ我慢できないという話をした同相は、以下のように述べた。「今日誰もが5分間の停電でさえ我慢出来ません。電気なしではインターネットも使えませんし、テレビも見ることが出来ません。掃除だって出来ないのです。このため、エネルギーはバランスの問題なのです。環境にも、人間にも配慮します。しかし供給の安定性を強化する件に関しても、少なくともこれらと同じくらい配慮する必要があります。」

■原子力や再生可能エネルギーが利用できなければ、480億立方メートル以上の天然ガスが必要

トルコでは電気がどのようなエネルギーから生産されるべきか意見統一がなされていないと話すユルドゥズ大臣は、さらに以下のように発言した。「風力発電はレーダーに障害をもたらすからするな、水力発電や石炭、原子力も周辺環境に害をもたらすからするな。この4つの要素がゼロになったとき、2023年にわれわれは年間480億立方メートル以上のガスを消費しなくてはならなくなります。これもまた今日の価格に基づいて計算すると年間150億ドルにものぼります。5千メガワットの設備容量をもつ原子力発電所の建設はというと、おおよそ200億ドルの費用がかかります。」

■2023年には電気の使用量は4500から5000億キロワット時となる

年間平均7%増の計算すると、2023年には約4500から5000億キロワット時の電力消費となると話すタネル・ユルドゥズエネルギー天然資源相は、このためにも2023年までに5万メガワットの追加容量が必要であると強調した。

ユルドゥズ大臣は、この設備容量はおおよそ750億ドル程度の投資となると話し、以下のように述べた。

「省庁としての目標は、まず国産で且つ再生可能なエネルギー源であることを前提に、すべてのエネルギー源を見直すことです。原子力を優先して、他はやらない、または風力を優先してその他を行わないということはありません。これらすべてを見直す必要があります。重要なのは、消費者価格を引き下げる形で、最適な生産コストを保持する生産混合体を作り出すことです。」

「われわれは原子力発電所を5基建設しましょう、5千メガワットから2万5千メガワットの設備増強となりますなど言いません。また風力や水力、輸入石炭や国産石炭での生産は止めましょうとも言いません。われわれの最優先事項は供給の安定性を強化することであり、2番目に優先することは最適な生産コストを保持するエネルギー源の多様性を強化することなのです・・・」

発電施設への投資に関しても情報を伝えたユルドゥズ大臣は、2010年に民間セクターの側から4千800メガワット分の投資が行われたことや、今年度も約2千500から3千メガワットの間で投資の参入があると考えていると発言した。

ユルドゥズエネルギー天然資源相は、2011年を俯瞰してトルコが380億キロワット時程度の余剰分を有していると話し、「現時点で供給の問題はありません」と発言した。

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( 翻訳者:指宿美穂 )
( 記事ID:22699 )