ファーティフ・スルタン・メフメト大学イスラム学部:40年来の夢実現
2011年07月24日付 Yeni Safak 紙


ファーティフ・スルタン・メフメト大学で開設されたイスラム学部は、今年度60名の学生を募集する。この学部の最大の特徴は、トルコで初めて授業の100%がアラビア語で行なわれることである…。神学部で半世紀近く教育に携わってきたアフメト・トゥラン・アルスラン学部長は、アラビア語教育を行う学部について以下のように話した。「これは私の40年来の夢でした。なぜなら関連する資料の95%以上がアラビア語だからです!」

トルコの大学教育に関してここ数年間で実施された改革により、何十もの大学が新たに開校された。多くの財団法人による私立大学も、教育活動を開始した。これらの改革において、疑いなく高等教育機構(YÖK)の見方の変化が大いに関係している。10年前までYÖKの障壁を超えるために、理事会へ退役将校を加えねばならなかった大学は、今ではそのエネルギーを官僚支配を超えるためではなく、トルコが必要とする教育の機会を作るために費やしている。これらの大学の一つであり、今年度初めて学生を募集するファーティフ・スルタン・メフメト大学は、イスラム学部によって今までの神学部とは異なる教育の機会を提供する。

■(他の)神学部の例となるだろう

この学部の学部長はアフメト・トゥラン・アルスラン教授である…。1977年から現在に至るまでマルマラ大学の神学部にて教育を続けてきたアルスラン教授は、長年アラブ言語・文学専攻の学科長を務めてきた。マレーシア・イスラム大学や、チュニジア・ブルギーバ現代語学院においてもこの分野に関する研究を行なったアルスラン教授は、ファーティフ・スルタン・メフメト大学イスラム学部の学部長に就任するや、約40年来の夢であった「アラビア語による神学教育」を実現させるチャンスも得た。この目的でYÖKへ申請を行い、必要な許可も得たと話すアルスラン教授は、以下のように話した。「何年間も神学教育が完全にアラビア語で行なわれる必要性についてしつこく強調してきました。しかしそれを実行する機会は(今まで)ありませんでした。イスラム学部卒業生は、研究を行えるレベルのアラビア語修得がどれほど重要であるか世に示します。」

■神学部の卒業生はアラビア語を話すことができない

では、アラビア語教育はどんなメリットとなるのか?アルスラン教授のこの件で明らかにした点は注目に値する。まず既存の教育がどのようなものかを説明したアルスラン教授は、神学部やいくつかの大学に設置されている文学部内のアラブ言語・文学学科では、アラビア語教育が行なわれているものの、それらは十分でないと話す。神学部の予備授業におけるアラビア語教育は、他のあらゆる大学における英語予備授業と変わらないと話す同教授は、以下のように述べた。

「われわれの誰もが知っているように、学生たちは予備授業で学んだ英語をその後の授業で使うことがないために、単に予備授業を終えるためだけに努力します。予備授業を終えた後には、英語は何の意味はないのです。これと同じ状況が神学部にとっても言えます。アラビア語教育を予備授業でのみ受けた学生たちは、その後の学生生活におおいてこの教育を活かすことがないために、基礎文法の知識で満足せざるを得ません。実際に使うことがないのです。アラブ言語・文学学科にてアラビア語教育を受けた学生たちも、この言語を生きた言葉としてではなく数学のように学んでいます。関連し、アラビア語を育て、育むイスラム文学の(十分な)講義がないので、学生たちは翻訳ですら完全におこなえません。例えば、「ムスリムは伝えている」というアラビア語の表現中の「ムスリム」という単語を、単なる「ムスリム(イスラム教徒)」だと思ってしまうのです。その人物が有名なハディース学者で伝承集成者あることを知っていたならば、その文章へのアプローチはもっと違うものとなるでしょう。」

■資料の95%以上がアラビア語

アフメト・トゥラン・アルスラン教授は、イスラム学部の特色を以下のように説明した。「われわれの学部は今年度60名の学生を募集します。トルコで初めて予備授業から卒業年度まですべての授業をアラビア語で教える学部となります。このことを重要視しています。なぜならイスラム世界の神学やその他の知識分野の資料の95%以上がアラビア語であるからです。われわれの学部を卒業した学生たちが、短期間でイスラム史や哲学の分野で世界的な権威者となると確信しています。アラビア語がイスラム世界の扉を、トルコへも開かせる機会も提供するでしょう。現在アラブ諸国との間で築かれている関係は、アラビア語を知る十分な人物がいないために本当の意味で活かされていません。われわれの学部を卒業した者は、アラビア語教育の重要性を気づかせることになりましょう。われわれの学部が切り開いた路は、将来ほかの神学部でもアラビア語教育がより重要視されるきっかけとなりえます。オスマン帝国が世界を支配した時代では、アラビア語教育は最も高いレベルで行なわれていました。このことも、アラビア語の重要性にとって重要な鍵となると考えています。」

アフメト・トゥラン・アルスラン教授は、宗務庁でもアラビア語を知る人物の必要性が大巡礼や小巡礼の準備をする際に表出したことや、ほかの神学部が完全にアラビア語教育に移行すれば、この分野における重大な欠が埋まると話した。

■メッカやバグダードとの連携

高等教育資格試験(YGS)第4種採点方式により学生を募集するイスラム学部では、60名の定員の内30名が完全奨学生、18名が部分的奨学生として学ぶこととなる。残りの12名の学生は有償教育を受ける。この学部の予備授業の学費は1万トルコリラであり、他の学年の授業は8640トルコリラである。学部ではアフメト・トゥラン・アルスラン教授の他、ジェラル・イェニチェリ教授、イスマイル・イート教授、メフメト・ブルト教授、ハリル・イブラヒム・クトゥライ助教授、アフメト・アラバルク助教授、ハムディ・アルスラン教員、そしてアフメト・カイル研究員が授業を行う。ハムディ・アルスラン教員は、この学部がメッカのウンム・クラー大学のほか、ヨルダンやイラク、その他西洋諸国にある多くの大学と連携し、学生や教員の交換留学のために協定を結ぶ準備を進めていると話した。同教員は、「この連携のおかげで単にアラビア語だけでなく、英語に関しても学生を(ニーズに)対応できるでしょう」と話した。

(本記事はAsahi中東マガジンでも紹介されています。)

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( 翻訳者:指宿美穂 )
( 記事ID:23403 )