「新たなオスマン帝国の出現か?」米ニューズウィーク誌のトルコ評
2011年06月20日付 Radikal 紙

アメリカの週刊誌ニューズウィークに掲載された記事の中で、「トルコがその力を示すにつれ、近い将来、息を吹き返したオスマン帝国と直面することになるかもしれない」との見解が述べられた。

ニューズウィーク誌のニオール・ファーガソン記者の「中東の次のジレンマ」というタイトルの記事で、「大中東地域に駐留する米軍兵士の削減について、アメリカの共和党の党首候補者らと大統領の間で調整が行われている」とし、「誰一人答えようとしない質問は、アメリカが手を引いたあと、この地域で何が起きると思うかという質問だ」と伝えられた。

記事では、この状況で起こりうる3つのシナリオを挙げている。

<幸せのシナリオ>では中東地域諸国が次々と西洋的民主主義に組み入れられていく、<悪夢のシナリオ>は内戦またはイスラム革命が勃発するというものであるのに対し、<第3のシナリオ>では「オスマン帝国の再生」が挙げられた。

この記事では、オスマン帝国が17世紀までに獲得した地域や、帝国領の広大な地理を説明し、18~19世紀にはバルカン半島と北アフリカの領地のほとんどを失い、「ヨーロッパの病人」と言われ、第一次世界大戦後に帝国が消滅してトルコ共和国が建国したと紹介されている。

■エルドアンがもたらした変化

記事では、最近までは、トルコがEUに加盟するかどうか、加盟するならそれはいつか、という質問がされており、トルコ建国の父ムスタファ・ケマル・アタテュルクがはっきり示したように、トルコ人が自分たちの視線を、はっきりと欧米化にむけていたとみられるが、「首相がエルドアンになった2003年以降、この方向性に変化が起きていること」について触れられた。

また、エルドアンがかつてイスタンブル広域市長を務めていた時に、それを読んだために投獄されたという詩を引用して、「はっきりいえることは、エルドアンの希望は、トルコをアグレッシブなイスラム国家にすることのみならず、同時に地域の超大国とし、アタテュルクよりも前の時代に戻そうという方向にある」とのべている。

記事は「エルドアン首相の、世俗主義の牙城である司法・マスコミ・軍隊に対しおそらく自身の権力を高める形で進めている憲法改正の努力、イスラエルがガザ地区で「国家テロ」を行っていると次第にそのトーンを高めて行っている批判、「アラブ諸国の春」がもたらした機会を利用し、シリアを強く非難する一方イランを支配下に収めようとする努力、さらに自分自身を主役として宣伝することなどの巧みな戦略が、トルコの変化を物語っている」と伝えている。

■オバマの訪土は偶然ではない

また記事では、アメリカ合衆国大統領のバラク・オバマが外国訪問の最初の目的地の一つにトルコを選んだのは偶然とは思わないと述べられた。公正発展党(AKP)が今回の選挙にも勝利し、3期連続で政権を獲得したことも驚くべきことではないとし、「けれども私たちは、エルドアン首相をもっと近くで見ていく必要がある。なぜなら、エルドアン首相が、トルコを、スルタン・スレイマン1世も驚くような形で変化させようと妄想していると疑うに十分なほどの理由があるからだ」と論じた。

エルドアンが選挙後におこなった「バルコニー演説」での「イスタンブルと同じくらいサラエヴォも勝った。イズミルと同じくらいベイルートも勝った。アンカラと同じくらいダマスカスも勝った。ディヤルバクルと同じくらいラーマッラー、ナーブルス、ジェニン、ヨルダン川西岸地区、エルサレム、ガザも勝った」という発言を掲載し、「エルドアン首相はあるとき、民主主義を電車に例えて“駅に到着してから下りればいいのです”と言った。もしエルドアン首相のリーダーシップのもと“中東に新しいムスリムの帝国を建設する”方向性が浮かび上がるのならば、その時は私たちを大きな驚きが待ち構えている、ということになるだろう」と締めくくった。

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( 翻訳者:池永大駿 )
( 記事ID:22978 )