イランへの新たなる制裁―人権を悪用する欧州
2011年10月12日付 Jam-e Jam 紙

 イラン・イスラーム共和国に対するヨーロッパ連合(EU)の敵意に満ちた行動の最新版として、同連合の外務大臣らは月曜日ルクセンブルクに集まり、人権を理由に我が国の当局者29名の渡航禁止、および資産の凍結を決定した。

 ジャーメ・ジャム紙によると、以前から32名を制裁対象にしていたEUは、今回新たに29名を追加し、計61名を制裁の対象とした。

 今回の制裁には、EUのリストに挙げられた個人へのビザの発給停止、および資産の凍結が含まれている。EU各国は、イランにおける人権擁護〔の必要性〕を繰り返し提起する一方、自らの一部同盟国・同調国、及び西洋諸国自身で起きている明らかな人権侵害には目をつむり続けているなかで、今回の制裁を発表した格好だ。

 昨日ISNAは、AFPの報道や外交筋の発言などを引用する形で、EUによる新たな対イラン制裁リストに加えられた29名の中には、数名の大臣の名も見られると報じた。

 ヘイダル・モスレヒー情報相、セイエド・モルタザー・バフティヤーリー司法相、モスタファー・モハンマド・ナッジャール内務相、モハンマド・ホセイニー文化イスラーム指導相らが、サーデグ・マフスーリー前内務相や各地の県知事、検事や刑務所長らとともに、制裁対象となっている。もちろん、こうした制裁は無意味で効果がなく、かつ政治的なものであるということは、以前から証明済みである。

 今回のイラン国民に対するEUの措置や圧力の行使に対し、わが国の当局者や国会議員らからは、不当な行為であるとの声が上がっている。彼らはジャーメ・ジャム紙のインタビューに対し、「人権問題を道具として利用することは、〔イランという〕自律的思考の国民に対する措置としては不適切である」旨、〔異口同音に〕強調している。

「西洋諸国への制裁を拡大させることもありうる」

 国会の国家安全保障外交政策委員会の人権部会書記を務めるザフレ・エラーヒヤーン氏はジャーメ・ジャム紙のインタビューに対し、「制裁問題は旧態依然たる政治ゲームにすぎない」と述べたうえで、「人権侵害を犯しているアメリカ政府当局者に対する〔イラン独自の〕制裁案が〔国民の手によって〕国会に持ち込まれたように、あたかも人権を重視しているかのようなこの種の〔EUの〕ジェスチャーは、〔イランによる対米制裁を対EUへと〕拡大させる事態を招きかねない。この種の決議を起草したヨーロッパ諸国にも、〔イラン独自の制裁が〕採用されることもありうるだろう」と語った。

 テヘラン選出の同議員は、「イランとの関係が行き詰まると、西洋はいつも人権問題を引き合いに出す」と指摘し、「これらの制裁はイスラーム革命の進歩と推進、特に〔欧米以外の〕他の国々との貿易関係や経済交流の分野で、逆効果をもたらしている」と強調した。

 同氏は「制裁対象となっている個人は、西洋のどの国にも資産をもってはおらず、行く必要もない」と語ったうえで、「今回の圧力は、西洋が1388年〔西暦2009年〕の〔大統領〕選挙の際、自らが放った矢が石に当たり、選挙を通じた体制の転覆という目的を達成できなかったことに、一部起因するものだ」と述べた。

〔後略〕

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( 翻訳者:米川千帆 )
( 記事ID:24282 )