トルコ軍のイラクへの越境攻撃始まる、目標はザプ・キャンプ
2011年10月21日付 Zaman 紙

ハッキャーリで24人の軍人が命を落としたテロ攻撃をうけ、トルコ国軍は、国境のトルコ側とイラク側で、空軍の支援をうけつつ陸上作戦を開始した。軍事作戦は5地点で行われ、コマンド部隊、軍警察特別部隊(JÖH)、特別機動隊からなる合計22の部隊が参加している。ディヤルバクルとマラトゥヤから飛び立ったF16とF4戦闘機は、PKKキャンプを空爆している。

ハッキャーリ県チュクルジャ郡で、24人の兵士が命を落としたのをうけ、(報復作戦に)ゴーサインがだされた。イラクの北で、陸上での軍事作戦が開始された。5地点で、コマンド部隊、軍警察特別部隊(JÖH)、特別機動隊からなる合計22の部隊に属すトルコ軍兵がイラク領内に入った。参謀本部からの情報によると、越境陸上作戦には4000人以上の軍人が加わっている。特別機動隊は1部隊70人、軍警察特別部隊は1部隊120人、コマンド部隊1部隊500人である。陸上での作戦には、戦闘機から支援が行われている。ディヤルバクルとマラトゥヤから飛び立ったF16とF4戦闘機は、PKKの拠点を空爆した。

(中略)

参謀本部からの発表によると、チュクルジャ郡での軍事作戦は次のように行われた。01.48に2機のコブラ・ヘリコプターと、2機のスコアスカイ・ヘリコプターが、救援部隊チームと警察機動隊チームとともに、事件現場に向かった。これが到着すると、地域に潜伏するテロリストたちに対し砲撃が行われた。コブラ・ヘリコプターは、燃料・弾薬補給のため、いったん現場をはなれたが、 03.07に、シュマクから別のコブラ部隊と、1機のスコアスカイ・ヘリコプターが現場に急行した。 04.55までテロリストに対する砲撃は続けられた。テロリストが襲撃した8地点では、分離主義テロリストに対し、応戦が続いた。

■アメリカから作戦に支持

アメリカ国務省報道官のマーク・トナー氏は、「イラクの隣国に対し、イラクの主権への尊重と、国境地帯でのテロ組織との戦いにおいてイラクと密接な協力関係を築くことを呼び掛ける。しかし、アメリカの同盟国であるトルコが、このテロ攻撃に対し自国を守るため行動をおこす権利を、我々は認める」と述べた。トナー報道官は、トルコ、イラク、アメリカの共通の敵であるPKKとの戦いに関し、協力関係構築も含む国境問題について、すでに協議を重ねており、会議を開いたこともある、と述べた。

■目標は、バホズが指揮するザプ・キャンプ

トルコ軍は、ハッキャーリ郡チュクルジャ郡で24人の兵士が犠牲となったのをうけ、越境軍事作戦を開始した。軍事作戦には22の連隊から選ばれたコマンド部隊、軍警察特別部隊(JÖH)、特別機動隊の精鋭部隊が参加している。特殊部隊の目標は、PKKのザプ・キャンプといわれている。ザプ・キャンプはトルコとの国境から徒歩で5、6時間の距離にあり、イラク北部のアマディイェ郡フェラス村の近郊にある。近年のトルコに対する攻撃で、その指揮をとっているとされるシリア国籍の、コード名「バホズ・エルダル」、本名フェフマン・ヒュセインも、ここに潜伏している。トルコへの潜入ポイントとして使われてきたザプ・キャンプは、PKKの中央キャンプからトルコ国内にいるPKKメンバーへの指示を、その無線施設を使って行っている。軍事作戦に参加した大部分の兵力は、ヘリコプターをつかってイラク北部に入った。地雷の危険があるため、地上ルートでの越境は最低限にされた。イラク領内を進軍している特別部隊は、無人偵察機や、赤外線カメラ、衛星からの情報により、行動している。4つのコマンド部隊も、トルコ・イラク国境の山岳地帯近くで、テロリストらの想定される逃亡地域を監視している。

ディヤルバクル、マラトゥヤからとびったF16、およびF4ファントム機は、カンディル、ザプ、アヴァシン・バスヤン、ヒネレ、ハクルクの各キャンプと、テロリストの予想される逃走ルートを連続的に爆撃している。部隊には、コブラ・ヘリコプターが支援にあたっている。

