フェネルバフチェ・ショック!―熱狂的地元サポーターの反応―
2011年08月28日付 Milliyet 紙


フェネルバフチェのUEFAチャンピオンズリーグ出場権剥奪処分を受け、私たちはシュクリュ・サラチュオールスタジアム周辺のサポーターや店に話を聞きに行った。全員が爆発寸前の爆弾の様なサポーター達は、これを政治問題だと主張したり、協会の不手際だと批判したり、トルコサッカーは10~15年逆戻りすると嘆いている…。

フェネルバフチェがUEFAチャンピオンズリーグの出場権を剥奪された後の、シュクリュ・サラチュオールスタジアムの周辺を覆う雰囲気を最もよく表している言葉はこれだろう、「今はサッカーに幻滅している・・・」。弁護士のアッティラ・エルソズさんの言葉だ。一日かけたインタビューの中で、この件を最も冷静に応じてくれた人物だ。彼をインタビューする前は、破裂寸前の爆弾の様なフェネルサポーターと私は話している。ほとんどの人は話が出来るような状態にはなく、あるいは今流行の言い方をすると、もはや「話は終わりだ」という状態だった。目についた他の人に発言を譲り、「ジュネイト兄さん、あんたなら分かるだろう、話してくれ…」と言った。

■トルコサッカーは後退した

そして、スタジアム売店周辺の住人、ジュネイト・オズテュルクさんが一人話し始めた。彼は、トルコのサッカーは戻れない所まで来たと考えており、トルコのサッカークラブが(今後)長い間、ヨーロッパで成功することは決してないだろうと語る。「メフメト・ベルクという検事がいる、彼がトルコサッカー界に影響した。トルコは最早サッカーにおいて10~15年前に逆戻りするだろう。トラブゾンスポルがチャンピオンズリーグに出場するが、私は勝ち進めないと思っているよ。何故なら審判達は(トルコのチームに)不利な判定をするだろうから。UEFA(欧州サッカー連盟)はもうトルコサッカーを望んでいない。仮にフェネルバフチェが出場したとして、成功しただろうか?しないね。グループステージで敗退しただろうさ。トルコチームが今後10年以内に好成績を収めるなんて僕には絶対考えられないよ。トルコは自滅したんだ、残念ながらね。」
オズテュルクさんは、大多数のフェネルバフチェサポーターの望みで話を締めくくった。「もしチャンピオンズリーグに出場出来ないのなら、フェネルバフチェはリーグから撤退してほしい。1年だけでなく、3~4年は出ないでほしいね。」
フェネリウム(フェネルバフチェのグッズショップ)の前で、私たちは若く血気盛んで実に熱狂的なサポーター達と出会った。彼らは全世界に怒っており、マスコミとして私たちも彼らに怒られ、説教された。即ち、ブルチュ・ウネルさんは「店に入りたいならフェネルバフチェを支持しろ!」と言う。そしてこう付け加えた。「この問題が政治問題であることは、この捜査が選挙後に行われたってことから明らかだろ。皆気づけよ。最後にこう言いたい、もし絞首台の上に乗せられたって、俺たちの最後の言葉はフェネルバフチェだ。」

■フェネルバフチェ党を結成しよう

彼の友人のオクタイ・バイラクタルさんも、この問題が政治問題であると考えている。また彼の夢はフェネルバフチェ党を結成することだという。「アズィズ会長が会長に就任した時、歴代の会長の一人であるアリー・シェン氏が言ったように、フェネルバフチェ党の結成を僕らも望んでいるんだ。シルヴィオ・ベルルスコーニ(訳注:ACミランのオーナー。ただし公には首相就任後に会長職を退いている)みたいに、フェネルバフチェの会長が首相であってほしいんだよ。カフェにフェネルバフチェサポーターが10人集まっただけで警察は僕らに圧力を加えるんだ。僕らの電話は盗聴されていて、フェネルバフチェサポーターは2人並んで通りを歩けないんだ」と話した。スタジアム周辺の店の店主(屋台やグッズショップ)はまた別の問題を抱えている、「死活問題」だ…。スタジアムが空のままなら倒産すると語る店主は、「私たちは商人だ、私たちの商売はもう終わりだ」と言っている。話をしたがらない店主は、我々をエヴ・イェメッキレリ・レストランのオーナーのテュルカン・ボユヌクサさんの所へ向かわせた、「テュルカン姉さんに聞け」と言って。テュルカン姉さんの返答は驚くべきものだった。「私は当局に怒っている、あんなことをしてはいけなかったのです。彼らがあんなことをしなければ、こうはならなかったのだから」と発言した。

オクタイ・バイラクタルさんとブルチ・ウネルさん(写真:スカーフをつけた方)は、事件は政治的なものであると述べ、フェネルバフチェ党の結成を望んだ。

トラブゾンスポルサポーターのベラト・カラベラトカラさんとフェネルバフチェサポーターのチャーダシュ・アフラトさんは同じ考えだ。彼らは、トルコサッカー協会のせいだと考えている。

