モスクワでの犠牲祭の礼拝風景
2011年11月06日付 Zaman 紙


ロシアの首都モスクワでは何万人もの人が中央モスクの建設現場に臨時的に設けられたプレハブのモスクで犠牲祭の礼拝を行った。

歴史的なモスクを取り壊し、新たに建設するモスクに統合する作業が開始されたため、一時的な策として「テント・モスク」が設けられた。ロシアに住む2000万人のムスリムと、モスクワにある4つのモスクに押し寄せた何万人ものムスリムは、一体となって共に犠牲祭の熱狂を味わった。

テント・モスクでの場所を確保するために朝早く出発しても、大通りや路地で礼拝をしなければならなかったムスリムもいた。壁紙から礼拝用のじゅうたん(サッジャーダ)の上でマイナス8度から10度の寒さのなか礼拝を行っているムスリムは、中央モスクの建設が一刻も早く終わるためにも祈りを捧げている。

犠牲祭の礼拝を催すロシア・ムフティー評議会のラヴィル・ガイヌッディン議長はファトワー(イスラム法学者による法的見解)で、 新しいモスクがロシアのムスリムのシンボルになると強調した。ムフティー(ラヴィル議長)は(モスク建設に)支援を行っているすべての国の関係者やムスリム社会に感謝し、ロシアのメドヴェージェフ大統領とウラジーミル・プーチン首相が、ロシアのムスリムに送った祝辞を読みあげた。

■ メドヴェージェフ大統領とプーチン首相、犠牲祭を祝福

メドヴェージェフ大統領は、犠牲祭の日に信仰深い人たちが自身のイスラームの精神的な根源に立ち返ったとし、「犠牲祭はすべての宗教にとってよいことであり、慈悲や公正というような考えに敬意を持つことを教えてくれる。この歴史的な祭りは、信者らの、イスラムの精神的な根源への関心を高めている。ロシアのムスリム社会の宗教指導者らは、人々や宗教間の寛容や理解の強化に特別な関心を示しており、ロシアの多くの文化を守るのに寄与している」と話した。

ロシアのウラジーミル・プーチン首相も、犠牲祭にあたってムスリム国民の祭りを祝った。プーチン首相は、「ロシアのムスリム団体は、社会生活において積極的な役割を担っている。若者に対する宗教的、精神的な教育や、宗教間の対話の増進において非常に強力な寄与をしている。そしてもちろんその活動は、社会で民族グループ間の平和や市民社会との調和を維持するためにとても重要なものとなっている。何百万人ものロシアのムスリムが、この祭りを自身の共同体や家族で祝っている。何世紀も存在する宗教的な伝統に対するこのような敬意は、人々の歩み寄りに寄与している。連邦や地方の当局は、聖地巡礼(ハッジ)の実現と祭りにおける様々な催しの実施のために必要な援助を行わなければならない」とのメッセージを述べた。

ガイヌッディン氏はメディアに対し、全世界でそうであるように、ロシアのムスリムも犠牲祭を祝っており、全世界のムスリムが同じ感情を共有していると語った。ガイヌッディン氏は、唯一神に礼拝を行っていることに注目し、「この神聖な日における犠牲獣の屠殺は、神への服従と畏れを表す。イスラム教は私たちに、寛容で、楽観的で、勤勉であることを、親しいものの苦しみを分かち合うことを教えてくれる」と語った。

■ ムスリム、モスクワのお祭りムードに満足

犠牲祭の礼拝の後に抱き合い、お互いに祭りを祝ったシャムスッディン・ハバロフ氏とサバルベク・ハバロフ氏は、モスクワでの祭りの興奮は格別であり、寒さにもかかわらず、モスクで他のムスリムたちと共に礼拝を行うために来たと述べた。二人は、「断食祭は私たちに我慢を教え、犠牲祭は神への絶対的な信頼、そして誓いを守る必要があることを私たちへ教えてくれる」と話した。

「モスクワは祭りの空気に包まれていて満足だ」と述べ、大きな喜びとともに礼拝をしたと話すジャマレッディン・エゲンベルディエフ氏は、羊を屠殺し、すべての近所、友達、親しい人に配ると語った。エゲンベルディエフ氏は、「犠牲獣の肉の一部でピラフを作り、訪問をしに行く。友人たちと一緒に座り、懐かしむ。故郷にいる両親に電話をし、犠牲祭を祝うつもりだ」と話した。

祭が祝えることにおいて、メドヴェージェフ大統領とプーチン首相に感謝するミルジャホン・マクスダルイェフ氏は、「私はウズベキスタンから来た。ここではとてもすばらしい祭りを過ごしている。このあと羊を屠殺する。これらすべてのことをできるようにしている大統領と首相に感謝したい」と述べた。

ファフレッティン・バザルバイェフ氏は、寒さにもかかわらず犠牲祭の礼拝をしに来たと述べ、「私たちは見返りを求めずに礼拝をしている。だから私たちは幸せだ。友達全員と一緒に礼拝しに来た。神への畏敬のなかで礼拝をした。これから羊を屠殺し、一緒にケバブを食べる予定だ」と話した。

来た人全員がポジティブなエネルギーに満ちていたと話すエルキン・スヴァノフ氏は、「いい空気になっている。祭りの雰囲気になっている。私の心はとても幸せだ。続きは家族と一緒に過ごす。子供たちを喜ばせるために、プレゼントをあげるつもりだ。祭りではこういったことがとても大切だ」と語った。

周辺の道路を通行止めにしたモスクワ市は、音響装置、治安、その他の理由から総動員体制になった。200万人近いムスリムが暮らす首都に、モスクが4つしかないことが、特に金曜礼拝と祭の際に問題が起こる原因となっている。中央モスクで行われる犠牲祭の礼拝の様子は、第1チャンネルが生放送でロシア全土に伝えた。

■ 正教徒とムスリムのサッカーチームの試合

ロシア・ムフティー評議会の主催で、祭りの催し物が1週間続く。特に犠牲獣の肉で作るドネル・ケバブやカヴルマ、その他の料理が、全ロシア市民にあらかじめ決められたレストランで、無料で提供される一方、孤児院や老人施設にも犠牲獣の肉が届けられる。

宗教間の融和に寄与する目的で11月12日にムスリムとロシア正教徒のサッカーチームが対戦する。退職者や退役軍人もこれらのプログラムに参加し、11月19日には、「クラースヌィ・アクチャーブリ」コンサート会場で催し物が行われる。

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( 翻訳者:菱山湧人 )
( 記事ID:24468 )