Hüseyin Gülerceコラム:PKKテロはなぜ増加しているのか
2011年08月19日付 Zaman 紙

ここ1ヶ月のあいだでPKK(クルド労働者党)は40人の軍人や警官を殉死に至らしめた。7月15日にスィルヴァンで奇襲攻撃された13人の軍人のほかに、その前日にも奇襲攻撃によって8人の軍人と1人の村落警備兵が殉死した。エルドアン首相の「我慢も限界だ」との発言が何を意味するのか議論されている中で、ジェット戦闘機は北イラクのPKK基地を爆撃した。

PKKは本当のところ、何をしたいのだろうか?警官や軍人に対する直接的な襲撃の本来の目的は何なのか。

まずは「PKKは何なのか」という質問に対する答えを見出す必要がある。PKKはタミルゲリラに次いで2番目に世界で最も残虐なテロ組織とされている。全てのテロ組織は強力な組織となるために民族や宗教、あるいは宗派というベースに依拠している。テロ組織は相互に連携があり、国家間の権力や権利をめぐる争いの中、別の国家政府の情報機関から支援を受けている。PKKのバックにも28カ国の政府からの支援があるという事実は、出来事を理解するのを容易にする。

誰しもがPKKについて、山岳地帯や丘陵地帯、あるいは街や村落、そしてヨーロッパにおいてクルド人の権利を守ろうとする組織だと理解すべきではない。PKKとは、トルコに争いを仕掛ける人々が我々の未来を断ち切るために利用する1つの下請け組織なのである。

PKKはクルド問題の解決を決して援護することはない。
次の2点を思い出してほしい。
まず1点目は、クルドの民はムスリムであるということだ。しかしPKKはクルドの宗教はゾロアスター教であるとしている。シャンルウルファの平和民主党系の街、スルチュ市は市が作らせた結婚式場にアヴェスタというゾロアスター教の聖典の名前をつけた。またスィイルトに属する自治体のクルタランでは平和民主党の区長も、数ヶ月前にできた公園にゾロアスター教の図案のある彫像や銘板を設置した。PKKの指導者、ムラト・カラユラン氏はヨーロッパで出版された著書の中でゾロアスター教を「クルド人のイデオロギーのアイデンティティであり、信仰する宗教」として紹介し、賛辞を送っている。
そしてこうも言っている;「イランのシーア派のように、クルド人に固有のイスラームの解釈を発展させられなかったがゆえに、イスラム教はクルドの中で分裂し、他のものと結びついたり脆弱化したのだ」。

PKKがクルド問題の解決を援護しない2つ目の理由はこうだ。
クルド問題は、人を強調し、恒常的な民主主義の価値をメインに据える民主化によって解決できるものだ。公正発展党政権は、結党以来トルコの民主化のために奮闘している。PKKやそれを支持するクルド系政治家たちはその民主化を妨げようとしているのだ。それも、「平和」とか「自由」と言いながら・・・思い出してほしい、議会での憲法改正の投票時に、平和民主党は政党の廃止を困難にする条項には賛成しなかった。2010年9月12日の民主化に関する国民投票もボイコットした。そして選挙から何週間過ぎた現在でも、議会での宣誓を行っていない。

PKKはなぜ民主化を望まないのか。なぜなら、ファシズムの手法は「クルド自治区」という仕掛けでは作れないからだ。山岳地帯にいる戦闘員たちを「自衛力」として民衆を圧力で鎮圧することはできないし、PKKは民主主義のトルコのもとでは周縁化されことになるからだ。

ここでこのコラムのタイトルにもなっている問いに答えを出そう。テロを増加させているのはPKKではない。PKKを利用している人たちである。世界政治の場において輝きを放ち、そこでの新たな均衡に関与し始めているトルコの未来をつぶしたい人々が周囲にいる。トルコの周辺地域に対する政策を良く思わない人々がいるのだ。「それは誰だ?」と言うならば、2002年までPKKをテロ組織とは認識していなかったヨーロッパ諸国を見てほしい。
トルコの対イスラエル、対アルメニア政策を全く歓迎していないアメリカのロビーを、そしてトルコの周辺諸国を見てください。例えば自国民を爆撃し、トルコの警告に不快感を示すシリアや、イラクがアメリカに占領された後に力をつけたイランを見てください。いつでも、イスラエルを見てください。

私を悲しませているのは、テロをこれほどまでに増長させる力が存在している一方で、トルコではいまだに市民と軍の問題があることだ。そして、合憲的な組織のあいだで、あるいは政治の場で、一種の紛糾が見られることだ。なぜ偉大なる、繁栄を遂げる民主的なトルコのために心を1つにして立ち向かえないのか。それほどにも難しいことだろうか。

Tweet
シェア


この記事の原文はこちら
原文をPDFファイルで見る
原文をMHTファイルで見る

 同じジャンルの記事を見る


( 翻訳者:金井佐和子 )
( 記事ID:23691 )