Murat Yetkinコラム:PKKとの新たな交渉への諸条件
2012年02月18日付 Radikal 紙

エルギン法務大臣が、必要であれば交渉を再開する可能性に言及したことは、敵味方を問わずマニフェストと認識されるべきである。

諜報と司法の間に起こった取調べを取り巻く緊張は、国会で12時間あまり議論が行われた結果昨日(17日)の朝にかけて国家諜報機構(MİT)法26条の改正が承認されたことで新たな段階に進んだ。
実施される法改正では、最初に提案された通りMİT職員と首相が特別に任命した人物らの行動に対する取調べには首相の許可が必要とされた。

ケマル・クルチダルオール共和人民党(CHP)党首のこれに対する反発が、さらに1990年代の未解決の殺人事件をほのめかすことによって「国家内でのゲリラ行為」になると、議論の方向は変わった。改正法の草案において、公務に就く者へ首相が与える任務に対して取調べを行なうのは、任務の「作戦行動に従事していないとき」に限ることとなった。
つまりはこういうことだ。首相が「行ってこれをやってこい」と言った場合、犯罪を目撃した検察官は、書類上は、以後その職員をその行動ゆえに取調べることができる。しかし「行って話してこい」と命じられた職務に関する取調べには首相の許可が必要であり続ける。

つまり現在進行中の状況において、ハカン・フィダンMİT事務次官と前任者であるエムレ・タネル元事務次官、他のMİT職員は、イスタンブルのサドレッティン・サルカヤ検察官が開始し当人によって取られた取調べの中で、PKKとの交渉を行ったためタイイプ・エルドアン首相が許可を与えさえすれば取調べられうる。
サドゥッラー・エルギン法務大臣は会見で重要なことを述べた。要約すると次のような内容である。

-アブドゥッラー・オジャランとPKKは交渉の間要求を行なっていた。
-交渉で相手は「夢にも思わない」ことを言いうる。認められるまで、これらの要求は、それを口にした人間ををしばり続ける(エルギン大臣はここでPKK側の情報源によって「協定文書」として流出した9条項が、相手側の要求として記されたにすぎないとほのめかしているのであろう)。
-交渉を行った諜報員たちはこの要求を認める方向での提案は行わなかった(つまり「ただ伝えただけだ」と受け取ることができる。エルギン大臣は「越権行為ではないか」という問いへの答えを求めて取調べを望む検察官に対しほとんどフィダン氏と職員らのための弁護士の役割をしている)。
-これらの要求に対し政府は言質も約束も与えていない。
-しかしPKKとの交渉は「必要に応じて」今後も行われる。

残念ながら、この法の発令によってこの危機が終わるとは思われない。開始されたものの終わっていない取調べがまだあること、これが理由の1つである。2つ目は、見ての通り何日もの間メディアのいくつかのコラムでしつこく続いている「政府-ジェマート」関係の説明がある。これに関して書いている人々は関係がうまくいっているか否かの説明に対する証拠として「対話主義対捜査主義」として表れた「諜報対司法」の緊張の軸を指し示している。
したがって、エルギン大臣が必要とあれば交渉を再開する可能性に言及したことは、敵にも味方にもマニフェストと認識されるべきである。もちろん同時にさらなる疑問ももたらしている。交渉はどのような条件で再開されるのか?

以下のことを思い出すことが有益であろう。この交渉は2008年にエルゲネコン裁判が開かれ、本部の機密に悩まされた兵士の反発が起こったことによって始まり、さらに同じプロセスで2009年にクルド問題解決策が議題に上った。2010年の国民投票によって停戦の時代となり、交渉は2011年の総選挙の際にも中断された。票の半数を1人で獲得したエルドアン首相が、エルギン大臣の表現によれば「夢にも思わない」ような要求に応じることは考えられなかった。
これに対してPKKは、スィルヴァン襲撃(7月14日)に乗り出すと政府とのつながりを絶つ段階に進んだ。おそらく最後のチャンスであった7月27日のイムラル島での弁護士との面会でオジャランから再び脅迫が発せられると、それも最後となった。ウシュク・コシャネル前参謀総長があきらめて辞職すると、この件は全く別の方向に向かい始めた。交渉の録音は漏洩し、ムラト・カラユランPKK指導者によるカンディル・キャンプからの継続的な脅迫が開始された。これに対しPKKと大衆を繋ぐクルディスタン社会連合(KCK)への捜査が開始され、その後は皆の知るとおりで、直近の重要な進展は参謀本部が所有しあらゆる個人や組織の傍受を行うことができる能力を持つトルコのもっとも重要な電子諜報システムMİTへと変わった。PKKとの再交渉がPKKの行動能力とともに誇りも壊す状況で行われることは政府の好むところであり、イラクとシリアにおける進展は少なくとも今のところこの嗜好に有益となっている。しかし前述のように、この一件は終わっておらず、新たに開かれた目で見ることが手助けとなる。

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( 翻訳者:永山明子 )
( 記事ID:25606 )