学校牛乳配布プロジェクト開始の初日、トルコ全土で千人が腹痛さわぎ
2012年05月03日付 Milliyet 紙

児童への牛乳無料配布プロジェクトは児童と保護者にショックを与えた。多くの県から集団中毒というニュースが舞い込んだ。ディヤルバクル県で始まった中毒騒ぎは、スィヴァス県、エディルネ県、イスタンブル県、アダナ県、コンヤ県、トラブゾン県、サムスン県、デニズリ県、アンタルヤ県にまで及んだ。メフディ・エケル食料農業畜産大臣は、中毒の報道について「牛乳は古くなってはいません。このプロジェクトは続きます」と述べた。

トルコ全土で、保育学級から第5学年までの初等教育学校で開始された「無料学校牛乳配布」プロジェクトは、多くの県から寄せられた「中毒」のニュースによって児童と保護者にショックを与えた。ディヤルバクル県で始まった中毒騒ぎは、スィヴァス県、エディルネ県、イスタンブル県、コンヤ県、サムスン県、アダナ県、アンタルヤ県にまで及んだ。全国で1193名の児童が病院へ搬送された。多くの県で牛乳配布が中止された。メフディ・エケル食料農業畜産大臣は、朝の会見で中毒の報道について「我々は新たにプロジェクトを始めたばかりです」と述べた。食料農業畜産省による説明では、「牛乳配布に関し、技術面および管理面の調査を開始した」と発表された。

■賞味期限は8月だった

エケル大臣は、夕方ヒュッリイェト紙に行ったインタビューでは次のように話した:「我々が配布した牛乳は200ミリリットルのストロー付のもので、賞味期限が8月の牛乳です。腐っているはずはありません。この悲しい事態は我々の牛乳プロジェクトを妨げはしないでしょう。最初の配布契約は7月4日まで続きます。週に5日これは行われていきます。我々の目的は牛乳の栄養によって子供たちが最良の形で育てられることを、政府の支援で提供することです。決して愚かさや悪意のある計画ではありません。可能な限りの注意をしましたが、それでも非常に残念に思います。

■学術名は乳糖不耐症

我々が得た情報では、「牛乳に極度の過敏反応を起こす子供に現れる症状」だということです。決して、悪くなったり古くなったりした牛乳や食中毒ではありません。初めて牛乳を飲んだ者に見られるそうです。この症例は学術的定義では「乳糖不耐症」といい、つまり牛乳の糖分に対し体内組織が耐性を持っていないこととして定義されています。全ての食物には消化作用があり、酵素によってこれは起こります。ご存じのように、牛乳を飲むと体内にガスが発生したり、消化不良を起こしたりします。このことが、牛乳に極度の過敏反応を起こす子供においては、気分が悪くなるという症状として現れました。非常に遺憾ですが、これが3万2千校、720万人の児童に配布された牛乳プロジェクトだったことを我々は忘れないようにしましょう。これほど広い範囲において、残念ながら400~500件の過敏反応の症例がでてしまいました。おそらく牛乳を再び飲めば、問題は無くなるでしょう。

■サンプルをとっている

とはいえ、我々は配布した全ての牛乳について、トルコ全土でサンプルをとっています。このサンプルを昨日、すぐに調査しました。我々はこの牛乳を配布する前にも、保護者に注意書きを載せた書類を送りました。こうした副作用がありうるだろうということを保護者に注意をしました。誰にも強制的に飲みなさいと言って強要することは行われませんでした。(病院に運ばれた)子供たちの大多数は良好な状態です。」

■牛乳にアレルギーがある子供たちも存在しうる

トルコ牛乳生産者中央組合のアリ・コユンジュ組合長は、「以前に牛乳アレルギーがあると診断されなかった子供たちが、牛乳を飲むことで発症した恐れがあります。他の子供たちもこれから心理的に影響を受けた可能性があります」と述べた。コユンジュ組合長は、学校牛乳配布プロジェクトにおいて、81の県、郡、村、自治体で718万5千人の児童と3万2574校の学校に牛乳が配布されたと述べた。配布された牛乳の箱には様々な注意書きがあったことに言及したコユンジュ組合長は、(箱への注意書きで)牛乳アレルギーがある児童は教師に届け出るよう注意喚起が行われていたと述べた。

