Hakan Albayrakコラム:全世界の目がイスタンブルに
2011年06月08日付 Yeni Safak 紙

昨日の本紙に私は次のような記事を書いた:

「エルドアン首相がディヤルバクルとイズミルで行った講演で前面に打ち出したのは、政府は国民と共にある、ということだった。こうした方向性をもって踏み出す一歩一歩によって、トルコが持っている『理想の国家』の潜在的な力の一面が明らかになるし、社会の平和と繁栄という観点でトルコは他国を一歩リードすることになる。そしてまた(こうした一歩は)、トルコを力強い国にするし、トルコに及ぶ悪の力を弱体化させることにもつながる。」

しかし、これにはまだ続きがあった。

このプロセスは、中東やバルカン、アフリカで謀略を尽くす悪の力をも、次第に弱めていくのだ。

プロセスが完了したとき、そしてトルコの潜在的な力の全てが明らかになったとき、トルコは、無情な海で溺死させられそうになって苦しむ全ての人々にとっての救命浮輪、あるいは寄港できる安全な港、さらには避難できる正義の島となるであろう。

エルドアン首相がイスタンブル市クズルチェシュメでの集会で大観衆を前に行った演説では、こうした方向性で意思表示がなされた。

そこでエルドアン首相は次のように述べた:

「イスタンブルとは神の信託であり、文明を意味します。イスタンブルは歴史であり、知であり、信仰です。世界中の貧しい人々、苦しんでいる人々、恵まれない人々がイスタンブルに視線を注いでいることを知っています。カブール、バグダット、サラエボ、スコピエ、プリズレン、ベンガジ、トリポリ、カイロ、ガザ、そしてラマラの人々がイスタンブルに注目していることを知っているのです。このイスタンブルは、3つの大陸においてフトバで名前が挙げられた街、聖なる遺物をもつ街です。そして神聖なるこのイスタンブルは、五大陸の涙が流れた街です。我々は自らに課せられた責任が何であるか分かっていて、苦しんでいる無邪気な子供たちの視線が我々に注がれていることも知っています。我々が声をあげ、手を差し伸べ、そして救済することを世界が期待していることを私たちは知っています。文明が、歴史が、文化が我々に課した遺産に対して責任があることも知っています。
では、それらのために、私たちは何と応えるか。それには、奉仕、国家、民主主義、自由、基本的権利と自立を挙げることができましょう。
私たちの兄弟よ、我々が望むのは非人道的な支配、あるいは残虐な統治が行われる世界ではなく、寛容で敬意に満ち、連帯し、友愛、友好が主となる世界です。それ以外に私たちの目的はないのです。このような世界をめざして我々は戦っているのです。
このために、世界中の目が再びイスタンブルに向けられているのです。EU、国連、NATO、OECD、イスラム諸国会議機構、頭に思い浮かんだ何でも結構、G20においてでも、私たちの力でもってこのことを説明していますし、苦境下にある人々の声になろうと努めています。なぜなら我々は(政治の道へ)歩み始めるとき、次のように言っていたのです:誰もいないという人の“誰か”になろう、声を出せない集団の声になろう、こう言って歩みだしたのです。
私たちが何を望んでいるか、みなさんは知っていますか? 独裁者たちが人々を抑圧することのないように、非情な暴君たちが苦しむ人々を虐げないように、大きな力を手に持つ者たちが争い好きな有力者と一緒になって子供たちを殺すことのないように、国際的な海域で海賊行為が起こらないように、母子がいる海岸に爆撃し子供たちを7人も殺すことのないように。そしてまた、白リン爆弾をガザに投下することのないように、これらが私たちの望むところなのです。不釣合いな力を利用して人々を殺さないでほしい、こうした心配をしているのです。
私たちの兄弟よ、我々は周囲の問題はゼロに、と言っています。バルカン、中東、コーカサスでも、平和的な統治がなされるよう働きかけています。親愛なる兄弟よ、トルコはとても偉大な国です。トルコは経済によっても、人間的にも、そして若年人口(の多さ)によっても力を誇る国です。歴史や文明、文化の面でも偉大です。兄弟よ、我々トルコはその辺のありふれた国とは違うのです。我々は氏族国家ではないのです。トルコはこのように偉大な国とみるのがふさわしいのです。」

一方のAKPがこのようなビジョンを掲げているのに対し、他方のCHPは「私たちがいれば、イスラエルの人々を悲しませることはなかったのに」という態度。(注1)
世界システムの大物たちを代表するエコノミスト誌が共和人民党への投票を呼びかけるのは、当然だろう。(注2)

訳者注1:CHPクルチダルオール党首が、パレスチナへの支援船マーヴィ・マルマラ号の派遣は不法だった、と述べたことを受けている。
http://www.el.tufs.ac.jp/prmeis/src/read.php?ID=22779

訳者注2:英エコノミスト誌は、6/12総選挙でCHPへの投票を呼び掛けた。
http://www.el.tufs.ac.jp/prmeis/src/read.php?ID=22758

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( 翻訳者:金井佐和子 )
( 記事ID:22816 )