Derya Sazakコラム:「アルメニア人虐殺」法案からフランス議会を考える
2011年12月24日付 Milliyet 紙

アルジェリア系でマルセイユ選出の国会議員、ヴァレリー・ボワイエ議員が提出した、「アルメニア人虐殺」を否定する者たちに禁固と罰金を与えることを定める法案が、38票の賛成で可決された。
議席数577名のフランス国民議会(下院)にあって、審議に加わった議員の数が50名であったためである。
法案成立のために元老院(上院)を通過する必要のあるこの法案は、「虐殺の罪、人道に反する罪、そして戦争犯罪を弁護、否定、あるいは軽視する表現を用いたものたちを罰すること」を規定している。
議論は「アルメニア人虐殺」があったことを前提として行われているため、「アルメニア人虐殺はなかった」と発言する者に対し、フランスの裁判所が禁固一年と最高4万5千ユーロまでの罰金を課すことを可能にするものである。
フランスの女性議員であるボワイエ議員は、この法案がEU法の枠組みで準備されていることを示唆している。従って、「憎悪犯罪(ヘイトクライム)及び憎悪発言」と見られる思想を表明することを禁止するという範囲が、「アルメニア人虐殺」を含む形で拡大させられている。フランス国民議会はこの決定により、1915年の事件に関する数々の歴史的主張を、政治的に「議論の余地のない」ものにしようとしている。拒否された修正案で述べられていたような、「科学的見解」さえも罪とするような方向に進んでいる。言論の自由を殺そうとしている。
そしてこれらの全てがたった38名の投票によって実現されうるのである。
議会では、このような光景はたいてい「夜間」の委員会においてみうけられる。
とりわけ予算審議の場において、野党が省庁の予算の内の一つを廃案にさせるために、与党の席が空席になった隙を狙うのである。議員達がロビーで眠気をさますためにお茶やコーヒーを飲んでいる時に、点呼と投票を要求し、少数派のグループが「ゴールを決める」のだ。しかしながら今回のフランスではそうではなかった。即ち、総議席数577名の国民議会が、白昼堂々10%以下の出席で審議を行い、そして38名の賛成によって与党から出された法案が国民議会を通過した。
フランスでは、会期末に近づいたり、また大統領選になると、議席の多くが空席のまま審議が行われることは普通のことだという。法案がサルコジの「選挙作戦」とみなされること、またフランスの路上でフランス国民が経済危機や失業問題と闘っているときに、フランス人が「アルメニア人虐殺」の議論を続けることは、議決において「臆病な多数派/(実際は)少数派」をはっきりさせうる。
しかしながら、この議案はトルコ・フランス間の様々な関係に歴史的な亀裂をもたらすと我々は考えている。
サルコジの態度は、トルコのEU加盟に反対する態度と重なることで、「危機」もさらに深まることになる。
トルコ政府は今後の軍事及び経済的な対仏対抗措置を発表した。
エルドアン首相は、立法者スレイマン1世の時代における「勅令」により、フランスとの関係が間もなく500年になることを強調した。
トルコ大国民議会のトルコ・フランス友好議員連盟は解散した。
在フランスのトルコ人達も反発した。

しかし、感情的に反発しているだけではなく、元老院での採決に向けてトルコの主張に見方する、(下院での)38人を上回る票をなんとか確保できないのか考えてみる必要がある。元老院での投票にあらわれる批判が、サルコジ大統領の選挙での敗北につながれば、それは歴史の答えとなりはしないだろうか?

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( 翻訳者:濱田裕樹 )
( 記事ID:24939 )