Fikret Bila コラム:4+4+4制度の問題点、整理
2012年03月30日付 Milliyet 紙

「国民」という最初の言葉からも明らかなように、教育は社会の今日と明日に関わる土台となる分野の一つである。教育分野で進められる法律の修正が、社会的・政治的な妥協によらねばならないのは、こうした特徴による。

国民教育委員会でもそうであったように、殴り合いにまで発展した喧嘩の中で国会本会議を通過した新教育法は多くの問題を抱えている。

新制度の問題点は以下のとおりである:

準備段階
1-修正が法案ではなく、提案として国会に持ち込まれたことからも明らかなように、この問題は閣議内でさえも十分に議論されつくされていない。さらに、予算がついておらず、財源も決まっていないことは、国会本会議なされた追加案が十分に練られていない状態で法律を議決に持ち込み、単に議席の多さで通過させようとしていたのが判明する。

科学
2-教育のような基本的法律の性質を帯びる法律の修正において、(今回の改正は)教育の専門家らやこの分野の教員が参加する教育研究会に依拠せず、加盟に向けて交渉中のEU諸国の運用も考慮していなことが明らかになった。

非一貫性の概念
3- 新法は、8年間の一貫した教育を廃止し、雪辱戦という意味合いで準備されたことが見受けられる。8年間の一貫した教育の成功が明らかな中、この制度を放棄し、4年制が3段階からなる制度は、宗教教育とイマーム・ハティプ中学校(導入)を基にしたことも明らかになった。

世界との競争
4-国民教育省のオメル・ディンチェル大臣は、新法によってトルコの子供たちが世界と競争できるレベルに達すると述べていたが、新制度では、イマーム・ハ ティプ中学校の開設、さらには他の学校でも宗教文化と道徳の授業が必須となると同時に、「コーランと預言者ムハンマドの生涯」の授業が法律による選択授業として進められる他に、先にあげた目標に向けた(新規導入)要素が見受けられない。 OECD諸国の生徒の学習到達度調査(PİSA)で、数学と理科ではトルコ人の生徒は最下位か最下位から2番目のレベルである。今回の修正では、宗教教育を選択授業の一つとすることを強いる一方で、科学とテクノロジーの時代に他の分野は国民教育書の判断に委ねられている。

振り分け
5-新教育制度は、初等教育を4年間に制限したともいうことができる。小学校を5歳で始める子供たちは9歳になると、次の4年制の段階で職業教育に向かうことになるだろう。この年齢で子供が職業選択の振り分けをしている国はない。EU諸国の場合はこのような振り分けは14-15歳、あるいは16歳で行われている。

新制度は、トルコの最も重要な社会問題の一つである子供の労働と少女の結婚問題が拡大することは避けられないと思われる。9歳から少女がイマーム・ハティプ中学校あるいは選択授業を口実としてスカーフを着用するように仕向けられるような選択ももたらしている。

監査逃れ
6- 法律がタブレットPCの購入を15年間にわたって公共入札法の枠外で行うとしていることも問題の一面である。非常に多額になるであろうタブレットPCの購 入が15年間にわたって公共入札法の枠外で行われることは、監査逃れの傾向を示している。この製品の購入を、行政が望む個人あるいは組織からおこなうことを保証するこの制 度が、将来、不公正な競争、えこひいき、悪用といった訴えの元となることは容易に予測される。

多数決の概念
7- 新教育制度法制化プロセスにおいていずれの段階でも多数決という考えが支配していたことも問題の一面である。デモクラシーを多元主義としてではなく、多数による支配と認識していることをうかがわせる態度が見られた。委員会や本会議で多数決という考え方を時折無理矢理に導入し、国会の外で生じた社会の反対も警察の力を用いて排除してきた。しかし、(本来)教育といった国の将来をも決定するような基本的な分野で行われる法律の修正は、科学的研究や政治・社会的な妥協に基づかなかればならなかった。

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( 翻訳者:富田祐子 )
( 記事ID:25949 )