イラク北部のPKKキャンプには、約3000人のテロリストがいると推定されている。PKKの主要な活動拠点は、カンディル山にあるカニジェンゲ、カニクレジェ、ドレコゲ、コルテキ、シェヒト・ハルン、ドラエイシェ、シェヒト・アイハン、バカカテ、ゼレ、カラトゥルカの各キャンプである。

PKKのキャンプは次のようなものである。

カンディル:テロ組織PKKの本部。イラクとイランの国境地域、トルコからは約80キロの距離にあるカンディル山には、13のキャンプがある。PKKの武器と物資はここに蓄えられている。この地域は、重火器だけでなく、StrellaやStringerのようなミサイルによって守られている。PKKの病院もあり、約1000人のPKKメンバーが暮らしているとみられている。ムラト・カラユラン、ジェミル・バユク、ドゥラン・カルカン、ムスタファ・カラスは、カンディルに潜伏しているとされている。

ハクルク:ハッキャーリ県シェムディンリ郡の向かいに位置し、イラン・イラク・トルコの国境が集まる地点の南西にあたる地域にある。ザグロス山地の西、シェフィク山の麓に位置する。PKKだけでなく、PJAKも、このキャンプを使っている。

メティナ:国境をはさみ、ハッキャーリ県チュクルジャ郡の向いにある。トルコ国境からは15~20キロの距離にあり、キャンプには200~250人の組織のメンバーがいると推測されている。

アヴァシン・バスヤン:イラクとトルコの国境にある谷にあり、国境をはさんでハッキャーリ県ダールジャの向いに位置する。ダールジャ襲撃の指令をだし、「アペ・ヒュセイン」のコード名で知られる元トルコ軍准尉カドゥリ・チェリキが、この地域の責任者だといわれている。

■トルコ軍と北イラクのクルド兵(peşmerge)、対PKK共同作戦へ

トルコ政府は、トルコ軍が北イラクの数地点で陸上での作戦を開始するにあたり、(北イラク・クルディスタン自治政府の)クルド兵がトルコ軍と共同作戦を行うという一歩を踏み出した模様だ。北イラク・クルディスタン自治政府のメスード・バルザーニー大統領と行った電話会談のなかで、エルドアン首相がクルド兵との共同作戦を要請したことが判明した。

メディア各社の経営陣と行った会議ののち、質問に答えたエルドアン首相は、北イラクに何を望むのか、という質問に対し、バルザーニー大統領との電話会談の内容を明らかにした。バルザーニー大統領をトルコに招待し、「今このプロセスの進行中に、トルコに来ていただきたい。なぜなら、クルド兵と一緒に行わなければならない仕事がある」と伝えたという。バルザーニー大統領は近いうちにトルコを訪問するだろうと述べたエルドアン首相は、つぎのように続けた。

「彼とこの件を協議する。なぜなら、今、目の前にあることはトルコにだけ向けられたテロ攻撃ではない。これは、同時に、トルコ人とクルド人の間の友愛を破壊しようとするテロなのだ。」

エルドアン首相は、陸上作戦についの質問については、詳しい答えを避けた。作戦とは「結果をえることである」とだけ述べた。軍事作戦により、イラク北部に緩衝地帯をつくるのかどうか、という質問には、反論した。すでに構築されている3極システムに言及し、前夜にアメリカのオバマ大統領ともこの件を話した、と述べた。

■ネチルヴァン・バルザーニー・イラク・クルディスタン民主党副党首、来土

今回の襲撃を受け、イラク・クルディスタン民主党のネチルヴァン・バルザーニー副党首が、昨日、エルドアン首相の要請を受け、アンカラを訪れた。バルザーニー副党首は、エルドアン首相、ダウトオール外相とそれぞれ会見した。トルコ側は、バルザーニー副党首に、「もはや、言うべき言葉は残っていない。イラクからは、単なる(PKKへの)非難ではなく、具体的な行動を望む」とのメッセージを伝えた。テロの襲撃を厳しく非難するバルザーニー副党首も、「これらの攻撃が、トルコ人とクルド人の間の関係を悪化させるものであってはならない」と述べた。会見では、各分野で共同で行いうる問題がとりあげられ、今後、より緊密に協議することが決定された。

Tweet
シェア


この記事の原文はこちら
原文をPDFファイルで見る
原文をMHTファイルで見る

 同じジャンルの記事を見る


( 翻訳者:トルコ語メディア翻訳班 )
( 記事ID:24293 )