Sami Kohenコラム:トルコは中東でどこまでできるか
2012年04月23日付 Milliyet 紙

ここ数年間でトルコが中東の「地域大国」となったことは、誰もが認める事実である。
これには様々な要因が存在するが、その中でもトルコの政治の安定化、経済力の成長、活発な外交政策が主たる要因として考えられる。また公正発展党政権が―多かれ少なかれ党のイデオロギー的傾向のために―中東の国々に強い親近感を抱いていること、そしてリーダー的役割を担うことを望んでいることが、これに大きく寄与していることは間違いない。
こうした要素によって、確かにトルコは中東で発言力を持ち、影響力を感じさせる大国になることに成功した。しかしこの力の限界はどこにあるのだろうか?政府が掲げる目標と現在のトルコ共和国がもつ可能性は一致しているのだろうか?
トルコの主要なシンクタンクの一つでアンカラに本部を置く国際戦略研究委員会(USAK)が発表した報告書は、こうした疑問に答えることを目的としている。
「中東におけるトルコの力のキャパシティー:可能性の限界」と題するこの報告書は、トルコの中東における戦略と政治的・経済的能力と可能性を、徹底的そして客観的に調査している。
報告書は不足点を指摘し、次のような結論に辿り着く:期待と欠陥のあいだのギャップが埋められなければ「地域のリーダー」になることは不可能である・・・。

■基盤の脆弱さ

トルコが自ら担おうとする中東地域における役割を適切にまっとうするためには、第一に頑丈な基盤を備えている必要がある。
数年前まで外務省の職員は非常に不足していた。報告書によると現在(外務省の)「専門職員」数は1,146人であり、全体の職員数は5,533人である。イギリスやフランスのような国々はさておき(こうした国では15,000人を超える)、インドやブラジルにおいてさえトルコの人数を超えている・・・。
報告書で明らかにされているように、中東で影響力を拡張するためトルコは経済の面でも欠点を抱えている。たしかに中東諸国との貿易は見て取れるほど増加しているが、これは本来の可能性よりずっと低い。したがって中東地域に対しより合理的な産業・貿易政策を練らなくてはならない。文化・社会面においても、たとえばトルコのテレビドラマが中東で人気を博したからといって、教育から出版に至るほかの多くの分野における不足を忘れてはならない・・・。
報告書はいくつもの重要な指摘のあとで、いかにすればトルコが望み通りの役割を中東で果たすことができるか一連の提案をしている。これは政府が参考にする価値がある。

■デリケートな問題

ここで次の3点を強調しておきたい。
1)トルコが中東で地位を高めたことは喜ばしく希望の持てることである。しかしこれが過度な自信や驕りに繋がってはならない。「ここに秩序をもたらせるのは我々だけだ」、「トルコ無しでは何事もできない」といった発言は、誤解や反発のもとになる。この件における中東の人々の敏感さも(これは「トルコモデル」議論ではっきり感じられた)、配慮すべきである。
2)トルコ外交が平和のために仲介役に立つことは、トルコの威信を高めうる。しかしこの役割を果たす際も、優先事項や成功の見込み、トルコ外交の方向性に適合しているか十分に考慮しなければならない。 
3)中東全体で複雑化している問題の解決に努める際は、巻き込まれすぎないよう、中立的であるよう、注意することが非常に重要である・・・。
簡潔に言うと、トルコが中東の「地域大国」として振る舞う際、なしうることには限界が存在することを忘れてはならない。

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( 翻訳者:篁日向子 )
( 記事ID:26164 )