Murat Yetkinコラム:トルコ政府注視、「シリアは約束を守れるか」
2011年06月21日付 Radikal 紙

シリア・アサド大統領の昨日の発言に対し、トルコ政府の反応は「見守ろう」であった。しかし、待つ時間はそう多くは残っていない。

シリアのアサド大統領は本当に何とかして国を救いたいのだろうか、それとも他の国々の独裁者が歩んできた-そして失敗に終わった-道を経験する時間がほしいのだろうか。
シリアのアサド大統領が昨日ダマスカスの大学関係者に対し行った演説の後、トルコを含めさまざまな国の政府で問われた質問はこれである。

この発言をアサド大統領が強く望んでいたとは言えない。実際、これが行われたのは、トルコ政府がそうするように示唆したからだ。

タイイプ・エルドアン首相が6月12日の選挙での勝利の後、最初に取り組んだ問題は、昨日現在トルコとの国境において1万1千人以上もの難民が生まれたシリア危機である。新たに議員選挙で当選したアフメト・ダヴトオール外務大臣は、次なる策略を決めるために関係国にいるトルコ大使をアンカラへ招集した。目的は6月15日に彼らと集まり、意見を得ることであった。しかし、出来事はトルコ政府が思っていたよりも早く流れ始めた。

ベシャル・アサド大統領が側近(そしてスニ・トゥルクメン系の元参謀本部長)であるハサン・トゥルクマニ氏を特別使節としてアンカラに派遣してきたことを受けて、ダヴトオール外務大臣は計画を変更した。大使らと集まる代わりに6月15日にハタイへ行き、国境付近の難民キャンプの状況を自身の目で見ることを望んだ。目的は、同日の夕方にアンカラへ戻りエルドアン首相とトゥルクマニ氏の会議に間に合うことであった。

しかし、ダヴトオール外務大臣はキャンプで見た悲惨な状況を受けて再び計画を変更し、その日はハタイに泊まった。キャンプでは自分の目でみただけでなく写真も取ってアンカラに戻った。16日朝トゥルクマニ氏と会ったときには、考えははっきりしていた。アサド政権はトルコに避難してくる人々はテロリストであると述べていたが、ダヴトオール外務大臣が見てきた人々の大半は生命の危機にある女性や子供であった。

エルドアン首相もダヴトオール外務大臣も会談においてトゥルクマニ氏に2つの基本的なメッセージを送った。

1、シリア軍は自国の国民に対する広い範囲での武力行使をやめるべきである。2、改革スケジュールを、日程を示して公表すべきである。
エルドアン首相がアサド大統領に送ったメッセージの意味は「これらをすぐに公表すれば、国にとってもあなた自身にとっても良いだろう」であった。会見はできれば月曜日、つまり週の頭に行われるのがよい、と伝えられた。

1つ目のメッセージは言うまでもない。2つ目は異なった意味合いがある。アサド大統領は以前にもトルコ政府に対し、改革スケジュールを公表することを約束していたが5月30日会見では、その約束は守られなかった。トルコ政府は昨日の会見がシリアにとってはそうではなくとも、少なくともアサド大統領のためには最後のチャンスであるという考えを伝えていた。

また、エルドアン首相は電話会談を2回行った。最初はアサド大統領、2回目はバラク・オバマ米大統領と行った。トルコは隣国であるシリアをリビアで起きたような他国介入の危機にさらしてほしくないことは明らかだ。しかし、擁護され得ない事態に至ってしまったバース党体制に対し、こうしたトルコの支援が、もはや与えられないことは明らかだった。

ダマスカスから来た最初のサインは前向きなものであった。6月17日、金曜礼拝の直前にアサド大統領のいとこであるラミ・マクフルフ氏は現職から退くことを明らかにした。シリア航空から携帯電話ネットワークまで多くの会社の社長であるマクフルフ氏はシリア反対勢力から汚職や贔屓の張本人と見なされ、反感を買うシンボルとなっていた。トルコ政府の「汚職者を守るな」という示唆は有効で、おそらく他の示唆も聞き届けられると思われた。

今日の会談はこのような目で見られていた。会見は、トルコ政府を全体的に満足させないとしても、「見守ろう」と言える要素はいくつかあった。たとえば8月には選挙を行うと約束をした。しかし選挙にすべての政党が入れるような政治活動の自由性があるのか、国際社会が選挙を監督できるのかという点においてあいまいさが残った。

これや他の問題をトルコ政府は監視することにした。さらに、もはやこれを消極的な形では行わない。外務省や諜報関係者に加え、アブドゥッラー・ギュル大統領も中東問題の主席補佐官であるアルシャド・ヒュルムズル氏を特別任務としてハタイの難民キャンプに送った。

アサド大統領が、約束を短期間に実現すればトルコ政府が提供する保護を続け、そうでない場合にはアサド大統領側に残る国はおそらくイラン以外なくなるだろう。

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( 翻訳者:入口 愛 )
( 記事ID:23205 )