Izdemir Onceコラム:「女性の地位」問題でイスラムを批判すること
2012年01月28日付 Hurriyet 紙

2011年12月3日付けのジュムフリエト紙の紙面でメフメト・ギョルメズ宗務庁長官に関してある報道がなされた。
「メフメト・ギョルメズ宗務庁長官は、西洋が新たなイスラムのイメージを形成するために女性問題を特に指摘することによってイスラムを攻撃していると述べた。『女性に関する宗教出版』について取り上げられた第5回宗教出版大会が昨日行われた式典で開会された。メフメト・ギョルメズ宗務庁長官は女性問題と女性への見方が現代世界で最も重要な文明尺度のひとつとみなされていると述べた。ギョルメズ長官は現代に入ってムスリムの作家や学者、知識人らが女性問題において思考と言説の危機に直面し続けていると述べ、『世界の西側において世界的な政治の主体が新たなイスラムのイメージを形成するため女性問題を特に指摘することによってイスラムを攻撃すると、この危機はさらに拡大した』と述べた。

■時代錯誤な状況

宗務庁長官は共和国の機関を代表して話しているが、世界とトルコの中に内在する現実を見てない。第1に、西洋はトルコとイスラム諸国における女性たちの状況を批判しているが、それを使ってイスラムを攻撃してはいない。このような主張をすることは現実と矛盾している。第2に、女性の状況と女性への見方は疑いなく、現代の世界の最も重要な文明尺度の1つであることは確かであり、最重要なものである。長官はこの状況について不満があるのか?第3に、危機はどこで起きているのか?西洋とイスラム世界の間か、それともイスラム世界内部か?私が思うにこの危機はイスラム世界内部により多く存在する。例えば、公正発展党(AKP)が政権について以来この危機はトルコで徐々に増加している。第4に、西洋における女性への見方は、世界的・地域的な様々な署名された文書や法律に基づいている。イスラム世界ではコーランとハディースのほかあらゆる文書や法律ではなく、政府と宗教的世論の許容に基づいている。時代錯誤な状況である。

■どのイスラム国で?

トルコ共和国宗務庁長官のスピーチがトルコにおける女性の状況について行われたものならば、我々はそれに従った立場をとる。反対に世界規模の話であれば我々の態度は別のものとなる。
世俗的共和国の保護下にあるトルコの女性たちの特別な状況は横に置こう。世界のどのイスラム国で女性の人権が満たされているのか?
女性の権利は国連を始めとする条約や協定で規定されている。これにもかかわらず、世界中の国々における主要な女性問題には次のようなものがある。仕事の世界において女性に向けられる否定的な差別。世界規模で女性の教育の権利が不十分であったり二の次にされていること。多くのイスラム国家の法的措置において女性と男性の区別が行われていること、とくに相続法と民法手続きにおいて女性にネガティブな差別が行われていること。多くの国や地域で女性の配偶者を選ぶ権利、結婚、離婚他の基本的な民法上の権利が認識されていないこと。最も近代的な国々においてさえ女性に向けられる肉体的暴力と精神的圧力が完全には取り除かれていないこと。

■権利を守るだけで十分

ムスリム諸国では女性の権利におけるこれらの問題のいったいいくつが解決されているといえるのだろうか。我が国の宗務庁長官が「女性について危機を作り出している」と糾弾する西洋諸国ではこの問題の90%が解決されているが、ムスリム諸国ではこれと正反対である。このため彼らはムスリム諸国の女性の権利を批判しており、私も批判している!

形式的な問題なので、選挙権・被選挙権のことはここでは除外しておこう。イスラム諸国では家族法は多くの場合イスラム法に基づいている。このため多くの国で女性が犠牲となっている。特に離婚についてイェメン、アルジェリア、パキスタンは女性たちが最も多く犠牲となっている国である。スーダン、マレーシア、インドネシアではこれらの話題は問題として反映されていない。女性組織の多くは政権のチェックを受けている。

単刀直入に言えば、共和国の機関を代表する宗務庁長官は「共和国」が女性たちに与える権利を、ごまかすことなく、明確に堂々と主張すべきであり、それで十分である。

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( 翻訳者:永山明子 )
( 記事ID:25367 )