PKKと誤認の16歳少年、射殺される―「警告はなかった」兄の証言
2011年07月21日付 Radikal 紙


軍警察が「黒海地方」に残っていた最後の3人のPKKメンバーに対して仕掛けた待ち伏せ作戦で、一人の子供が撃たれた。間一髪で危機を逃れた兄によれば、「静止せよとの警告」はなされずに、弾丸を浴びたという。

サムソンのハヴザ郡から4キロのところにある高架地帯で、軍警察がPKKメンバーと「思って」撃った弾丸によって、16歳のギョクハン・チェティンタシュ君が命を落とした。銃撃で負傷することなく助かった兄のハビブ・シェティンタシュ君は、兵士らが、「なんの警告もなく」自分たちに対して発砲したと言い、「言いたいことはたくさんある」と述べた。事件に関して、内務省担当者とハヴザ郡共和国検察当局は司法調査を始めた。

■ハタイでも同様の事件があった

昨年、ハタイで(ハーブの一種である)タイムを摘みに出かけた村人らをPKKメンバーと「思って」治安部隊が発砲し、死亡した事件と似た事件が昨晩ハヴザで起きた。地域でPKKの活動に対して平野部の捜索を行っていた治安部隊が、パシャプナル村でのクナの儀式(結婚前の儀式)から戻るところであったハビブ・チェティンタシュ君とギョクハン・チェティンタシュ君兄弟を、PKKメンバーと「思って」発砲した。事件で、16歳のギョクハン・チェティンタシュ君が死亡。ハビブ・チェティンタシュ君は幸運にも傷一つなく助かった。

■「投降しろ」と言わなかった

自分たちの身におきたことについてラディカル紙に説明したハビブ・チェティンタシュ君によれば、二人の兄弟は、夜、参加していたクナの儀式の後、ハヴザにある家に戻るためにパシャプナル村を出発した。二人の兄弟は、しばらく道で車を待ってみたものの、車は来なかったために、歩いて郡にもどることにした。幹線道路に出ようとしていた二人の兄弟は、鉄道の線路を渡っていた22時20分頃、発砲を受けた。ハビブ・チェティンタシュ君は、「投降しろ」とも「静止せよ」とも警告されず、ただ撃たれないようにてんかんの持病をもつギョクハン君を彼らがいた場所でしゃがませ、自分は道の端にある鉄条網のそばに隠れた。

■「お父さん、僕たちを助けて」と電話

ハビブ・チェティンタシュ君によれば、この間に、以下のことがおきた。「僕たちに向けて発砲されたので、僕は持っていた弾のない銃で1度空に向けて発砲しました。もう1度撃つことはしませんでした。すぐに父のハサン・チェティンタシュに電話しました。「お父さん、ここで攻撃された」と言いました。「お父さん、僕たちを助けて。僕らに向けて発砲している」と助けを求めました。その後、155(緊急電話)から警察に電話しました。(警察に)発砲されたことと自分たちのいる場所を伝えました。」

■指揮官と話した

ハビブ・チェティンタシュ君は、電話での会話の後、軍の指揮官の一人が自分に電話してきたと言い、「指揮官は僕に電話して、私が出ろというまでそこにいろと言いました。1時頃、この電話から1、2分後に発砲はやみました」と述べた。チェティンタシュ君は、全ての人たいして言いたいことがあると話した。

ハヴザの貧しい集落デミルウストゥにある25番地の家は、言いようのない悲しみにおそわれている。父親のハサン・チェティンタシュさんは、「何もしていないのに逝ってしまった」と述べ、息子のギョクハン君の死を嘆き悲しんでいる。母親のギュレル・チェティンタシュさんは茫然と立ちつくしていた。

■父親がその電話を説明

父のチェティンタシュさんは、息子が自分にかけた電話について、以下のように説明する。「電話では発砲音が聞こえていました。息子は『お父さん、僕たちを助けて』と言っていました。私ははじめ、その地域に酒を飲む場所があるのですが、そこで起きた喧嘩かと思いました。それから警察と軍警察に電話しました。朝の4時に警察署から電話がありました。私が警察署に行くと、郡知事は『このような事故がおこることは誰も望んでいなかった』と言いました。損害賠償請求をします。」

■双方で調査

事件に関して、ハヴザ郡共和国検察当局と内務省は調査を始めた。内務省は、PKKを察知するためのサーモカメラによって感知された二人の兄弟に「静止せよ」と警告したものの、これに従わなかったとした。作戦に参加した兵士たちからも昨日証言を得た。

■静止警告、目的は何?

静止警告の目的と制限は法に規定されている。エルダル・ドアン弁護士の言によれば、
1)静止警告は、容疑者を拘束するためのものである。2)相手が武器を使用していなければ、警告後、どのような状況においても武器を使ってはならない。3)容疑者が静止警告の後に逃走しても、同様に武器を使ってはならない。
トルコでは、2006年から2008年の間に8人が静止警告に従わなかったために殺害された。

■軍警察:「静止」の警告に従わなかった

サムスン県の軍警察司令部は、二人の兄弟が、「静止せよ」との警告に従わず、治安部隊に対して発砲したとしている。軍警察の行った書面による発表には、PKKのメンバーたちが地域を通過するとの情報があったため、いくつかの地点で(治安部隊が)対策を講じていたこと、また、事件の夜に関する以下の主張が述べられている。:「22時頃に行われていた待ち伏せ作戦で起きた事件の結果、一人の市民が命を落とした。彼らに「静止せよ」との警告を行ったそうだ。しかし、警告にもかかわらず、警告を無視し、彼らはいた場所の横の茂みに飛び込み、治安部隊に対して発砲したと理解している。」他方で、ギレスン軍警察地方司令官のエルハン・ギュレル准将は、昨日チェティンタシュ一家を弔問した。ギュレル准将は、亡くなった少年の父、ハサン・チェティンタシュさんにお悔やみの言葉を述べ、「我々は可能な限りあらゆる面で、常にあなた方の力になります。お子様に対する義務と責任は、我々にあります。我々は常にあなた方のそばにおります」と述べた。

■トルコ全土も彼らを8時間もの間、PKKメンバーだとみなした

サムスンとアマスィヤの県境でおきた痛ましい事件について、報道ははじめ「テロリストと兵士」の衝突として報じた。県知事府からの情報を得た報道陣は、8時間ののちに兵士が殺害したのは16歳の少年であったことに関して訂正を行った。

(事件の真相が明らかにされるまでの報道の経緯)
1時7分:アマスィヤの県境付近で、3人組とみられるテロリストグループと治安部隊とのの間で衝突が起きた。援軍が送られ、逃亡を図るテロリストたちに対して行われた攻撃は2時間以上続いたことが明らかにされた。
3時35分:2人のテロリストの遺体を確保。逃亡した3人に対して捜索が行われる。
5時30分:テロリストのうち1人を殺害。もう1名を捕獲。捕えられたテロリストは軍警察の建物に送られた。
9時47分:訂正:テロリストと見なされた2人の兄弟のうち一人が殺害され、もう一人が捕らえられた。
13時37分:サムスンのヒュセイン・アクソイ県知事は、「検察官の調査が始まった。事件で誤認があったのかどうかが調査されるだろう」と述べた。

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( 翻訳者:能勢美紀 )
( 記事ID:23372 )