Oral Calislar コラム:首相の不機嫌と、「クルド問題」の行方
2011年06月10日付 Radikal 紙

選挙期間中、もっとも関心を持たれたテーマは、各政党のディヤルバクル集会だった。世論は、おそらくかつてなかったほど、各政党のディヤルバクル集会を検討し、比較し、市民の反応について考えた。

平和民主党の元副党首アイセル・トゥールクは、昨日、アブドゥッラー・オジャランを訪問した。記者たちは、オジャランが収監されているイムラル島から帰り、彼女らが述べるであろうメッセージを待ち構えていた。「オジャランは何を話した?」「自治区問題をどう考えている?」「6月15日以後、大混乱がおきるといっていたが、それはどういう意味だったのか?」などなどの問いに答えをまっていた。

民族主義者行動党の大物の多くが、不適切映像の存在が明らかになり、政治から消されたことも(実際、この問題は、先でよくよく検討しなくてはなならない、異常な事件である)、タイイプ・エルドアン首相とケマル・クルチダルオールCHP党首の間での激しい政治的論争も、選挙期間中の重要なヘッドラインを占めていた。しかし、ディヤルバクルに対する関心は、おそらくその全てを上回っていた。

■不機嫌の理由は、「クルド問題」?

エルドアン首相はクルチダルオールCHP党首を批判するにあたり、昨晩、記者らに、非常に微妙な言い方をした。

「クルチダルオールは、ハッキャーリで、「地方的自治区」という言い方をした。彼は、落とし穴に落ちたも同然だ。あるいは、実際、そういうことを望んでいるのかもしれない。クルチダルオールは正直にしゃべらない。誠実さがない。我々の政権下で、クルド人が同化されているなどと言われる筋合いはない。」

この分野についてイニシアチブを握っているのがAKPであることは疑いないが、CHPの最近の攻勢でバランスは少しだけ変わったようにも見える。今後、自治区論争が進んでいけば、このバランスはさらにかわっていくかもしれない。

首相が、近ごろ不機嫌な理由も、おそらく、クルド問題についての主導権が、じょじょに自分たちの手から離れていることにあるのだろう。つい最近まで、クルド問題の解決の意思と可能性を手にしていたのは、AKPだった(実際、AKP政権になって、多くの方策がとられたことは間違いない)。

■解決の、新しいパートナー

しかし、クルド問題の解決がAKP単独では難しいことは、当初からわかりきったことだった。政党や国家で中心的な役を演じている人々の参加が不可欠であることは、我々が常に指摘してきたことだ。平和民主党やクルド人の政治運動は、長いあいだ、交渉の相手としてではなく、敵対者として見られてきた。しかし、今や、世論の多くが(そうはっきりとは表明しなくても)、クルド政治運動が、解決のためのもっともの重要な要素のひとつであることを認めている。

これら全てのことを、首相自らもおおよそ理解しているとみて間違いないだろう。

しかし、エルドアン首相は、違った道をとることにこだわっている。すなわち、平和民主党に対し、「テロを擁護している」と批判し続ける道を選んでいる。もちろん、その一方で、イムラル島のオジャランや、PKKキャンプのあるカンディルが何を言わんとしているのかも、注意深く追っている。オジャランについて、厳しい表現で批判する一方で、オジャランと接触も続けている。

最大与党CHPは、つい最近までは解決の一部ではなく、むしろ問題そのものの一部だった。しかし今やバイカル元党首の時代とは違ったアプローチをみせている。もうひとつの「問題の一部」は、軍である。しかし軍も、以前とは異なり、より注意深い行動をとるとみていいだろう。

■首相の不機嫌

そして、ここでAKPにとっての難しい状況がはじまる。おそらく選挙に勝って政権を続けることになる、そして、ある意味で全ての責任をその双肩に負いつづけることになるエルドアン首相は、ついに、解決が目の前に迫っていることを理解している。かつてのような道幅はもう残っていないことが分かっているが故の、緊張。(CHPや軍が変わった以上)「解決の失敗を、人のせいにする」という方法も、もうとれない。

PKKは、もはや、山を降り、抗争の終結を望んでいる。オジャランを牢獄から出し、自宅監禁という要求も出されている。母語での教育も非常に強い、(そして、もはや撤回されることのなさそうな)要求として、首相の目の前に横たわっている。クルド政治運動は、「自治区」カードを切った。首相は、ディヤルバクルに行き、イムラル島のオジャランやカンディルのPKK本部に常に目を配っている。CHPの新しいクルド問題解決策に目を通している。

問題の解決が、否応なしに、突き付けられている。
彼の不機嫌は、ここからきているのではないだろうか?

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( 翻訳者:トルコ語メディア翻訳班 )
( 記事ID:22837 )