Oral Calislarコラム:アリ・ブラチ氏(ザマン紙)にみる「女性とイスラム」
2011年12月17日付 Radikal 紙

目下、イスラム派の女性たちは真剣な模索と議論の真っただ中にいる。批判的態度が広がり、多様な声が増している。

イスラム派においては、女性問題は「デリケートな」点のひとつである。女性たちの職業人生への参加や、スカーフ着用女性を議員候補者として認めるか否かといった論議が続いている。イスラム派の知識人女性たちと最も多く議論している人物の一人が、ザマン紙のコラムニスト、アリ・ブラチである。

私は、ブラチ氏とイスラムについて議論するということを言っているのではない。ただ、宗教を引き合いにだしながら彼が示した見解は、イスラム派に限定せずある意味社会全体に関わるような特徴を持っている。ブラチ氏は、女性が家庭外の活動に参加することを一定の条件下でのみ認めており、自身が提唱した「コンパス・フォーミュラ」(訳注:女性をコンパスに例え、女性は外に出たとしても軸足は家庭にあるという主張)によって、女性は「行動領域」の中心を「家」により束縛されるという表現をしている。ともあれ私自身がこのコラムで検討したいと思う彼の見解は、「西欧とアメリカは、女性たちの自由の要求を、イスラム社会を“解体“するために利用する」という見解である。

ザマン紙における12月15日付けのコラムで、ブラチは次のように書いていた:「今日、この2つの展開を背景に西欧―ここではアメリカとEUの覇権的パワーを指す―は、非西欧社会を変化させる手段として女性問題を道具にしている。つまり、政治的かつ戦略的道具として用いているのだ。特に、異なる文明、家族および家庭モデルを持つイスラム社会を解体しようとしており、そうして社会経済的優位性、軍事的および政治的支配を継続しようとしている」
こう述べた後、ブラチ氏は、タイイップ・エルドアン首相のある発言に言及し、公正発展党に対しても警告的批判をしている。

■「よそ者」は問題であろうか?

「女性たちに関して実施されたプロジェクトには何らかの意図があり、政治的かつ軍事的側面がある。タイイップ・エルドアン首相は次のように述べている:『大中東構想(BOP)は、トルコにおいてほど誤解されてきた国はなかった。プロジェクトの第一段階ではトルコ、イタリア、そしてイエメンの3カ国が共同議長を務めた。しかし、この構想は成立する前に潰えた。我々に任されたこの構想では、女性の権利と民主化が議題となるはずだった。もし構想が進展し、何らかの成果が得られたとしたら、何かまずいことが起こっただろうか』。(エルドアン首相の)こうした見解も問題なのである」と。

「自閉症的」特徴がある全ての政治的傾向と潮流は、さまざまな分野においてそしてさまざまな時期に、ともかくも、アリ・ブラチ氏が示したものと同じような反応を示すことがありうる。
「よそ者」という概念は、自閉症的反応(反発)のキー概念である。この「よそ者」は、帝国主義者、西欧、アメリカ、キリスト教徒、ユダヤ教徒、アルメニア人、コミュニストといった形で、さらに「民主主義」といった形ですら描かれうる。この思考スタイルは、自身に社会からの支持を容易に確約する秘訣ではない。自閉症的言説は、「道徳」「経済」「社会」「軍事」を引き合いに出すことで、自らの反応(反発)を表現することが可能なのである。

■自閉症的でありつつ、救われること

様々な社会がそれぞれお互いに社会学的に影響を受けるということは、自然な流れの一部である。ある社会が自身に欠如していると感じる点を満たそうとするとき、必ずや他の社会の例を調べ、参考にし、こうして様々な分野における人権や価値をはぐくみうるのだ。この種の相互作用を、特定の(軍事的側面もある)「プロジェクト」の「成果」に格下げすることは、グローバル化がこれほど急速かつ影響をおよぼす現代では、さらにトルコのようなダイナミックな社会では意味あるものに思えない。

イスラムが急速に拡大した9,10世紀には、イスラム帝国が同様な影響を及ぼした。トルコ民族は、自らの多神教的慣習の「外からやって来た人々」、つまり彼らにとって「よそ者」であるイスラムと知りあい、多神教的慣習を捨て変容した。ある社会学の論文によれば、西欧の男性も十字軍の際に、中東の開かれた社会的関係や女性たちの性に関する自由な振る舞いに非常に影響を受け、自国に戻った際に真新しく異なる文化によって社会変化を牽引した。

結果として、目下、イスラム派の女性たちは真剣な模索と議論の真っただ中にいる。批判的態度が広がり、多様な声が増している。アリ・ブラチ氏においてシンボルであると考えられている伝統的な男性優位文化と伝統的慣習は揺らいでおり、揺らぎ続けるであろう。

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( 翻訳者:幸加木 文 )
( 記事ID:24863 )