進化論を教えた先生への裁判、無効へ
2011年07月28日付 Milliyet 紙

ビチェル教諭が、授業で人類は類人猿を祖とすると説明した、との訴えによって受けた懲戒処分を裁判所は無効とした。

スレイマン・ビチェル教諭は、教室で「進化論によって知られるチャールズ・ダーウィンに触れ、人類が類人猿を祖とすることを説明した」との訴えによって懲戒処分を受けたが、この処分が裁決によって無効とされた。保護者の訴えで始められた審議を「誹謗中傷」であると主張し、「訓告」処分に抗議したビチェル教諭に対し、アンカラ第10行政裁判所はこれを認め無罪とした。しかし裁判所がビチェル教諭の罰を棄却したのは、進化論を説明したことが罪にあたらないということでなく、審議が不完全に行われたことを理由とする。判決では、教室の43人の生徒たちのうち9人と面会したが、(上述の)訴えは、訴えをおこした保護者の娘によってのみ証言が得られたとされ、「不十分な調査による審議報告書に基づき被告に懲戒処分が下された。この処分に、法への適合性は見出せない」と述べられた。

■「頭を混乱させた」

訴えによれば、アンカラのママク郡にある商工会議所小学校に理科の教師として勤めるビチェル教諭は、2010年12月に5年B組での授業で、ある生徒が「先生、人類は猿がもとになっているんでしょうか?」と質問したのに対して、これは正しくなく、生物は進化しながら多様化していったと、例をあげながら説明した。しかし、一人の生徒の保護者がビチェル教諭を訴えた。保護者は訴えで、ビチェル教諭が「授業の時間にダーウィニズムを説明した、子供たちに人類が類人猿を祖とすると言った、授業中に聖書を読み、その本を娘に持ってこさせた」といった罪をあげた。
審議では、ビチェル教諭が「第5学年の理科の指導要領にダーウィンと進化論は含まれないのにこれを説明し、生徒たちが理解できないようなことにまで触れ、生徒の頭を混乱させた」との結論に至った。審議報告書では、「授業の時間にダーウィニズムを説明し、子供たちに人類が類人猿を祖とすると言ったとの訴えを確信するに至った」と記された。

■非論理的な審議

裁判所が2011年6月30日に全会一致で裁決した判決で、懲戒処分は「法に反する」とされた。懲戒処分を無効とした判決では、「被告が教えていた5年B組では、43人の生徒がいたにも関わらず、捜査官によって9人の生徒の証言がとられ、他の生徒たちには証言が求められなかった」点が強調された。
一方で、教職員労働組合中央指導部によって行われた会見では、以下のように述べられた。
「授業でダーウィンの進化論について言及されたことが、裁判と懲戒処分という事態に向かう。このことで作り出されようとした環境は、判決の障害に躓きました。我々は、学校長のこの不当で不法な処分が司法の判断により撤回されたことを喜んで迎えます。そして何にもとらわれない、批評的な意見の発展に貢献できるような、世俗的で、民主的な教育の重要性を今一度強調します。」

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( 翻訳者:能勢美紀 )
( 記事ID:23455 )