Murat Yetkinコラム:10年目を迎える与党
2012年01月01日付 Radikal 紙

昨年の政治を特徴づけたアラブの春が今年はどうなるのか、今ははっきりと分からない状態だ。タイイプ・エルドアン首相が9月のカイロでの演説で予想したような新世俗主義の波が主流となるのだろうか。それともサラフィーと呼ばれる強硬イスラム主義グループが、教育を受けた中産階級の革命を抑え込むのだろうか。
例えば、イラクはどうなるだろう、分裂するのだろうか。仮に分裂し、北部のクルド国家が存続のためにトルコに目を向けた時、トルコにおけるクルド問題はどのように動き始めるのだろうか。
イランとイスラエルの間でアメリカをも巻き込んで続く核計画の緊張は、ホルムズ海峡の危機で表面化した新たなエネルギー紛争につながるのだろうか。
経済危機に見舞われるEUが世界政治において力を弱めた場合、その空白をロシアが埋めるのだろうか。その場合、EU内部で緊張が生まれるのだろうか。そして、どこで生まれるのだろうか。例えば、第一次世界大戦の時のようにバルカン半島で起こるのだろうか。
これら全てがトルコの経済的・政治的状況に深く影響するのだ。

■最重要事項の憲法とクルド問題

そもそもトルコにも2012年の重要事項がある。アリ・ババジャン副首相は経済では「リスクを冒すではなく、守りの年」としたが、これは無駄な警告ではないだろう。しかし、この話題にはたち入らないでおく。

しかし、我々は新憲法の起草期間に入る時を迎えた。今年の政治の最重要事項はこれになるだろう。ジェミル・チチェキ国会議長はこれまでこの過程を上手く動かしてきており、各政党を議場に留まらせる事ができた。共和人民党(CHP)のケマル・クルチダルオール党首は、「何があろうと我々は憲法制定の作業から離脱しない」と述べ、この点において最も戦略的な動きの一つを打った。公正発展党が言いだしかねない「野党は逃げた、我々は自分たちの草案を国民投票にかけよう」という狙いを阻止するためだ。

トルコの新憲法は、起草されれば1876年以来、戦争や革命、クーデターといった非常事態の条件なしにつくられる初めての例になる。この憲法には、政治と軍、政治と司法の関係や、さらに重要なクルド問題の解決の基礎となる希望がある。このため、民族主義者行動党(MHP)と平和民主党(BDP)の憲法起草への貢献も重要である。現在それほど目立っていなくても、2012年には、一部のグループによる憲法を信仰に重点を置いた形にするという動きは加速し得る。これは政治全体で言えるのと同様、公正発展党内でも悩みの種となりうる。

■公正発展党の10年と大統領

大統領公選制についての議論は、その法律が国会本会議に提出されたのちには、「任期は何年か?」という議論から、「エルドアン後の公正発展党は?」という軸に移るだろう。アブドゥッラー・ギュル大統領が任期を終えた後、政治に戻って党首の座につく可能性は未だに高い・・・。ビュレント・アルンチ副首相がこれに黙っていない、ということは今からでも言うことが出来る。問題は、党政治の再構築である。

まとめると、以下のようになる。
エルドアン首相は今から10年前、2002年11月の選挙で勝ち取った政権が10年目を迎える年に、多くの権力関係を再構築しようとするだろう。
10年での功績は少なくない。あたかも「共和国10周年マーチ」で歌われた「鉄道網」のように、二車線道路や高速鉄道路線の建設、教科書無償化、健康保険制度改革が果たされたが、それだけではない。言外交政策の問題を含め、立法-行政-司法の関係から政治と軍との関係にいたるまで、多くの事柄が今から10年前と今日とでは全く異なる。

今年はエルドアン首相が、自身の「10周年マーチ」を書く年だ。
しかし、これは容易なことではない。

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( 翻訳者:南澤沙織 )
( 記事ID:25039 )