Sami Kohenコラム:選挙に対する外国の視線
2011年06月11日付 Milliyet 紙

トルコで行われる選挙に対して、今回、海外メディアや海外アナリスト達は大きな関心を示している。今回の選挙では政権交代が期待されないにも関わらずこのように関心が示されているのには、2つの理由がある。

第一の理由は、トルコに対して付された重要性である。近年トルコは地政学的な位置づけのみならず地域大国としての地位も向上させ、真に世界各国の注目を集める国となった。第二の理由は、レジェプ・タイイプ・エルドアン首相が持つ権力とパーソナリティーに関係する。まず、エルドアン首相は「メディア受けする」リーダーであることを認めなければならない。改めて首相となることが確実視されているエルドアン首相が、三期目にどのような政策を行っていくのかには関心が寄せられている。

海外メディアの間に見られる一般的見解は、首相が今後どのような行動をとるは、彼が選挙で手にするであろう勝利の度合いで決まるというものだ。つまり、彼が思惑通りトルコ国民議会で圧倒的過半数を得ることができれば、野党や自身の味方でない人のいうことに耳を貸さず、自分勝手に振る舞うだろうというものである。その見解が正しいか否かはともかく、海外メディアの間ではこのような懸念が存在している。

これは、英国雑誌『エコノミスト』を筆頭に、イギリス、アメリカ、その他非常に多くの国の新聞や雑誌で報じられた。これらの報道では、首相が近年トルコにおいて自身を批判するメディアや周囲に対して厳しい姿勢をとっていることに依拠し、選挙で圧倒的過半数を得た場合、より権威的にふるまうようになるだろうという主張が展開されている。

これに基づく社説を最初に掲載した『エコノミスト』は、これに加えて、議会で公正発展党とバランスをとるために共和人民党に投票するようトルコの人々に呼びかけ、首相の大きな怒りを買った。
エルドアン首相はこの問題を、選挙演説集会で話題にし、この雑誌が世界的犯罪組織によって操作されていると主張した上で、さらに後の演説においても「イスラエルロビー」や「ユダヤ資本」との関係に言及した。首相がこのような主張や批判を行ったことで、海外メディア間や外交界では、首相のポピュリスト的かつ権威主義的傾向に関する懸念はさらに高まった。

実際には、『エコノミスト』を含め、雑誌や新聞に掲載される選挙関連のニュースや記事には公正発展党や首相にとって歓迎すべき要素も含まれている。例えば、公正発展等が政権を取得して以来、実現させてきた政策が賞賛されており、第三期目も公正発展党が選挙に勝利することは重要な政治的成功であるという主張がなされている。

また、『インディペンデント』紙は、9年近い間政権を握っているエルドアン首相が4年同職にとどまることに対して一切懸念をいだいておらず、例としてイギリスのマーガレット・サッチャーやトニー・ブレアもこのように長期間国政を握っていたと報じている。

さらに、『フィナンシャル・タイムズ』から『ウォール・ストリート・ジャーナル』まで多くの新聞が、公正発展党が政権期間中におさめた、トルコ国内での経済的成功について論じている。同様に、トルコが外交で獲得した成果や担った役割、獲得した国際的な会議などの催し物を列挙し、公正発展党およびエルドアン首相の成功を飾っている。

トルコにおける民主主義的発展に概ね肯定的な人、特に軍の政治的影響力の排除を勇気ある一歩と認定している人もいる。しかし、一方で人権や自由の領域での制限や、圧力、首相の権威主義的姿勢には否定的で、懸念が残るとされている。

選挙を通してみた他国のトルコに対する一般的見解はこのようなものだ。選挙の結果も同様の観点から評価されるであろうことは間違いない。

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( 翻訳者:磯辺菜月 )
( 記事ID:22956 )