トルコ、対シリア制裁案を発表
2011年12月01日付 Milliyet 紙

トルコは、数カ月来暴力の停止を要求してきたシリアの指導者に対し、厳しい制裁策を発表した。外務大臣ダウトオールは会見で「シリアの態度によっては追加の対策を取りうる」と発言した。

外務大臣アフメト・ダウトオールは、アラブ連盟の決定ののち、トルコが、シリア政府に対して適応する9項の制裁の内容を発表した。制裁にはシリア大統領バッシャール・アサド、政府高官、そして政権に近い実業家らがトルコにもつ資産の凍結が含まれている。水や電力供給の停止、食料品取引きは政策策に含まれなかった。

ダウトオール外相は昨日の朝、外務省で行われた記者会見で、アラブの春の観点から見た中東、北アフリカ各国での展開について説明した。ダウトオール外相は、シリアでバッシャール・アサド政権が改革プロセスをリードするようにトルコとして非常に努力したと述べた。しかし、シリアは改革のロードマップに関しトルコと同意したにもかかわらず、必要な一歩を全く踏み出さず、それゆえ正当性を失ったと述べた。

■裏の目的などない

トルコに全く裏の目的などないと述べるダウトオール外相は「シリアの指導者は出口を見失ったまま、終着点にたどり着いたのだ」とのべた。ダウトオール外相は水を始め、シリア国民の日常生活に必要な物資は制裁策に加えないとしつつも、「今後シリア政権の態度によっては、とりうる追加制裁策を、これまでと同様、慎重に検討する」と述べた。

一方、外務省筋は、トルコは国連決定なしでもシリアに対する制裁策をとりうると述べた。主権国家は一定の条件下で他国に対し一方的に制裁を行う権利をもつと述べるこの情報筋は、この決定は合法的なものであるという。制裁策は、閣議決定により実効化する。

■ローオール元大使:あまり効果はない

CHP(共和人民党)の副党首であり、元大使のファールク・ローオール氏は、世界でこれまで行われてきた前例は、制裁がそれほど多くの効果を及ぼさないことを示しているとのべ、「水と電気に関しては制裁は行われないと発表された。しかし、どういうやり方をしても、結果としてその制裁で当該国の国民が被害を受ける。トルコ国民はこの制裁に反対すべきだ」と述べた。ローオール氏はシリアの指導者たちや政権に近い実業家らの資産に関する決定に対しては、「私はシリアの指導者たちがトルコに大きな資産をもっているとは思わない」と話した。元大使のイナル・バトゥ氏は「政府が過剰に(制裁項目を)盛り込まなかったことを嬉しく思う。「王以上に、王党派」になることはなかった」と発言した。また、外務省の元次官ヌシュヘット・カンデミルは「私の考えでは、この制裁はあまり効果がないだろう」と評価した。

■「シャムゲン」も中止

制裁によってイラン、シリア、レバノン、そしてイラクの間で計画されていた経済提携プロジェクトである「シャムゲン」も公式に中止された。エルドアン首相自身によって命名されたこのプロジェクトはEUに対抗するものとみられていた。トルコ-アラブ諸国実業家協会会長ドアン・ナリン氏は、「シリアとの通商はここ3、4か月で20パーセントほどに落ち込んだ。この落ち込みは、とくに工業製品でみられた」と述べた。

■武器取引き停止

1.シリアで国民の支持をうけた合法的な政権が誕生するまで、高等戦略協力機構の活動を中断する。
2.シリアで主要なポストについており、彼らに対し「国民に対する暴力、違法な方策の行使」の疑いのあるとされる高官に対し(トルコへの)入国禁止と、彼らのトルコでの資産凍結。シリア政権の強力な支援者である実業家らへの同様の措置。
3.シリアの軍に対し、すべての種類の武器、軍事物資の売却、供給の停止
4.トルコ領土、領空、河川を通過して行われる第3国からのシリアへの武器、軍事物資の搬送は、国際法にのっとり阻止さえる
5.シリア中央銀行との関係の停止
6.シリア政府のトルコにある財政資産の凍結
7.シリア政府との借款関係の凍結
8.処理中の案件以外のシリア商業銀行との処理の締結
9.シリアのインフラ整備計画の資金に関して締結ずみのエクスィム銀行借款契約の凍結

■アメリカ:トルコを祝福

ホワイトハウス国家安全保障委員会のスポークスマン、トミー・ビーター氏は「シリア政権に対する経済制裁やその他の対策を含む今次の発表に関し、トルコ政府を祝福する」と述べた。

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( 翻訳者:奥 真裕 )
( 記事ID:24709 )