Murat Yetkinコラム:エルドアン・バルザーニー同時発言の意味―クルド問題
2012年04月21日付 Radikal 紙

マスード・バルザーニー大統領がアンカラで、エルドアン首相が同時刻にカタールで、それぞれ行った会見の間には、2つの重要な類似点がある。

北イラク・クルド自治政府のマスード・バルザーニー大統領が昨日(20日)アンカラで、タイイプ・エルドアン首相がほぼ同時刻にカタールで、それぞれ行った会見の間には、2つの重要な類似点があった。
第1の類似点は、双方ともPKKにはっきりと武装解除の呼びかけを行ったことである。これについては新しい点ではないと言える。結果的に両指導者とも以前にも別々の機会にこの呼びかけを行なっていた。
今回の違いは、タイミングと、どのような進展を踏まえて発言されたかという点にあると言うべきである。

すなわち、バルザーニー大統領は長い訪米の後にトルコへやって来た。ワシントンではバラク・オバマ米大統領、副大統領、国務省長官、国防総省長官らと会談した。これはほぼ、政府の長に対するもてなしであった。この会談では、バルザーニー大統領の自治政府首都アルビールと、シーア派アラブ人ヌーリー・マーリキー首相の中央政府の首都バグダードの間の緊張についても議論された。バルザーニー大統領は、マーリキー首相が法廷に召喚するため呼び戻したスンナ派アラブ人タルク・ハーシミー副大統領を、アルビールで保護下に置いた。バルザーニー大統領がアメリカに出発するやいなやハーシミー副大統領も―おそらくは何事も起こらないようにと―カタールに、その後サウジアラビアに向かった。現在はイスタンブルに滞在している。つまりバルザーニー大統領は、一方でアメリカの石油メジャー、エクソンも支持する石油の権利、他方でイランが密接に関係するイラクのシーア派・スンナ派間の緊張、そして当然のことながら自身のクルディスタン地域の将来に関して、徐々に国際的な重要性を増すアクターとなってきている。

バルザーニー大統領は、トルコでも同様の待遇をうけた。木曜日(19日)にイスタンブルでエルドアン首相(ハカン・フィダン国家諜報機構(MİT)次官も同席していた)と会談した後、昨日(20日)もアンカラでアブドゥッラー・ギュル大統領、アフメト・ダヴトオール外相と会談した。さらにセラハッティン・デミルタシュ平和民主党(BDP)共同党首とも会談した。デミルタシュ共同党首はこの会談に先立ち、バルザーニー大統領の成長をアメリカとトルコによる「クルド人たちに共通のリーダーを生む」試みであるとして非難していた。これはBDPの、そしてBDPと同じ基盤を共有するPKKの、アブドゥッラー・オジャランをクルド人たちの合法的な指導者とみなす方針と矛盾する状況であった。
このため、バルザーニー大統領がこれらのすべてのプロセスと会談の後、1-トルコが辿る新たな(PKKとの戦い、BDPとの交渉の)クルド政策を支持すること、2-PKKに武装解除を呼びかけること、3-PKKが自国の領土からトルコに攻撃することを許可しないと明言することが重要である。
バルザーニー大統領とほぼ同時刻にカタールで語ったエルドアン首相も、武装解除の呼びかけに、武装解除なしに会談はありえないという強調を加えて、新たな可能性へ扉を開いたと見られている。

■弁護士の供述

同時に、トルコでもクルド問題に関する興味深い進展が見られている。オジャランのイムラル島の弁護士団の重要人物の1人であるイルファン・デュンダルが、(裁判で)弁護の機会をもとめたことが、最近のKCK捜査によって明らかになったことは興味深い。デュンダル弁護士が、オジャランのメッセージをどのようにPKKに伝えていたかを供述していることは、周知の通りである。これを警察や諜報機関が知らなかったと考えるのは単純だろう。しかし、政府の機関が、これらの、PKKに対しずっと知らないふりをしていた(オジャランとの)連絡手段などを、(今回)入手したと、まるで、かくれんぼで「鬼をみつけた!」と言うように発表したのである。この進展は、PKKとBDPに対する心理的圧力を増加させるものである。

エルドアン首相とバルザーニー大統領の発言の間にある2つ目の類似点は、両者ともイラクの領土的一体性を強調したことである。領土的一体性の強調は、どこで、誰によって行われようとも、その反対の事態への懸念を想起させる。このメッセージはマーリキー首相にだけではなく、イランに向けられていることも考慮されるべきである。イラクのクルディスタン地域がイラクから分離する場合、トルコとの友好の模索はこの問題の本質が必要とするところとはいえ、その図上にPKKが位置することにどのくらい許可が与えられるか、PKKがその状況にどのような反発を示すかも合法的な問題である。
バルザーニー大統領の帰国後、クルド問題において起こるであろう新たな進展は、注意深く見守るに値すると見られている。

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( 翻訳者:永山明子 )
( 記事ID:26148 )