ロシア軍、トルコ国境近くに移動?―イスラエルのイラン核施設攻撃に対応か
2011年12月17日付 Milliyet 紙

ロシアの軍事情報筋によると、アメリカの支持を受けるイスラエルがイランの核施設を攻撃する準備を整えており、モスクワも攻撃に備えて準備を進めていることが明らかになった。ロシアのメディアが伝えるところによると、この件で、アルメニアに駐屯しているロシア軍はトルコ国境近くのギュムリュ地域に派遣された。

ロシアのニェザヴィーシマヤ紙は、クレムレンの軍事情報筋から得た情報によると、イスラエルがイランの各施設を奇襲攻撃する準備を進めていると伝え、「テヘランへの奇襲攻撃は予測できないほどの大きな戦争につながる可能性がある」と論評した。

また同紙では、ロシアのドミトリー・メドベージェフ大統領が昨日ブリュッセルで参加したEU-ロシアサミット最優先の議題としてこれが取り上げられたとし、「ロシアのウラジミール・チジョフ大使は、イスラエルまたはアメリカのイランへの攻撃が悲惨な状況を生み出す結果につながるかもしれないとし、このような状況の負の影響はこの(中東)地域だけでなく全世界に広がると警告している」を伝えた。

同紙は、クレムリンはイスラエルのイランへの攻撃を阻止するためには何でもするとしたと伝え、「我々(クレムリン)が入手した情報によると、国際原子力機関(IAEA)のイラン報告書(発表)の後で、(イスラエルの)イランへの攻撃準備が加速した。ロシアは1年前からテヘランに対し起こりうる軍事行動で(発生する)被害を最小限に抑えるため対策をとり始めており、これらの対策はもうすぐ完了するところである」と発表した。

■ロシア軍基地のロシア兵家族が避難

ロシアが攻撃に対しての準備を進める中、アルメニアにあるロシア軍第102基地が攻撃体制に入り、この基地で暮らすロシア兵家族を避難させた、とニェザヴィーシマヤ紙は伝えた。

また同紙は「(アルメニアの首都)エリヴァン近郊のロシア駐屯軍の兵士たちはトルコ国境近くのギュムリュ地域に移動された。アメリカ軍による攻撃はトルコ(を基地として)起こるかもしれない。また、南オセチアとアブハズヤ駐屯のロシア軍は、12月1日以降臨戦態勢である。黒海艦隊もグルジア国境近くで警戒体制である」と伝 えている。

ニェザヴィーシマヤ紙によると、アゼルバイジャン国境近くのダゲスタン共和国アゼルバシュ地域でも戦争に備えミサイル部隊が配置されており、マハチカレとアストラハン地域でも兵隊を配置しているという。

同紙は、シリアのタルトゥース港に行くためにロシアの空母アドミラル・クズネツォフを旗艦するロシア海軍が、エーゲ海に向け出航したと伝え、その中で「国防省は出航した艦船には核搭載の潜水艦も同行したとの情報に一切のコメントをしなかった」と伝えた。

■バクー、ロシアへの圧力をさらに強めた

長年コーカサスのロシア軍指揮官を務めたユリ・ネトカチェフ総督は、新聞の取材に対し、戦争が生じた場合、(ロシア軍が)アルメニアの基地に到着するためグルジア(が設けている)通過規制を無視しなければならない可能性を示しながら、「これは、軍にとって(グルジアを)アルメニアにいたる回廊とする意味になる」と述べ た。

軍事観測センターの専門家であるアナトリー・ツガノフ氏は声明の中で、モスクワがここのところアゼルバイジャン政府に対し不安を感じていると発言し、「ロシア軍関係者は、ここ3年で(軍事)予算を2倍に増やし、イスラエルから無人飛行機を初めとして最新兵器を購入し たバクーの政府に関して不安を感じている。同政府は、モスクワに対しガバラの軍レーダー基地の使用料を上げらることで圧力を増している状況である。しかし、イランとバクーの間に存在する南カスピ地域の扱いに関する意見の不一致にも関わらず、バクーが対イランの作戦を支持するとは言い難い。このような状況で(イスラエルが)攻撃をおこなった場合、バクーがアルメニアに向ける敵対的態度を軽視すべきではない」と述べた。

アゼルバイジャンとアルメニア両政府間の衝突を注視する退役軍人であるヴラジミール・ポポヴ元大佐は、ニェザヴィーシマヤ紙の取材に対し、ナゴルノ・カラバフ地域に関し進められている議論が結果を生まずに延期されたことと、バクーで復讐をはかろうとしている動きが明確にされたとし、「アゼルバ イジャン軍が国境紛争に対し決着をつけるため、アルメニアとナゴルノ・カラバフへ攻撃する可能性が非常に高い」と述べた。

ポポヴ元大佐は、こうした状況で最も重要な問題は、ロシアがどのように振る舞うかということにあるとし、「予想されるイランへの攻撃の後に、アゼルバイジャンがトルコの協力を得てアルメニアに対して空襲をおこなう際に、アルメニア空軍防衛基地と並んで、ロシアの基地も攻撃される。このことがロシアが参戦するための十分な理由になると述べるのは極めて難い。ロシア軍は決してナゴルノ・カラバフの衝突には参加しない。」

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( 翻訳者:松永拓人 )
( 記事ID:24864 )