イラク:国営企業の低賃金に苦情
2012年03月03日付 al-Hayat 紙

■イラク:国営工業諸企業での低賃金に苦情

2012年3月3日土曜 『アル=ハヤート』
【バグダード:ヌサイル・アル=ハスーン】

 イラクの国営工業諸企業の専門家らは、賃金問題での政府の職員に対する対応の仕方に反発を示した。国営工業企業の賃金は、月間400ドルに満たない。専門家らは、国内の専門家が外国からの求人や誘いを受けて国を離れていると指摘した。技術技師であるハイダル・ジャアファル技師は本紙との会見で、「政府は曖昧さでもって我々に応対している。ある時は賃金制度の第3段階に留めおいたかと思えば、またある時は我々を非常に低賃金の職員段階に変更したりする。」と述べている。

 鉱業部門の専門家であるズィヤード・アッ=シャンマリー技師は、1995年以来国営企業の職を去り、ドイツに働きに行かざるを得なかったと強調している。同技師は、ドイツでの賃金は時間給で、1時間あたり15ドル以上報酬があると明かした。また、同技師は、「在外の職員たちを職場に復帰させる決定があったことは、私にバグダードへの復帰を促した。実際、私は復帰を決めた。しかしながら、賃金は60万ディナール(500ドル)に満たなかった。そこで私は、無休の長期休暇の取得とドイツへ戻ることを決めた。無休長期休暇とドイツ滞在は、イラクでの雇用環境が改善するまでの間である。」と続けた。

重荷
 解体された諸般の軍需企業の一部は様々な象徴に統合されたのだが、イラクの財政にとって重荷となっている。こられ企業では、年間11兆ディナール(約100億ドル)以上が職員の賃金として費やされている。

 ジャアファル技師は、政府は年間11兆9800億ディナールの国営企業向け支払いについて思案しなくてはならないと考えている。これは、解体された軍需の諸企業とは別口である。諸般の工業企業は、輸入品に対する競争力が弱いことに苦しんでいる。輸入品は、国内産業を保護する法規がない中で市場を支配している。

 「電子製造業会社」のアフマド・アブドゥッラーフィウ・アル=ウライビー社長は、同社は1973年に100万ディナール(当時の交換比率で300万ドル)の資本金で設立された、同社は電気製品を生産するために設立された、と述べた。

 同社長は、「当社の資本金は、政府が500万ドルを追加支出し、最近倍になった。これは、生産品の多様化が目的である。しかし、当社の6つの工場と740人以上の専門家・技術者・労働者は、利益を出すための唯一の障害である。多くの企業は,余剰人員に苦しんでいる。」と述べた。

 同社長は、イラク政府による国産品奨励のための決定と、これら諸決定がもたらす便益について、「これまでのところ、我々の製品は公共部門からも民間部門からも何ら奨励措置を受けていない。外国企業が我々の競争相手であり、我々は国家からの物的・精神的・税制的支援を必要としている。」と述べた。同社長は、自社の諸問題を、自己資金に関する問題であると要約した。すなわち、売り上げの減少は職員の給与の支払いができないことを意味し、その上法規の多くが事業に役立っていないのである。

希望よりも低い
 アル=ウライビー社長は、「我々は、依然として迷走状態である。我々は民間部門の会社ではなく、そのように振る舞うことはできない。我々は国家に属する公共部門の会社でもない。同様に、現在の賃金水準は国家(公務員)の賃金水準に近い。しかしながら、希望よりも低いのである。」と付け加えた。

 一方、国会経済委員会のヌーラ・アル=バジャーリー委員は、海外で得ている所得に比べて所得水準が低いことこそが、有能なイラク人が国に帰ることを嫌っている大きな原因であると指摘した。

 同委員は、「国家は、1970年代、1980年代に、膨大な支出をしてイラクの要員を先進国で研修させた。これこそが、技術的人間開発と呼ばれるものである。しかし、残念ながらこうした有能なほとんどは、他国から求人や誘いを受けると国外移住を選んだ。」と述べた。

 また、同委員は、イラクの国会は、今年度予算の成立を通じ、国家公務員の給与を改正する条文を追加することができたと指摘し、本件はインフレーションの抑制問題と国民所得の増加と関連づけられるべきであると述べた。

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( 翻訳者:高岡豊 )
( 記事ID:25726 )