Abbas Güçlüコラム:被災地ヴァンの教育問題
2011年11月26日付 Milliyet 紙

恐らく、ヴァンの小・中学校の再開はまた延期されることになる。これで3回目だ。11月14日に再開するはずだったが、エルジシュ地震が起こり、12月5日に延期された。しかし、現況は、学校再開に全く適していない。なぜならば、学校の半数は倒壊した状態だからだ。残り半数も、安全ではない。更には、児童や生徒のほとんどが、トルコ各地に散らばっていった。今、これに加え、8年生及び12年生を対象に、学力判定試験(SBS)と高等教育移籍試験(YGS)を理由に、政府援助の(他の地域への)移動が可能になったことで、ヴァンの児童・生徒の数はさらに減った。このような状況で、12 月5日に学校を再開する意味は全く無い。

建物の中に入る恐怖が拭われないまま、児童・学生がヴァンに戻らないまま、全ての学校が技術検査を受けないまま、学校を再開しても、児童・学生は集まらないだろう。更に、児童・学生が現在住んでいる避難テントから学校へはあまりにも遠く、今のような冬の天候では、自力で学校へ行くこともできず、生徒の移動手段を確保しての教育をもってしてもこの問題は解決できない。

一方で、建物がより頑丈で組織もちゃんとしているユズンジュユル大学では2月まで休講になっているのに、小・中学校がどうしても開校したいと言っていることに対しては、そもそも誰も意味を見出せない。特に教員たちにとって…。

今、このような観点から見たとき、学校開校が正しい決定のようには全く思えない。今日このような雰囲気であるので、学校開校はまた延期されるだろう。しかし、物事は二面性を持つもので、開校すればさも良くなるかのように言われている。

■子どもたちは開校を望んでいる

ヴァンの避難テントを訪問した際、特に子どもたちと話をするようにした。学校が開校するかどうかについて彼らはどのように考えているのか、それを理解しようと努めた。例外なく、ほぼ全員が、開校を望んでいた。なぜならば、学校生活はテント生活の環境よりもっと良いと思っているからだ。3~5時間であっても、寒さで震えることから逃れられ、お腹をいっぱいにでき、安全で、衛生的な環境で過ごせ、最も大切なことは、同年代の子どもたちと一緒にいられることだ。

授業が遅れていると感じている子どもはいないのか?もちろんいるが、それはどうやら子どもたちにとって二の次である!子どもたちにとって、それはその通りだ。早急により健康的な生活環境を得ることは、他の誰でもなく子どもたちの権利である。しかし、もしこのことが実現しないのならば、もっと現実的なプロジェクトを実行する必要がある。

例えば、全ての学校の開校が不可能なのであれば、頑丈な建物を持つ学校のみを開校すべきであり、そこでは合同クラスを設け、カリキュラムに沿ってではなく、不足を補うような補習をするべきである。しかし、まだ屋内に入ることに対する恐怖心があるため、参加率は高くならないかもしれない。学校へのアクセスも問題になり得る。このため、全ての避難キャンプと各町の定められた場所に、キャンプ学校を設ければ、参加率は絶対に高くなると思う。

この実践的な方法がすぐに実行に移されることを願っている...。

■都市間パートナーシップ!

ヴァンで生活環境が通常の状態に戻るのには、まだまだ時間がかかるだろう。同じような地震がヴァンではなくて他の都市で起こったとしても、状況は同じであっただろう。理由はたったひとつ、地震ということに関して我々が十分に組織立っていないからだ。

確かなことは、我々は99年の地震から全く教訓を得られなかったということだ。ヴァン地震も、将来のために何らかの教訓となるとは、考えがたい。このため、地震ということに関して新たなプロジェクトを起こす必要がある。

もちろん、重要なことは、防災意識を持ち、自然災害による被害を最小限に抑えることである。しかし、その後についても、新たな対策が必要だ。

コジャエリ、サカリヤ、デュズジェ、そしてヴァン地震によって明らかになった共通項目がある:

*備蓄品が十分でない。備品も、テントも、コンテナも。

*組織間の連携は昔も今も皆無である。例えば、ヴァンにはほぼ全ての省から何十人、もしかしたら何百人も派遣されている。皆何かしらしているが、まだ何も生み出されていない。

*このような災害では、(被災地の外から)支援活動に来た人や団体も十分に力を発揮できない。つまり、彼ら自身も被災者となってしまう。

まさにこのため、全ての都市は近くの都市のひとつと運命共同体となることが非常に効果的である。地震避難訓練、備品貯蓄、担当者、病院搬送など全ての項目を共有し、どちらかで災害が起こった場合には、すぐにそのパートナーが助けるべきである。このようにして、時間を効率に使い、外から来てくれる支援者の活動を難化させるようなことも防げる...。

総まとめ:40年前の対策で、今日の地震被害を乗り越えることは不可能である。建物だけでなく、考え方も変えなければならない...。

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( 翻訳者:津久井優 )
( 記事ID:24663 )