■サッカー協会はプロセスを良く処理出来なかった

カラムシュで、それぞれフェネルバフチェとトラブゾンスポルを支持する友人同士2人が座っているのを見つけた。フェネルバフチェ支持のチャーダシュ・アフラトさんは、我々がインタビューしたほとんど全員が口にした問いから話し始めた。「トラブゾンスポルも八百長疑惑の渦中にいると言われているのに、何故トラブゾンがヨーロッパ(チャンピオンズリーグ)に行くのか?」
そして、やはり皆の気にかかっている二つ目の問題を述べた。「トルコのサッカー協会の人達は、この件について調査を行ったのに、長い間決断できなかった。それなのにUEFAが来たら1時間内に事件が解決してしまった。僕にはとても筋が通っているとは思えないよ。」
彼はさらにサッカー協会の批判を続けた。「制裁という脅しによって結論づけられるべきではない。とにかく裁判の結果を待たなければならなかった。サッカー協会はこのリスクを負うべきだった。フェネルバフチェをスケープゴートにしてはならなかったんだ。」

■何をしているのかはっきりしない

トラブゾンスポル派のベラト・カラベラトカラさんもこの件では彼と同意見だ。
「トルコサッカー協会はこの問題をうまく処理出来なかったと僕は思う」と言い、以下のように続けた。「フェネルバフチェをチャンピオンズリーグ出場停止にするのであれば、最初から出場を許可しなければ良かったのだ、そうすればヨーロッパには他の1チームが行っていただろう。協会はとても矛盾した態度を示しているから、何をしているのかはっきりしない。今は、UEFAから罰せられるかもしれないから、フェネルバフチェを送らないと言っている。こうした問題があったのだから、最初から出場を認めない決定を下すことも出来たはずだ。フェネルバフチェのサポーター達は不当に扱われている。」
それでもチャーダシュ・アフラトさんは希望を捨てておらず、そして他のサポーター達同様、自分のチームを信頼している。チームを支えるために、ルドゥヴァン・ディルメン(訳注:往年のフェネルバフチェの名プレーヤー)の次の言葉を規範としたそうだ。「1つではなく2つユニフォームを買おう、シーズンチケットは2枚買おう、更なる支援をしよう、この困難から抜け出そう、神の導きのままに」と。

■「この事件はアズィズ・ユルドゥルムへの罠だ」

公園内にいたトウモロコシ売りに近づいてインタビューしたところ、「私はサッカーチームに興味はないよ」と答えたが、「でもほら、熱心なフェネルバフチェサポーターがあそこに居るよ」と教えてくれた。サリフ・バシャクさんは潰れたテレフォン・カフェのオーナーだ。彼は「潰れたよ、ご存じだろう」と言う時も、フェネルバフチェサポーターについて「剥奪されたよ、ご存じの通り」言う時も、思うところがあるような言い方だった。不安げに遠くを見つめていた。我々が食い下がって聞くと、「これはアズィズ・ユルドゥルムが落ちた罠なんだ」と言う。
誰がしかけた罠なのか?
「彼よりも権力を持った者達の罠だ。彼よりも金持ちの連中の罠だ。(そんな奴が)クラブの中にいないか?」

■生まれながらのフェネルバフチェサポーター、エルソズ弁護士の話

・古傷が今年開いた。
サリフさんを深い悲しみの中に残し、カラムシュの最後の一回りへと出発すると、前に「私はフェネルバフチェサポーターではないよ」と冗談を飛ばした弁護士のアッティラ・エルソズさんに再び出会った。実は彼は「生まれながらのフェネルバフチェサポーター」だそうだ。そして、理事会のメンバーでもある。「知っているでしょう、フェネルバフチェ主義は後天的なものじゃない」と言い、「母親胎内に宿ったら、既に皆フェネルバフチェサポーターなのさ」と語る。アッティラさんは事件について悲観的ではない。何年間もその存在が知られていた古傷が今年開いたのだと彼は考えている。「しかし、捕まった我々の仲間が有罪なのか結論はまだ出さないでおく。何故なら、ご存じのように、法においては皆まず『疑わしきは罰せず』だから。」
従って、彼は協会を不当だと考えている。そしてサッカーが流血していると考え悲しんでいる。「今日、サッカーは何が起きているのか分からず狼狽えている。ベシクタシュサポーターは喜んでいないし、フェネルバフチェサポーターも、勿論ガラタサライサポーターもそうだ。今後、今年開催されるリーグを誰が楽しめるだろう?誰も楽しめないよ、私に言わせればね。」

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( 翻訳者:濱田裕樹 )
( 記事ID:23774 )