Mehveş Evinコラム:アイヌール、ひとつの言葉しか許さない社会は憎しみしか生み出しはしない
2011年07月17日付 Milliyet 紙


ジャズフェスティバルのプログラムを手に取るや否や、「このコンサートを見逃してはならない」と口にした。コンサートのタイトルは私を十分に満足させた。タイトルが「水の女」だから。

どちらも私が関心を寄せる2つのテーマであり、女性と水が一つの場に、そしておそらく非常に多様な音楽の試みともなるはずであった。スペインの作曲家であるハビエル・リモン氏のアルバムを、それぞれ異なる民族の、異なる声、異なる肌の色をした4人の女性たちが歌うはずであった。ブイカ、ラ・シーカ、サンドラ・カラスコ、そしてアイヌール・ドアン。

直前になって仕事が入り、コンサートには行くことが出来なかった。その夜、アイヌールがクルド語の歌を歌ったために野次を飛ばされ、そして舞台から降りなくてはならなくなったというニュースを聞いた。

記者として、コンサートに行くことができなかったことを後悔している。しかし一人の音楽愛好家として、そして一人の国民として、この恥ずべき夜にその場におらず、(その光景を)自分の耳で聞かず、そして自分の目にせずに済み感謝している。そう、感謝しているのだ。犠牲者を口実にして行なわれたこの「抗議運動」を、非常に愚かしく、非常に危険で、そして非常に恥ずかしく思うからだ。

■最大の悪事

皆さん、「しかしせめて『今日』クルド語で歌わなくても」という態度は、まったく誠実ではない。いつ、誰が、どの言語で歌を歌うのか、こうした勘定を割り出そうというのか?政治や戦争、そして憎しみの言葉を、音楽へも伝染させようというのか?

このような恥さらしなことを行ったり、あるいはそれを支援したりする人々へ問う。

あなたは、クルド語の歌にそれほど反感を持っているなら、ではなぜアイヌールが舞台に出るコンサートへ行くのだ?

トルコ語で歌うのを期待していたのか?彼女がトルコ語で歌えば満足したのか?

彼女が舞台を立ち去らねばならなくなったほど、犠牲者たちに思いやりがあるなら、ではなぜコンサートへ行くのだ?

犠牲者となった兵士たちの中にはクルド人もいた、このことに気づいているのか?

「音楽に言葉(の境界)はない」という言葉をまったく聞いたことがないのか?

野次を飛ばしながら、舞台にペットボトルを投げながら、(これが)犠牲者たちの魂を傷つけ、この国に最大の悪事を働いていることだとわからなかったのか?

それともあなたはコンサートなどを口実に、(ほかの要因により)醸成された混乱した状況にあって、事態をあおり立てるような人間なのか?

クルド語やトルコ語、あるいはスペイン語。歌われるはずのどの歌も、少なくともこの状況においてなにより有意義で、力強い平和のアピールであったことがわからなかったのか?

それともあなたを元々不愉快にさせていたのはこれかい?

気に入らないことだけを口にすればいいじゃない。一つの言葉の中で、決まった規範に従えと。これを望んでいるのでしょ?

■祝福している

(和解の)時が訪れていた時に、われわれを再びこの地点に引き戻すことに成功したすべての政治家たちを祝福する!いま気分がいいですか?あなたがたが作ったこの行き詰まりと敵意に満ちた状況は、とても素晴らしいですか?ガムを噛むように引き延ばし続けた言動が、どれほど危険なものであるかその目で見ましたか?

今日コンサートで、そして明日は街角で似たような事件を経験したとき、どのように対処するのですか、どうですか、私は気になって仕方ない。

与党から野党まで、数々のチャンスを目の前にして逃している。どうせどれ一つとっても、あなたがたご自身の領分より重要ではないでしょうから。

最後に、アイヌール不在のまま続いたコンサートの終盤にて、何千人もの人々が「アイヌール」とリズムを合わせてコールしたことを書き記そう。

そう、大多数は彼らなのだ!

■「水の女」プロジェクトとは?

・スペインの優れた作曲家であり、作詞家、プロデューサーの一人であるハビエル・リモン氏は、マリーザからブイカにいたるまでワールドミュージックにおいてとてもすばらしい声を持つ人々のプロデュースをしている。

・リモン氏は、最新アルバムである「水の女」にて、その収録曲を地中海の最も力強い女性歌手たちに歌わせた。この歌い手の一人がアイヌール・ドアンであった。

・リモン氏は、コンサートの数日前にザマン紙のインタビューにて以下のように話した。
「アルバムの中で『Amanecer En Estambul』は私を最も感動させた曲の一つとなりました。アイヌールの声はとても魅力的で力強い。本当にPasion Turcaとはとてもいい仕事が始められました。7月15日にはこの素晴らしい女性たちが初めて舞台に集まります。」

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( 翻訳者:指宿美穂 )
( 記事ID:23314 )