Sami Kohenコラム:トルコ・イスラエル対立の行方
2011年09月09日付 Milliyet 紙

レジェプ・タイイプ・エルドアン首相は来週、エジプト-リビア‐チュニジアを歴訪する。第一の目的は「アラブの春」がもたらした新指導者らと緊密な関係を築くことである。しかしこの外交上の攻勢は、むしろ、エルドアン政権が中東地域の再編にあたって担おうとしている役割、という観点でみなければならない。

公正発展党(AKP)政権は、従来より地域で新たな体制を築くことを最重要視し、これを外交政策ヴィジョンの主要な要素とみなしていたことは周知の事実である。アラブの春、そして最終的にイスラエル危機は、アンカラに時を逸せず、この路線でイニシアチブを取る機会を与えた。

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首相が大所帯の代表団と共にどの首脳よりも先にこの「アラブの春の諸国を歴訪」することは、政権が前述のヴィジョンと目的を重視していることを十分に示すものである。アンカラは、アラブの地勢上の変化を、トルコを軸とした新たな関係を形成し、勢力範囲を強化するための機会として利用しようと目論んでいる。

首相が訪問する3か国の新指導者たちが -一時的なものであれ- トルコの支持に大いに重きを置いているのは明らかだ。トルコは、この優位な状況を、中東地域における「秩序の創設者」としてのミッションと「リーダーシップ」としての役割を担うために利用しようとしている。

つまり、「アラブの春」にあたり、トルコが古い友人を失い、困難な状況に陥るとの懸念とは対照的に、目下アンカラは、そうした懸念をよそに、現状を利用して新たな友好関係、さらには同盟を形成し、地域で新しい秩序の中心となる目的と期待をもっているのだ…。
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イスラエルとの危機は、首相のこの訪問をまさに強化している。元々、エルドアンは、他のどの指導者たちもが特にガザ問題において示すことができなかった大胆さと勇気を示してきた。

首相がカイロで予定している演説は、(おそらくガザの状況とパレスチナ問題も重要な位置を占めるであろうが)アラブの人々の心を獲得することと、オバマ大統領が2年前にエジプトで行った有名な演説よりも影響力を持つことが期待されている。

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昨今、トルコの政権が中東再編において前面に出て、その上、新同盟のための軸となるという幸運に恵まれる可能性が高いとみられるのと同時に、これは容易ではなく、この途上で厳しい困難と直面するであろうことも事実である。

アラブの春は、広大なアラブ領域はさておき、上述した3か国においてでさえも、完全に落ち着いたのではないのだ。移行期の末いかなる政権が実権を握るのか、彼らがどのような政策を追求するかは明らかではないのだ。地域の政治(秩序)形成にはかなりの時間が必要となるだろう…。

その際、暫定政権と達する合意の継続性についてもはっきりとしたことを言うことはできない。シリアも含め、民衆運動の舞台となっている国の将来の不確実さは続くのだ。

最後に、中東という舞台においては他の多くの役者が揃っていることも忘れてはならない。近かろうと遠かろうと、イランからアメリカまで、フランスから中国まで...中東ではカードはさらに新たに切られているのだ。このゲームはもっと長く続く…。

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( 翻訳者:富田祐子 )
( 記事ID:23899 )