Murat Yetkinコラム:2015年に向け、アルメニア法問題へ根本的解決を
2011年12月24日付 Radikal 紙

1915年の事件から100年となる2015年が近づくにつれて、この問題はフランスとアメリカだけにとどまらないように思われる。

タイイプ・エルドアン首相は、一昨日フランス議会(下院)が1915年の事件は「アルメニア人虐殺」でないと主張することを禁じる法案を可決し、上院に送ったことに対し、強い反発を示し、政治と軍事分野の二国間関係を凍結することを決定した。
反発は昨日も続いた。共和人民党(CHP)のケマル・クルチダルオール党首と民族主義者行動党(MHP)のデヴレト・バフチェリ党首も参加したことによって、この反発は単にトルコ政府を代表するものではなく、国全体のものとなっていった。
対抗措置には、フランスがアフガニスタン駐留の仏軍に物資を届ける際、ルート短縮のため利用していたトルコ空域、海域の使用の制限も含まれる。
最近の二国間協力である、トルコとフランスの治安部隊によるシリアのバッシャール・アサド政権への制裁を支援する共同作戦にどのように影響するのかを予測するのすら、今は困難である。
エルドアン首相は、(フランスがどの程度痛手を受けるかは定かではない)この対抗措置が単に最初の一歩であること、上院が法案を承認し、法として成立した場合、新たな措置を加えると話した。
今後の歩みがいかなるものになるのかについて、多くのヒントは得られなかった。

しかし、エルドアン首相は、当初取りざたされていたフランス製品ボイコットについては触れなかった。これに関して2つの重要な要因が役割を演じた。一つ目は、フランス政府が関税同盟と世界貿易機関(WTO)の合意内容を示し釘を刺したこと。さらに重要なのは、フランスとの通商に活路を見出しているトルコ商工会議所連合(TOBB)のリファト・ヒサルジュクルオール代表とトルコ実業家協会(TÜS AD)のウミト・ボイネル代表からの示唆だ。これによれば、1–このようなボイコットがトルコ経済、輸出、雇用に及ぼす影響に留意すべきであり、2−経済制裁(商品ボイコット)が一定の成果を上げること、特に短期間で成果を上げることは一般的に難しいということであった。

この問題では、タイミングが非常に重要だ。なぜなら、フランスの法によれば、大統領選の2ヶ月前に国会での法律審議は凍結される。大統領選の一次投票は4月22日である。したがって、この法案が成立するには、2月22日までに上院で可決されることが必要である。

この日付も重要である。なぜなら、大統領選の一次投票の2日後、つまり4月24日は、1915年、第一次世界大戦で崩壊の兆しを見せ始めたオスマン帝国の「統一と進歩」政府の内務大臣のタラート・パシャが、ロシアの占領軍に協力したとしてアルメニア人を強制移住させた、つまり退去命令を出した日、不幸なる「4月24日の電報」を打った日なのである。この日は「アルメニア人虐殺」を主張する人々にとっては特別な日である。

したがって、上院が法案を可決すれば、(来年の大統領選で)国民運動連合(UMP)を代表して出馬するニコラス・サルコジ大統領も社会党(PS)を代表して出馬するフランソワ・オランド氏も、家族の多くが戦時中にアナトリアから移住してきたアルメニア人有権者の票を4月22日のみならず、5月6日の決選投票でも獲得することができるだろう。

このような状況は2006年にも起こっていた。その時は、上院は、同趣旨の法案をフランスをフランスたらしめる根本原則である「言論の自由」に反するとして拒否し、議題から除いた。サルコジとオランドの間の駆け引きに対し、上院が同じ態度をとることはありうる。そうなれば、この状況は、フランスの政治家がトルコにダメージを与えてアルメニア人の有権者の票を取り込もうとした「寸劇」だった、ということになるだろう。

だが、たとえそうなったとしても、アンカラ(トルコ政府)が一息つくことはできないし、またつくべきでもないないだろう。なぜなら、またアメリカの上院でもトルコにダメージを与えてアルメニア人の票を獲得しようと奔走する、恒例の「劇」が上演されるからだ。2012年1月から4月にかけて、こうした劇により緊張は高まるだろう。

さらに、1915年の事件から100年にあたる2015年が近づくにつれて、これはフランスやアメリカだけにとどまらないように思える。アンカラは、フランスの議会の決定は「表現の自由」を踏みにじるものだとして反発を示しているが、これは正しい。しかしこのやり方では、トルコにのしかかる「アルメニア問題」を、イメージを修正し取り除くことにはつながらない。

アルメニア問題は、トルコがさらに発展するために克服すべき重要な問題の1つである。このため、必要な政治的な一歩が一刻も早く踏み出されなくてはならない。

Tweet
シェア


この記事の原文はこちら
原文をPDFファイルで見る
原文をMHTファイルで見る

 同じジャンルの記事を見る


( 翻訳者:小松裕美子 )
( 記事ID:24942 )