Derya Sazakコラム:エルドアンvs.英「エコノミスト誌」
2011年06月04日付 Milliyet 紙

イギリスの雑誌エコノミストが、トルコの有権者に向けて「民主化のために共和人民党(CHP)に票を入れよう」とよびかけたことが、首相エルドアンを怒らせた。

エルドアン公正発展党(AKP)党首は、コンヤでの集会で、同誌が分析を超えてCHPに対し、はっきりと票を求めているとし、厳しい言葉で批判した。タイイプ(・エルドアン)氏は、CHPのケマル・クルチダルオール氏がある「意図」によりバイカル氏に取って代わったことを「計画的なこと」とみており、それを、背後にある「陰謀団」と結び付けている。昨日は、さらに「限度を超えた」分析を行い、この「陰謀」に「国際的な組織」を付け加えた。エコノミスト誌がCHPに加勢したことを、「地球規模の陰謀団」とまで表現した。

エコノミスト誌の記事はAKPが「3回目」の政権を獲得するという政治的予測についても言及されている。選挙前に外部でこの類の報道がなされるというのはよくあることである。ここ10年の分析記事ではAKPの「成功」が前面に出されてきた。

(今回は)6月12日の選挙を前に、はじめて野党の、特にCHPのパフォーマンスが強調されている。AKPとエルドアン首相が進める憲法改正と大統領制にブレーキをかける選挙結果が、民主主義の将来やその後の選挙で野党が政権を奪うという観点から、より良い結果を導くと強調されている。

エコノミスト誌は、トルコがイランのようなイスラム体制に陥る脅威からではなく、民主主義が危機に陥る脅威にあると主張している。このため「トルコ人たちがCHPに投票すること」を勧めている。政府がすすめた民主化への歩みや軍隊の(政治からの)排除に向けた改革とは逆に、強引な逮捕や、表現の自由の制限、中国をもしのぐ数の収監中の新聞記者たちといった点で、批判を展開している。

イギリスでは、選挙時期にメディアが自国民に政治的示唆を与えるのは見慣れないものではない。ただ、ここで妙なことはエコノミスト誌がトルコの読者に投票する党を明示しているところだ。

首相はこの見慣れない状況を、CHP政権獲得プロジェクトと結びつけ、「地球規模の陰謀団」と発言した。

エコノミストの報道は呼びかけを超えて、(支持の)確定や支援を表現するものであり、(この結果は)6月12日にはっきりする。過去にも、同様の報道があった。例えば、1980年9月12日に起こったクーデターの前に、アメリカ合衆国と西洋諸国のメディアが政治的分析をアンカラに向けて発信した。1983年の選挙においても、国家保安評議会を差し置いて、(トゥルグト・)オザル(のち、首相)を支援し、その方向で報道を行った。AKPも設立以来この追い風を受けていた。アメリカ合衆国がイラク占領を決定した際に、政権の座にはエジェヴィット(元首相)はいないと報道された。2002年には、AKPが単独政権を樹立するものと西洋のメディアは報じていた。

エコノミスト誌は6月12日の選挙でCHPに票を求めてはいるものの、「世論調査をみると」AKPが勝利するだろうと述べている。

選挙演説で厳しい言葉を使うことが昨今の流行となっているため、エルドアン首相もエコノミスト誌に怒りをあらわにし、CHP政権獲得プロジェクトを「地球規模の陰謀団」と表し訴えた。

CHPが選挙で第一党として選ばれるかどうかはわからないが、(AKPが選挙に勝って)首相がバルコニーで勝利の演説を行うことになるなら、ちょっと言い過ぎたと謝る準備をしておく必要があるだろう。

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( 翻訳者:奥 真裕 )
( 記事ID:22769 )