■我々の考えでは、牛乳ではなく、心理的なものが原因

牛乳が配布された後、最初の症例が出た県であるディヤルバクルにおいて、ムスタファ・トプラク・ディヤルバクル県知事は「数人の児童が吐き気を訴えて明らかになったのがこの事件です。心理的に他の児童も影響されました。我々は牛乳が原因であるとは思っていません」と述べた。

■中毒ではなく過敏反応

オメル・ディンチェル国民教育大臣は、「これは中毒事件ではありません。現時点での判断によれば、子供たちの牛乳に対する過敏反応から発症した症状です」と述べた。ディンチェル大臣は、調査の結果は明日出るだろうと話し、また「事の真相は、保健大臣が説明します」とも述べた。

■牛乳アレルギーの比率は1000人に5人

保健省は、学校で牛乳が配布された後、児童が体調不良になったという問題に関し、「牛乳配布は全学齢児童を含んでいるため、様々な問題がおこりうることは想定内のことです。学齢児童においては、牛乳アレルギーは1000人に5人の割合だと報告されています」と会見で述べた。会見では、次のように述べられた。「症例は軽く、入院治療が必要な状況ではありません。牛乳の糖分に対する不耐性は、7年生、8年生により多く見られ、吐き気、嘔吐、下痢といった症状が出ます。」

■専門家:古くなった牛乳は中毒症状を起こしうる

多数の児童が腹痛や嘔吐の症状によって入院し、点滴を受けていることに対し、専門家は「古くなった牛乳」が原因と考えている。児童栄養・消化器病学専門のベナル・ビュユクゲビズ博士は、「私は、この症例が牛乳が古くなっていたことに関連して中毒症状を発症したと考えています。なぜなら子供たちは「牛乳の中からヨーグルトが出てきた」と言っているからです」と述べた。児童胸部疾患・アレルギー専門のエリフ・ダール博士は、「牛乳アレルギーは牛乳のタンパク質を摂取したことのない子供たちに発症します。乳糖不耐症はというと、牛乳アレルギーよりもさらに稀です。飲んだ後すぐに発症が見られたということですから、中毒が思い浮かびます」と述べた。

■どの業者がどの地方に牛乳を配布しているのか

1-内陸アナトリア・南東アナトリア地方
Yavuz Blok Bims 建設資材食料販売株式会社を代表企業とする、ギュルサン食料株式会社、マル販売株式会社、マムサン食料株式会社、バクラチ乳業・乳製品株式会社の共同企業体

2-東アナトリア・エーゲ海地方
Dimes食料販売株式会社を代表企業とするプナル乳業Mam. 生産株式会社、バルカン乳製品生産販売株式会社の共同企業体

3-地中海地方
ヨルックオール乳製生産販売を代表企業とする、ギュネイ乳業生産食料販売株式会社、オウズ食料生産販売株式会社、アクベル乳製品産販売株式会社の共同企業体

4-マルマラ海・黒海地方
アク食料生産販売株式会社を代表企業とする、スタシュ乳製品株式会社、ダノン・ティクヴィシェリ食料・飲料生産販売株式会社、タト保存生産株式会社、ヨルックレル外資商事株式会社の共同企業体

■12県で1193人の児童が中毒症状を起こした

スィヴァス県では、15校で700人の児童が病院へ搬送された。
サムスン県では、重体1人を含む8人の児童が病院へ搬送された。
コンヤ県では、25人の児童が配布された牛乳で中毒症状を起こした。
サカルヤ県では、38校の初等教育学校の児童に中毒症状が出た。
アンタルヤ県では、50人の児童が体調不良になった。
エディルネ県では、30人の児童に牛乳で中毒症状が出た。
ディヤルバクル県では、50人の初等教育学校の児童が中毒症状を起こした。
クルッカレ県では、配布された牛乳を飲んだ17人の児童が体調不良になった。
アダナ県では、141人の児童が病院へ搬送された。
イスタンブル県スルタンガーズィー区では、60人の児童が病院へ搬送された。
トラブゾン県では、40人の児童が病院で治療を受けた。
デニズリ県では、17人の児童が体調不良になった。
オスマニイェ県では、25人の児童が入院した。

■7400万リラのプロジェクト

無料牛乳はトルコ全土で700万人の児童に配布された。
牛乳の価格は48クルシュ~57クルシュ。
プロジェクトの費用は7480万リラ。

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( 翻訳者:安井 悠 )
( 記事ID:26281 )