ORAL ÇALIŞLARコラム:将官たちはどこでつまずいたのか
2011年08月02日付 Radikal 紙

政治や社会への軍の介入に希望を見出していた者たちは、現在、本当に気落ちしているだろう

ジュムフリイェト紙で仕事をしていたとき、社に幾人かの退職将官が訪れた。陸軍総司令官や軍警察総司令官を歴任したある退役司令官と話しをしているときのこと、私を振り返り、軽くからかうような口調で「オラルさん、あなたはずいぶんソフトになりましたね」と言う。「どういうことでしょうか?」と尋ねた私に、「イスラムというものに対する態度がずいぶん変わったようです。スカーフを被ることについても受け入れているではないですか」と答えた。
私たちは議論を続け、最終的には私はこの退役司令官へとある提案をしたのだった:「あなたは(軍の)司令本部で閉じこもったまま、自分たちにとって理想的な夢の世界を築いている。そして社会一般のレベルでの変化やイスラムという部分での変化も見ようとしない。いつか、あなたをタフタカレやマフムトパシャにご案内したいものだ。あの辺りはトルコにおける変化について最も良く理解できる場所なんですよ。トルコは大きな刷新の最中にあって、あなたはこれに気づいていらっしゃらない」。(ジュムフリイェト社を訪れる将官の中には、2001年12月19日に20の刑務所に対する残忍な作戦を指揮したリーダーのうちの1人もいた。彼とは話したくもなかったが。)
トルコ刑事法の第301条改正へ向けて、2000年代の前半になって論争が始まった。その時期、私も執行部のメンバーだったトルコ新聞記者協会は、トルコ大国民議会憲法委員会のメンバーを招待した。この中には現在の内務大臣イドリス・ナイム・シャーヒン氏や、ニメト・チュブクチュ氏といった名前もあった。この条項はとっくに廃止されていなくてはならないと我々が述べると、公正発展党出身の委員は共和人民党出身の委員に目を向け、次のように発言した:「私たち公正発展党が改正を提案したとき、共和人民党は軍がこれを望まないと言って反対した。ですから、このことは共和人民党自身へ聞いてください。ここにいるんですから・・・」。
南東部で市民を流血させた士官が頻繁に昇進させてもらえるということは、社会生活や市民といったものへの軍の認識が閉鎖的なスタンスであることの明らかな兆候であるといえる。フラント・ディンク暗殺事件でトラブゾンの軍警察司令官だったアリ・オズ氏は、アンカラのウルジャンラル(刑務所)での虐殺で10名の拘束者を棒で殴るなどして殺害した罪で裁判を受けた1人であったが、昇進させてもらえている。(1972年の)デニズ・ゲズミシらの死刑で逮捕された者たちについても、1980年の9月12日クーデターで拷問に加わり、名前が明らかになった士官が多くいたが、みな昇進した。
軍は権力の少なからぬ部分を支配することに慣れてしまった。同じ権力によって飼いならされたメディアのトップや記者、一部の政治権力(者)もこうした状況を常に助長してきたといえる。一国の、選挙によって選ばれた大統領の背後で不敬を働くことを何とも思わない文化ができてしまった。あらゆる問題の解決方法には武器を使えばよいという考えが、世界大戦時ですらこの手の考えはそれほどなかったと思うほどのレベルで社会へ広く強いられている。これは「中央」のメディアのみならず、市井の多くの組織においてもこうした考え方が見受けられるのである。

■軍に希望を見出していた者たちは

政治や社会への軍の介入に希望を見出していた者たちは、現在、本当に気落ちしていることであろう。一部の者たちは「(同志の取り巻く)状況から退き」、一部の者たちは「警察による政府が作られる」といいながらわめき叫んでいる。さらには「いつか戻ってくる」とのスローガンに希望を見出す者や、「経済危機が全てのバランスを崩壊させている」との歌を歌う者すらいる。
この者たちは、新しい時代を理解できていないように、軍が(社会や市民を)理解することに貢献することもできなかった。それどころか逆に、常に「進め」というアプローチをとっていたように見える。さあ、それではこう言おう;政治家、実業家、新聞社のトップやコラムニストは理解できなかった、ではなぜ軍が理解できなかったのか。
しかし元来この点についてさえも、包括的な「理解のしるし」はないのだ。エミール・シオランの「全てを包含する絶望なくして、全てを包含する思考の変化は実現しない」という言葉がある。個人や社会は絶望の後に本当のアイデンティティを得る。もしかしたら「絶望」はいまだ完全に包括的な状況には達していないのかもしれない。あるいは「軍国主義の崩壊」に関して必要な方策のまだ半分がようやく可能となったのかもしれない。
軍国主義者の思考のかたちが完全に崩壊したときに、社会が自身を見出すプロセスは新たな核心を得られるのだろう。

(本記事はAsahi中東マガジンでも紹介されています。)

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( 翻訳者:金井佐和子 )
( 記事ID:23527 )