Fikret Bila コラム:エルドアン首相はなぜ、KCKをパラレル国家と呼ぶのか?
2011年11月16日付 Milliyet 紙

ビュシュラ・エルサンル教授や出版社経営者のラグップ・ザラコルが逮捕されたことにより、KCK(クルディスタン社会連合)に関する議論が再燃した。一連の逮捕はこの記事のテーマではない。
首相レジェップ・タイープ・エルドアンはここ最近頻繁にKCKを「パラレル(並立)国家」であると発言しており、これは容認され得ないと強調している。エルドアンがどうしてKCKをパラレル国家だというのか見てみることにする。

■連邦制

オジャランがつくろうとする連邦国家の憲法とされる「KCK協定」を読んだ人ならばエルドアン首相がこの組織に対して、どうして「パラレル国家」と言ったかを理解するのは容易であろう。憲法とも呼べるこの協定は、「国家」とは標榜していないものの、その中には彼らが設立を目指す国家のあらゆる組織についてのことが含まれている。これはただの思想にとどまらず、いろんな場所で実際に実行されているプロジェクトである。この協定によると、KCKの創立者で、永久のリーダーはアブドュッラー・オジャランである。「民主的な」連邦制と言っているが、オジャランを協定(憲法)では永久の首相、連邦の創立者としている。KCK協定は国会の役目を果す一般評議会(コングレゲル)についても言及している。執行評議会という名前の政府についても言及している。協定は連邦の旗についても説明している。KCKは7つの常任委員会を考えており、省庁にあたるものである:社会、政治、イデオロギー、財務、女性、人民防衛、人民関連組織といった委員会などである。「連邦制」にはすべての国家でそうであるように議会と政府に続いて、最高裁判所、行政裁判所、民事(刑事)裁判所、そして検察といった司法組織が存在している。さらにすべての国家にあるように、軍隊も持っている。人民防衛委員会に属する人民防衛軍である。PKK(クルディスタン労働者党)はこの制度のイデオロギー的な力であり、人民防衛軍は自立した組織として定義されている。

■二つの法体系

KCKは自身の「法」をもっている。トルコ共和国の法も「条件つき」で受け入れている。協定によると、トルコ共和国が「連邦制の法」を受け入れた段階で、KCKもトルコ共和国の法を同程度で受け入れる。トルコが受け入れないとしたら、KCKもトルコの法を受け入れないのだ。さらに、これはトルコだけに留まらず、イラン、イラク、シリアなどの国内法にも適用される。「連邦法」は国籍も与える。「クルディスタンで生まれた」または同胞になりたいすべての人は連邦の構成員と認められる。そして協定に示されている諸権利を持つと同様、義務も科される。誕生によってではなく、後から同胞になりたいと思っている人たちの申請は、関係機関によって審査されることになる。また「裏切り行為」を行った場合、国籍はく奪も行われる。

■オジャラン以外はすべて可変

協定によると、この組織のすべてのことは選挙によって変わりうるが、最高権力者として定義されているアブドュッラー・オジャランだけは選挙でも変えられることはない。システムはコミューンに依拠する。最も小さな組織形態として地域ごとにコミューンや地方議会が作られ、組織は上に向かってピラミッド型に続いている。

■自治要求の理由

PKK、BDPそしてDTKが持ち出した自治の要求は、この構造の実現と密接にかかわっている。新憲法にむけての働きの中で自治要求を強硬に主張する一方で、このプロジェクトが部分的ではあれ実現されるよう画策している。東南部の各自治体に対する統制、自治体の長たちへの尋問、ハッキャーリで住民たちが誘拐され、山の中に作られていた「人民裁判所」で裁判にかけられたこと、住民間の対立(問題)がこうした裁判所で解決されること、徴兵制のように山に住民が連れて行かれること、財政という名の下に無理矢理お金を集めるなど様々な例がある。首相エルドアンがKCKに対し、「パラレル国家など容認できない」とうのは以上のような理由である。

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( 翻訳者:奥 真裕 )
( 記事ID:24563 )