Semih İdizコラム:アラブ人がみんなエルドアンを好きなわけではない
2011年09月24日付 Milliyet 紙

衝撃を受ける人もいるかもしれないが、中東で、特にエジプトでは、みんながエルドアン首相ファンなわけではない。もっと言えば、エルドア ン首相を「ペテン師」と言って批難するアラブ人政治家さえもいる。中東地域の専門家やアンカラの外交関係者によれば、エルドアン首相がパレスチナの案件に対してこれほど熱心に支援していることを、―アラブの民衆にどれほど好かれていようが―アラブ人政治家は良く思っていないようだ。

あるアラブ人外交官は、上記の理由につき、「エルドアン首相は、まるで自分の他に中東地域にパレスチナ人を支援するムスリムのリーダーがいないかのように振舞っています」と話す。同氏は、エルドアン首相がエジプト訪問の際に、これからガザ地区へ行くという趣旨の情報が流れたことで、アラブ人政治家の不信感は更に高まったと述べ、以下のように続けた。

「エジプトの指導者や政治家さえも、こうした案件に現状の繊細なからみ合いの中で干渉しようとしないのに、エルドアン首相の一方通行的な活動は、イスラエルを怒らせるだけでは済まず、エジプトの政治家や政府幹部だけでなく、アラブ諸国の政治家及び政府幹部を弱く恥ずかしい立場にたたせるところでした。」

この発言から、エルドアン首相は、「トルコ政府の一般常識」以上に、エジプトの外交的圧力から、ガザ訪問を断念せざるを得なくなったと言わなければならない。

一方で、エジプト訪問中エルドアン首相の、―我々には至極妥当に思えたのだが―「世俗化」発言が、エジプトの「ムスリム同胞団」からすぐに、 「エジプトの事情に入ってくるな、エジプトはトルコではない」という意味の反感を買ったことは周知の事実である。エルドアン首相は、この件に関して「ムスリム同胞団」が「誤解していた」という趣旨の発言をするだろうと言っていたが、私が知っている限りでは、この種の発言はまだされていないことも、注目すべき 点である。

エルドアンの、我々にとっては正しいと思われるこの発言が、「世俗化」概念を毛嫌いする中東地域の急進的イスラム組織により簡単に受け入れられる訳がない。しかし、エルドアン首相に対して最も厳しい意見を述べたのは、新しく設立され、ムスリム同胞団を「敵」と見なす「エジプト国民党」のタラート・サダト党首であっ た。

ドバイを本部とする「アル=アラビヤ」放送局によれば、エジプトで急進的なイスラム勢力によって殺されたアンワル・サダト氏の甥であるタラート・サダト氏は、党の設立式で行った挨拶のなかで、エルドアン首相を「秘密事項」を帯びているとして、「ペテン師」と言って批難した。

「アル=アラビヤ」放送局は、情報源はエジプトの「アル=ヨウム・アル=サベア」紙であるとし、サダト氏は、エルドアン首相がエジプト訪問の際に、「ヨー ロッパ及びアメリカに対して、エジプトやエジプト国民の鍵が―トルコがEUに加盟するまで―自身の手にあることを示したかった」と発言したようだ。

サダト氏は、「トルコの真意は、オスマン帝国を再生し、中東地域のより広い範囲を支配すること」であると述べ、エジプトのムスリム同胞団を支援したとしてエルドアン首相を批難したらしい。

同氏は、この流れで、エルドアン首相がムスリム民衆に対して増し続ける影響力や、イスラエルに対する態度について言及し、「私はトルコに行っ たとき、正反対のものを見ました。トルコの女性は半裸のような格好で街を歩いており、レストランでは、イスラエル人観光客にサービスをしようと熱心でした」 と話したようだ。

サダト氏の発言には、もちろん、つじつまの合っていない部分、更に言えば無意味な部分がある。しかし、重要なのはこれらではない。重要なのは、エルドアン首相に対するムスリム同胞団の反感や、サダト氏の厳しい批難の中に明らかなように、エジプトでも政治的環境が民主化に向かい始めるとともに、トルコに対して現 在もたれている親近感を下げようと様々な理由で取り組むべき勢力が存在しているということである。このため、トルコは、「アラブの街頭の熱気」に惑わされずに、慎重に歩んでいかなければならない。結局のところ、中東の地盤は不安定である。これを示す明確な例は、8ヶ月前に「深い友好関係」にあったシリアとの今日の 関係である。

端的に言えば―本意ではないにしても―、中東地域のリーダーシップを気取っているとの印象を強く与える態度が、エルドアン首相及びダヴトオール外相の交渉相手であるアラブ諸国政府関係者をして、一般的に思われているほど良く思っていないとの(態度の)兆候を現し始めたということである。

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( 翻訳者:津久井優 )
( 記事ID:24072 )