イスラエルの保護下でギリシャ側キプロス、天然ガス探索はじめる
2011年09月19日付 Milliyet 紙

地中海に緊張をもたらしていたギリシャ側キプロス政府の資源掘削調査が昨日始まった。イスラエルが戦艦と飛行機を用いてこの石油・ガス開発調査を援助していることが明らかになった。

ギリシャ側キプロス政府は、トルコが警告を行なったにもかかわらず、天然ガス開発のための初めての調査を昨晩開始した。アメリカのノーブル・エナジー社は、南キプロスの沖合で「アフロディテ」と呼ばれる第12地区での掘削調査を、24時間継続して行なう。ギリシャ側キプロス政府のアンドニス・パスハリ ディス通商相は、南キプロスのメディアを通じて掘削調査の開始を発表した。ギリシャ側キプロス護衛軍(RMMO)が非常態勢を取ったこと、掘削調査をイス ラエル海軍の戦艦および偵察機が護衛していることも明らかになっている。

■調査は順調

ギリシャ側キプロス産業通商省エネルギー局のソロン・カスィニス局長も、昨晩から第12地区で天然ガス開発を目的とした掘削調査を開始したことを認めた。カスィニス氏は、調査は24時間体制で行なわれること、差し当たり順調に進んでいることを強調した。

■偵察機が護衛している

南キプロスのラジオ放送も、ノーブル・エナジー社の作業基地の上空をイスラエルの無人偵察機が飛行していること、イスラエル海軍の船も作業基地の東に見ら れることを報じた。(ギリシャ側キプロス)政府の副スポークスマンであるフリストス・フリストフィディス氏は、政府も適宜発表を行なうつもりであると述べた。

■オバマ大統領も援助

他方で南キプロスの新聞はアメリカ政府がノーブル・エナジー社を援助していると報じ、「舞台裏でオバマがアンカラに警告を発した」と書いている。

■「その地域は議論の渦中」

レジェプ・タイイプ・エルドアン首相は、ギリシャ側キプロス政府が南キプロスの沖合の「アフロディテ」と呼ばれる第12地区で石油・天然ガス掘削調査を 行なったことについて、「この排他的経済水域は議論の渦中にある。この議論されている地域においてこのような行動を取ることは正しくないと、我々は以前にも彼らに伝えていた」と批判した。

エルドアン首相は、アメリカへ発つ前、エセンボア空港で記者の質問に答えた。新聞記者の「ギリシャ側キプロスが東地中海で石油掘削調査を始めたという報道 がある。この件についてアメリカのオバマ大統領にどのようなことを伝えますか?この調査活動をどのように考えますか?」との質問には次のように答えた。

「南キプロス、イスラエル、さらにギリシャがこの場所を排他的経済水域として宣言し、こうした活動を始めたこと...。我々も現在、北キプロス・トルコ共和国(KKTC)と協力してこれ(資源調査)を計画していたところであり、近いうちに、もしかしたら今週中にも、我々の排他的経済水域内で調査を始めるつもりだ。彼らが排他的経済水域として宣言した地域に対して、我々には様々なアプローチの手段がある。軍事的にはフリゲート艦や攻撃用舟艇によって、また空軍による当該地域への継続的監視によって...。」

■なぜ第12地区が選ばれたか?

ギリシャ側キプロスは、はじめは天然ガス調査を第3もしくは第9地区で行なう予定であった。2007年、ギリシャ側キプロス政府はこのためにシリアとエジプトの二国と協定を結んだ。協定が発表されると、トルコはシリアとエジプトを厳しく非難した。この年の外交の結果、シリアとエジプトは天然ガス調査から退いた。ギリシャ側キプロスも単独では調査活動を継続できなかった。調査から退く際ギリシャ側キプロスが抱いた最大の不安は、この二地区がトルコに近いこと であった。

■敵の敵は・・・

ギリシャ側キプロスは、トルコ‐イスラエル間の緊迫した状況を「敵の敵は友」理論で自らのチャンスに変えようと、イスラエルとの外交関係を進展させた。ギリシャ側キプロスのディミトリス・フリストフィアス大統領は11年ぶりに、国賓級の式典によってイスラエルに歓迎された。それ以前にイスラエルと天然ガス 調査に関する協定を結んでいたギリシャ側キプロス政府は、この歓迎を受けた後、計画の加速化を望んだ。

■イスラエル側の目的

イスラエルも天然ガス探索調査の件でギリシャ側キプロスを支持した。両国間の折衝のすえ、イスラエルに最も近い第12地区が選ばれた。これにはこの地区にトルコが干渉するのは困難との計算があった。第12地区はギリシャ側キプロスとイスラエル双方に近い地区である。(北側から見て)島のちょうど反対側に位置している。

■トルコの抗議

トルコとトルコ側キプロスは、第12地区のことで抗議しているのではない。トルコ側キプロスの主張は、「キプロス島の問題が解決するまで、ギリシャ側は一 方的に天然資源を採掘したり、そこから利益を得ることはできない」ということである。これは1960年に制定されたキプロス共和国の法律に基づいている。「キプロス共和国」が合法ならば、ギリシャ系住民も「合法」であるとしている。1960年共和国では、トルコ系住民にもギリシャ系住民と同じだけの権利があった。つまり1960年共和国に従い、ギリシャ側が調査を行なう際にはトルコ系住民側の承認も必要なのだ。トルコ側キプロスの抗議の要旨はここにある。

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( 翻訳者:篁日向子 )
( 記事ID:24019 )