Semih İdiz コラム:トルコはEUの中で孤立無援ではない
2011年09月13日付 Milliyet 紙

フィンランド当局の視点を通じてみてみると、トルコが戦略的に大きな意味を持ち、ヨーロッパにとって「逃すことのできない重要性」を持っていることがより明確となるようだ。フィンランドの元外務大臣で現在のEU関連の担当大臣であるアレクサンデル・ストゥブ氏によれば、トルコは「戦略上の重み」という観点からはトップ5に入る国のひとつであり、そのゆえに必ずやEU加盟国になる必要があるという。
「トルコのEU加盟が早ければ早いほど、ヨーロッパにとってはいいことなのだ」と言うストゥブ氏は、EUが深刻な経済危機を経験し、ここ最近は世界におけるヨーロッパの政治的重みが相対的に減ってしまっていることに触れつつ、これらの問題がトルコのメンバー入りを加速させる原動力になり得るとの考えを示した。しかしながら氏はまた、全てのEU高官と同様、トルコにもキプロスをはじめとした様々な問題の責任を果たす必要があるとの見解も示した。

■ヨーロッパに背を向けてしまうのではないかという不安

フィンランド政府の招へいで訪れたヘルシンキにて、我々はアレクサンデル氏とトルコ・EU間の関係のほか、トルコの周辺地域における近年の情勢などを話し合った。トルコのアフメト・ダヴトオール外務大臣と近しい親友関係にあると強調し、外相を「アフメト」と呼ぶ仲であるというストゥブ氏は、否定的なシグナルを受けたトルコがヨーロッパに背を向けてしまうのではないかという不安を持っていると述べた。
トルコの中央政府がNATOの「ミサイル防御」プロジェクトに参加する決定をしたことに関する我々の指摘を受けてストゥブ氏は、この進展は「トルコのもつ、戦略面に加えて経済的、文化的な観点からの重要性についてヨーロッパの目を開かせるはずである」と言う。
氏はまた、「トルコはフランス、ドイツと対話する必要がある。EUが本当の意味でグローバルな役割を果たすことを我々は望むならば、その役割はトルコなくしてはありえないことを我々は理解しなければならない」と話す。
ヨーロッパではEU関連の政策を内政的な視点を通して見る傾向が広がっているとするストゥブ氏は、そのためポピュリスト政治家たちが移民に対する恐怖心を政治に利用することが可能になってきていると指摘する。
「この観点から、もはやヨーロッパでは左派、右派といった区別はなくなり、代わりにグローバル主義かローカル主義かという対立が生じている」と述べる。
ストゥブ氏は、現在のヨーロッパにおける根幹的な問題はユーロ危機、そしてシェンゲン協定による域内の自由な通行にあるという。フィンランドにおける直近の選挙では外国人を敵視する「真正フィン人党」が躍進したとし、「フィンランド政府による対トルコ支援は市民からも認められているのでしょうか」という我々の問いを受けたストゥブ氏は「フィンランドにおける議論の中でトルコは問題になっていない」と明確に答えた。

■しかしながらトルコに関する議論が生じる可能性も

フィンランドの人々は今日のEUの経済的、あるいは財政的管理といった内政的問題に関心があるというストゥブ氏は、それにもかかわらず近い将来、フィンランドではEUの枠組みにおける「トルコの議論」が生じる可能性があることも明らかにした。ここから話題は「アラブの春」へと移り、世界は北アフリカ、中東、ペルシア湾といった地域で、長期にわたるプロセスと対峙していると氏は語る。
「民主化の波がもはや後戻りできないとしても、この地域の国々の全てが民主化するという確かな保証はない」と話す氏は、「当該地域における最良のシナリオは、この地域のいくつかの国がトルコの歩んできた道を進み、トルコのようになることだ」と言う。
イスラエルとトルコの間の緊張関係についても言及したストゥブ氏は、「トルコとイスラエルの間に良好な関係が築けなければ、中東における平和はもたらされない」と述べた。トルコとイスラエル両国間の対話が、それゆえに当該地域において非常に重要となると強調しつつ、このような対話は(現在の)双方の口論より有益なものであると付け加えた。

■EUでトルコは孤立しているわけではない

氏はさらに「このため、トルコのエルドアン首相とイスラエルのネタニヤフ首相は当該地域における2つの民主主義の代表として一堂に会し、中東の利益のために何ができるのかを話し合う必要がある」と話した。
ヘルシンキでのこの対談から我々は、一般に考えられているほどEUにおいてトルコは孤立無援というわけではないことを理解した。フィンランドにおける右派の台頭と共にこの国の支援がいつまで続くかという心配があるものの、今回、少なくとも現状においてはトルコ政府がフィンランド政府を信用できることがはっきりした。

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( 翻訳者:金井佐和子 )
( 記事ID:23949 )