Şükrü KIZILOTコラム:地下経済の及ぼす悪影響と対策
2011年08月24日付 Hurriyet 紙

ご存知のようにトルコの経済は、インフォーマル性(地下経済)、失業、そして経常赤字という3つの重大な問題を抱えている。そして実際のところ、これらの3つの問題は相互に関連し合っているのだ。
経済のインフォーマル性(地下経済)と言えば、窃盗品、麻薬売買、ギャンブル、ブラックマネー、偽造、脱税といった違法な経済活動が思い浮かぶ。しかしこれらだけではない。例えば、市場に出る前に家庭で行われる作業や本業とは別に行われる副業もインフォーマル経済の範疇に入る。
インフォーマル経済(地下経済)は、違法犯罪経済、(会計など)未公表経済、未登録経済、非正規・第二経済といった名前でも知られている。

■10のマイナス影響

経済のインフォーマル性がトルコに及ぼす数多くの悪影響がある。例えば;
1.所得分配を不平等化し、税の不正が蔓延する
2.社会における道義が損なわれる
3.政府からみると歳入喪失が生じる
4.不正競争の原因となる
5.公債や公的借り入れの必要性が高まる
6.インフレを助長する
7.労働者は社会保障の恩恵を受けられなくなり、保険なしで働かされる
8.外国人労働者の流入が増加する
9.労働組合の影響力が失われる
10.経済における制度化が脆弱化する
これらはすぐに思いつくものを並べたに過ぎない。

■では解決法は?

さて、毎年年末に向けて「来年は経済のインフォーマル性と闘う年と宣言する」と発表されるものの、我々からしてみると経済のインフォーマル性は助長されている、あるいは、少なくとも改善はされていないように思える。
いくつかの進展や適用事項などをみると、「ひょっとすると政府は地下経済への対策をとりたくないのか?」とさえ言いたくなる。
首相も含めた当局の大部分は、地下経済に対する対応策をとっていないことを認めている。しかしながら、この件については具体的な一歩が踏み出されねばならない。
例えば;
・近代国家の多くが行っているように、地下経済から得られる富、あるいは歳出源を問いただせるようにする必要がある。納税者のために「支出申告」を導入すべきである
・現金の使用を減らすべきである
・雇用上の負担を軽減すべきである
・持参人払いの取り引きを制限すべきである
・低コストでの不動産販売を防げるようにすべきである
・経費として勘定できる支出の範囲を拡大すべきである
・税の還付に必要となる書類が廃止されたことは購買にマイナスの影響を与えている。クレジットカードなどでの支払いに対する奨励金といった別の代替策も考えるべきだ
・法律はシンプルで理解できるものでなくてはならない
・高い税率(とりわけ海賊品が蔓延しているタバコ、アルコール飲料、燃料の分野)を引き下げるべきだ
・監査を活発化させなければならない。税務監査ポストの半分は空席である。ポストは近々に埋めねばならない。そして監査担当者は部門によっては専門化され、専門家による監査がなされる必要がある。

これらはいますぐに思いつく、重要な対策である。
地下経済に本当に対策を施したいのであれば、当該分野での具体的な一歩を踏み出す必要がある。

(本記事はAsahi中東マガジンでも紹介されています。)

Tweet
シェア


この記事の原文はこちら
原文をPDFファイルで見る
原文をMHTファイルで見る

 同じジャンルの記事を見る


( 翻訳者:金井佐和子 )
( 記事ID:23745 )