Mehves Evinコラム:原発は経常赤字解消の手段とはならない
2011年07月11日付 Milliyet 紙

タイイプ・エルドアン首相は金曜日、新しい施政方針を発表した。当然ながら皆の注目は、クルド問題に対するイニシアティブや法案の期限内提示、議会における対話強調といった喫緊の課題に集まった。
これらはもちろんよいことだ。どれくらい本気かどうかは、今後時間とともに明らかになるだろう。
しかし、政府のプログラムは単に新憲法や進んだ民主主義といった問題だけに限らない。とりわけ、経常収支の赤字に関してとるべき方策についてのプログラムもあった。結局のところ、2011年の第一四半期に経常赤字が113%増加したことが警鐘を鳴らしている。中央銀行のデータによれば経常赤字は296億4200万ドルである。

公正発展党政権は、経常赤字が「構造的」理由から生じていると信じている。そのため、エルドアン首相はエネルギーの海外依存に目を向け、経常赤字を削減するために(とるべき方策の)リストの最上位へ新しいエネルギーへの投資を挙げている。
そのスローガンとは:トルコは原子力エネルギーへ参入する、それ以外の道はないのだ!
最初の段階では耳障りのよい、妥当なものと映ったのだろうか?そうとしか言いようがない、なぜならこのことをこれまで議論した、と言えるメディアがないのだから。しかし少々経済を理解している人ならば、経常赤字が長期的なエネルギー投資によって相殺できるようなものではないことはすぐにわかる。

■それでは、貯蓄は?

経常赤字は、大まかに言えばある国が生産する以上に多くを消費するという意味である。生産する以上に多く行われた消費(支出)は他の国から借金をすることによってまかなわれる。
サバフ紙のコラムニスト、オカン・ムデッリスオール氏は「経常赤字に対する構造的方策の基本は、貯蓄(節約)傾向を奨励して、工業生産の形態を刷新することに基づく」と書いている。その他の考えとしては、輸入品の価格をより高くすること、輸出を強化すること、トルコリラの過大評価を防止するなどが経常赤字の解決策になり得る。

しかしながら、(現実の経常赤字対策としては)最上位にエネルギー入札が明言されている。ところが実は、今日計画されている原子力発電所プロジェクトが現実のものとなるためには少なくとも6年が必要なのだ!雇用になんら効果をもたらさないように-原発で働くことのできる熟練職員はローカルでは調達できない-集合住宅局と同じような考え方では原発を作ることなどできない。

では、今日の経常赤字問題は、何年も後に計画されているプロジェクトによって解決できるものなのだろうか?せめて首相の政策顧問たちには、施政方針を作成するにあたって、もう少し細心の注意を払ってもらいたいものだ。

■私たちトルコが作るわけではない。

原子力発電所で作られる電気がどの程度「自分たちで作っている」ものになるのかというのとは、別の話しだ。
なぜなら、アククユ原発に関する合意によると私たちはロシアから電気を買うことになる。さらに言うなら自分たちの土地に作られた発電所にもかかわらず...。

お分かりになるでしょうが、原子力発電所を作りました、「現在、私たちの電気を自分たちで作っています、海外への依存はなくなります」というのは間違っている。
この点に関して、近隣の国から1つの例を挙げてみよう:ギリシャにおける経済危機の最も重要な要因は、公共部門における異常なまでの消費(支出)と、何も生産しない、貯蓄もしてこなかった国が借金で窮地に追い込まれたことにある。
ギリシャの人々の主たる収入は観光業である。しかしながら、観光業部門で使用されるほんのわずかな材料すら、海外から調達している。農業は減退し、オレンジでさえオランダから輸入し始めている。

結果は明らかだ。もちろん、私たちの状況とは比較できない。しかし近隣国の失敗から学ばなければならない。そうでなければ、私たちトルコにも、(降参して)両手を挙げて「私たちが何をした」と言う日がくるであろう。

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( 翻訳者:金井佐和子 )
( 記事ID:23235 )