キプロス問題、トンネルの出口はみえたのか?
2011年07月11日付 Milliyet 紙


ダヴトオール外相が、キプロスで2012年に国民投票が行われうると話したことから、キプロス問題は今まで以上にその解決に近づいたかのようにみえる。トルコ系住民にとって歴史的な一歩となった3者会談に関して、エルオール大統領のスポークスマンは「問題解決に向けた道筋がはっきりした」と話した。

南キプロス・ギリシャ側がアナン・プラン(訳者注)に反対したことにより中断されていたキプロス問題をめぐる話し合いが、2012年までに「幸せな結末」に至るのではないではないかとみられている。7月7日にジュネーヴの国連本部で開かれた3者会談では、今日までの話し合いで最も具体的な一歩が踏み出され、提示された解決策は次第に明確なものとなった。国連の潘基文事務総長、北キプロス共和国のデルヴィシュ・エルオール大統領、南キプロスのディミトリス・フフリストフィアス大統領の間で開催された3者会談の中で、北キプロスは問題解決のために“寛大な”一歩を踏み出し、事務総長も10月までに明確な解決案を用意することを約束した。エルオール大統領のスポークスマン、クドゥレト・オゼルサイ氏は、キプロス3者会談において、ある種の日程表のように、交渉の過程がどこに向かっていくかがはっきりと記された交渉プログラムがつくられたことを明らかにした。

【訳者注:アナン・プラン:国連事務総長のコフィ・アナン(当時)によって提示された、北キプロスと南キプロスの双方に高度の自治を認めるとした和平案。2004年に同案受け入れの是非を問う国民投票が両共和国で実施され、北キプロスでは賛成多数となったが、南キプロスでは反対多数となり、以降和平交渉は中止となっていた。】

■国連「解決がなければ私たちは身を引く」

一方で南キプロス側は、ダヴトオール外相の北キプロス共和国訪問とジュネーヴ会談に対して異なるとらえ方をしている。ギリシャのフィレレフテロス紙によると、国連はキプロス問題について、「合意に至るか、あるいは国連のキプロス問題とのかかわり方を見直す」という2つの選択肢に基づく案を出したと報じている。同紙は国連が「12月に国際会議を開催し合意を達成するか、あるいは問題解決に向けた努力を放棄し、国連はキプロス問題とのかかわり方を見直すか」という見解を示していると伝えた。またこれらの意見が「ギリシャ側から見れば圧力、さらには脅し」として受け取られるのは明らかであるとした。さらに同紙は「トルコの目標は“支分国家”同盟」という見出しの記事の中で、ダヴトオール外相の発言を引用し、年末までに全てが解決する希望があると報じた。

■EU委員会から電撃訪問

EU委員会のステファン・フューレEU拡大・欧州問題担当委員が今日トルコを訪問する。2日間に渡る公式訪問の日程でフューレ氏は、6月12日選挙後トルコ―EU間の関係強化や、キプロス問題の交渉プロセスにおいて今後生じうる事柄への対応などを話し合う予定だ。また会談のなかでは、ビザの免除期間の拡大に関するトルコ側の要望がEUに伝えられることも明らかとなった。外務省の会見で「フューレ氏の、新政府の発足後に実現した最初の公式訪問であり、この訪問はトルコとEUの関係前進に関連して、互いに政治方針を確認する点でも意味があるものになるだろう」と発表された。

(本記事はAsahi中東マガジンでも紹介されています。)

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( 翻訳者:池永大駿 )
( 記事ID:23233 )