トルコ外務省、フランス上院のアルメニア法案可決を非難
2012年01月24日付 Yeni Safak 紙

外務省は、フランス上院議会のアルメニア法案可決に対し、多くの問題を孕み、無責任の象徴といえるこの決定を厳しく非難し、トルコはこの決定に対する反発をあらゆる場で示していくと述べた。

外務省の文書による説明で、フランス与党、国民運動連合(UMP)の国会議員によりフランス国会へ提出された、1915年の事件に関してアルメニア人の主張を否定することをフランス国内で処罰の対象とする法案が、1月23日に上院本会議で投票、承認されたと発表された。外務省は「多くの問題を孕み無責任の象徴といえるこの決定を厳しく非難し、トルコはこの決定に対する反発をあらゆる場で示していくことを宣言する」と述べた。

また文書では、似たような内容の法案が、憲法違反に触れる可能性があるとの上院憲法委員会による見解を受け、昨年5月4日上院本会議で賛成74票、反対196票で否決されたことを指摘し、次のように述べられた:

「今回も(上院)憲法委員会は憲法違反の見解を示したが、にもかかわらずフランス上院はこの法案を可決した。法案の内容は、昨年5月のものから変更が加えられなかった。そのため、この法案成立に向けた一連の動きそのものが、このような繊細な問題をフランスが政治利益目的でどう利用するかを示す指標となっていた。アルメニア法案の可決は、フランス政治史上最も不幸な一歩となった。歴史や正義感における理解や、他国民の過去に関する政治的扱い、言論の自由をこれほどまでに遠慮なしに傷つけるような行為は、フランスにとってそもそもの間違いである。歴史的出来事に解釈を加え、一方的な見方で実際に他国民を判断し、国際法の原則を軽視して大量虐殺という重罪の告発に関して判決を下す権利が自身にあると考えているフランスの政治家たちの振る舞いが、認められるものではないことは明らかである。基本的にどの国の国会にも、このような権利や権限は存在しない。アルメニア法案可決はこれに逆行し、言論の自由、学術的研究の自由に打撃を与えた。普遍的な価値観の発展を担い、法治国家であることを誇るこの国においてでさえ、政治的打算のためにこの様な結果がもたらされたということは、これらの価値観を世界的に普及させるうえで適切な見本を必要としている時代において、注意を喚起するものである。トルコ側からのこれまでの働きかけや警告、またフランス国内の(上院法)憲法委員会や法学者の見解にもかかわらず、トルコとフランスの間で昔から様々な分野にわたって築き上げられた関係が、国内の政治的カレンダーに気を取られるあまり犠牲となったことは、不幸だとしか言い様が無い。この責任がどこにあるかは明らかである。」

また説明では、トルコがこの件に関し必要以上に反発し、その反発が実を伴わないだろうと考えられている環境によって、問題の本質を捉えきれなかったのと同様に、トルコとトルコ国民のことも理解できなかったのだと強調され、次のように述べられた:

「我々が、法律が制定されてしまった状況で、以前からずっと考えてきた措置をふさわしい形で素早く実行に移すことにためらわないであろうと想起させるのは有益である。同じように、違法な告発に対し、合法に基づき自分たちを擁護する権利を強力に行使し続けることも知っておいてもらわなければならない。トルコ政府のこの件に関する根本的な態度は、誰にも疑いようのないものであらなければならない。」

さらに説明では、他にこのようなことが述べられた:

「一方でこの過程で、フランス政治の中で、犯した過ちを認め、その過ちを訂正する呼びかけをし、トルコとの関係がこれほどまでに遠慮なしに壊されていることに反対する層の良識が打ち勝つことへの期待を共有している。今現在のプロセスをフランスの政治的、法的、倫理的な過ちとして後に残らないかたちで帰結させるために、あらゆる働きかけが必要なのは明らかである。トルコは、基本的な人間の価値と世論の良心を顧みないこの違法な行為に対し、必要なあらゆる手段を断固として講じていく。」

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( 翻訳者:池永大駿 )
( 記事ID:25321 )