イランでは24分に1人が交通事故で命を落としている(3)
2011年06月07日付 Mardomsalari 紙

ノウルーズの交通事故死者数をめぐり矛盾した統計

 治安維持軍交通警察長官が、1390年のノウルーズ(新年)期間中〔※イラン暦元旦3月21日前後の約2週間に及ぶ休暇期間〕の交通事故件数は15%減少し、死者数も10%減少したことを明らかにした翌日、法医学庁の医学・実験担当副長官は「既存の統計では、交通事故での死者数の増減について云々することはできない」と述べた。

 アブドッラッザーグ・バルゼギャル副長官は、各地の法医学センターから同庁の統計課に寄せられた情報によると、今年のノウルーズ期間中の交通事故での死者数は全国で1200人であると指摘し、さらに「ノウルーズ期間中の交通事故死者数についてまとめられた統計は、1389年12月25日から今年の1月15日〔※西暦2011年3月16日〜4月4日〕までのものであり、その統計について今後変更になる可能性もある」とも指摘した。

 例年と同様に今年も、イラン赤新月社、交通警察及び救急隊は、ノウルーズ休暇後、交通事故による死者数について事実とは異なる相矛盾した統計を発表した。しかし法律によれば、これらの機関のいずれも、この点について発表を行うことを自らの職務としているわけではない。

 ノウルーズ期間中の交通事故死者数に関する統計の矛盾は、例えばある機関は交通事故による死者数を30%減、また別の機関は10%減、さらに別の機関は10%増、などと示すまでになっている。

 今年の1月の最後の週〔※西暦2011年4月中旬〕、国道道路安全委員会事務局の責任者は、同委員会の決定によれば、国家法医学庁が国内の道路上での死者数を発表する権限を有した唯一の機関であると指摘した。同氏はその上で、「国内の道路上での事故数を発表する問題では、救急隊は負傷者数の発表義務を、赤新月社は市民に奉仕し、彼らを救助した件数についての発表義務を、警察は事故件数についての発表義務を負っており、どの機関も死者数について発表するのことはできないのだ」と述べている。

 メフラーン・ゴルバーニー氏は「州副知事らの多くが、なぜ統計によって数字が異なるのか、なぜ普遍的な統計がないのかと、不満や苦情を口にしている」と続けた。同氏はそさらに、交通事故での死者のうち50%は病院へ搬送する時、または入院した後に亡くなっていると述べ、「警察は事故現場を取り仕切る役目である以上、警察が正確で完全なデータをもつようなことは絶対にありえない」と指摘している。

 道路運輸省の技術研究課長によると、負傷者はすべて病院に搬送されているので、事故による負傷者数は救急隊(保健省)からの情報だけが信用でき、死者数については法医学庁の発表が正確だという。

 同氏は、過去10年間、警察は常に交通事故件数が減少したと発表し続けてきたと述べた上で、「事故の件数は毎年減少しているのに、事故件数に対する死者数〔の割合〕は高くなる、などということがどうしてあり得ようか。これは一種の警察の仕事の宣伝なのであって、正確性に欠ける」と指摘している。

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( 翻訳者:斉藤美海 )
( 記事ID:22904 )